だって女だし



お互い裸一貫(物理)で宣戦布告し合った冬未と暁美。特に冬未は暁美の隼瀬への想いの強さを再確認し多少の焦りが出たのか、隼瀬の部屋に戻った後、何とか起きていた彼をそのままベッドに押し倒す。



「ふゆ、み・・・・・・?」



「隼瀬、私のお婿さんになるとだろ?だったらこぎゃん事もするよね」



「・・・よかよ、初めてだけん正直ちょっとこやぁばってん、冬未も女の子だもんね」



「よかった、中学でんあんだけ女子に囲まれとって、隼瀬はもう何かされとるんじゃないかと思いよったけん」



「あぶにゃあ時はあったばってん充希とかが守ってくれたし、初めては絶対冬未がよかったもん・・・・・・」



「可愛い事言うて、もう我慢できんくなるたい」



そして2人は遂に結ばれる事となった。ぼかし表現ムズい。



翌朝



「ふぅたんzzz・・・」



冬未の溜まっていたそれに付き合い、胸の中でなかなか起きない隼瀬の髪をそっと撫でる冬未。



「もう高校生で恥ずかしかなんて言いよったくせに夢ん中じゃ呼んでくるっとね、はあたん」



と、冬未は隼瀬と生まれたままの姿で寝てしまっていた事に気付き、慌てて隼瀬を起こす。



「隼瀬、起きれ!」



「んぅ・・・ふぅたん、なんにぇ・・・・・・ってきゃああああ!」



「きゃあじゃなかたん!昨夜あぎゃん事やこぎゃん事までしたつに」



「言わんでよばか、恥ずかしい!僕急いで着ゆっけん冬未あっち向いとってよ!」



「全部見せたくせに・・・・・・(この反応は隼瀬、完全にこっちの世界に馴染んだというか、戻ったというか・・・・・・元々あっちの世界の隼瀬もそぎゃん変わらんて事か?)あ、私も服着らんとしゃが」



冬未が着替えながら覗き見してないか確認しながら着替え終え、改めて確認する隼瀬。



「見とらんよね?!」



「見とらんたい。ちゅうかぬしゃ(お前)、寝言で私の事ふぅたんとか呼びよったけど、どぎゃん夢見とったつや」



「昔の冬未に散々振り回さるん夢よ」



「ねえ、それってあっちの世界でん私そぎゃんだった?」



「そうねえ・・・・・・僕の記憶もあっちゃんもんかこっちゃんもんか分からん時のあるし・・・・・・もうこっちの僕に統一されてきとっとかも、戻りたいとか思わんし」



鏡面世界の記憶は一応あるものの、たった1日であまりにこちらに馴染んできた事に自らもよく分からないという顔をする隼瀬。



「そっか。まあ何にしたっちゃ隼瀬は隼瀬たいな。私の大事な可愛いお婿さん」



「冬未も僕の大事な人よ」



以前ならこういう事を恥ずかしげもなく言うような子ではなかったなと、平行世界の隼瀬が来てくれてよかったのかもと妙な幸運を感じる冬未である。

そして今日も学校があるので、途中まで手を繋いで登校する2人。



「じゃ、気ぃ付けにゃんよ隼瀬」



「うん、冬未もね」



そう言って電車のドアが閉まる寸前に「バイバイのチューね」と言って冬未に口付ける隼瀬である。



(あの子、こぎゃん人前で・・・・・・今夜は昨夜の倍したろ)



電車の中で冬未が1人にやり顔になっていた頃、隼瀬が学校に着いて教室に入ると、充希が心配そうに彼の額に手を置く。



「熱はにゃあごたるね。昨日などぎゃんしたと?」



「いや、そぎゃんとじゃないっちゅうか・・・・・・充希になら話してもよかね。実は僕ね、白梅まで冬未に告白しに行ったつよ」



「男の子1人で白梅に?ばかだろお前・・・ってそっか、隼瀬は冬未ちゃんが言うてくるっと待ちきらんかったつね」



「うん・・・・・・冬未はあぎゃん強引に見えたっちゃ結構気にしぃだろ?僕もずっと言えとらんかったつばってんね。昨日はなんか行かんとしゃがなって思ちから」



「恋のキューピッドさんの仕事してくれたっかね」



「キューピッドか・・・・・・(そぎゃん事なんかな、だとしたらそのキューピッドは恵美ちゃんか?)」



と、そんな2人の会話に咲良が割って入ってくる。



「聞こえちゃったぞ〜、隼瀬ちゃんすぎゃあね!好きな女の子に告白すっとに男の子1人で女子校に乗り込むとか」



「別に校門前行っただけで乗り込んじゃおらんばってんね」



「それにしたっちゃ女子校なんか男に飢えたお猿さんばっかたい」



「凄い偏見?!(でもないんか、こっちん世界だと)てかそぎゃんいいんちょだって女ん子だしお猿さんじゃなかつね?クラスの女子達だって変な話ばっかしよったい」



「私が男の子ば襲いそうに見ゆっ?」



「「見ゆったい」」



「隼瀬ちゃんも充希ちゃんもなんでや」



「僕達男からしたら女の子な皆そぎゃんごつ見ゆんよねえ」



「うんうん、充希の言う通りよ」



「えぇ・・・・・・」



「だってたい、僕と充希が何かくれたらやるち言うたらどうする?」



「ヤる」



「「即答すな」」



「そりゃ2人とも上玉たい。皆に自慢でくっし」



「やっぱいいんちょも女ね、隼瀬」



「うん、ばってん下手に隠さるっより正直でよかかんね」



とりあえず隼瀬と充希の評価は下がる事はないようで、ホッとする咲良であった。




放課後



メールがあったとおり、校門前で待つ冬未に隼瀬は周りの目も気にせず駆け寄り抱きつく。



「隼瀬、恥ずかしゃあどが」



「だってわざわざ来てくれて嬉しいもん」



えへへと笑う隼瀬にもうしょうがねぇなてやんでえと言う感じで頭を撫でる冬未である。江戸っ子じゃなくて肥後っ子なのに。



「隼瀬、今日は私ん家に泊まり」



「いくら付き合っとる言うたっちゃ、冬未言うたっちゃ、女の子の家に1人でお泊まりなんてお父さん・・・なともかくお母さんの許すかなあ」



「大丈夫、さっき電話で許可取り済だけん」



「あ、そうね・・・・・・(いくら許嫁言うたっちゃ色々許しすぎだろうちの親も)」



「うちの親も今日な帰らんごたっし、いっぱい楽しもうばい」



「冬未のえっち」



「まあ女だしね、あんたみたいなもぞか子に告白されて、一晩おって我慢しろってのが無理。それに私達やっぱそっちの相性もよかごたっし」



「もう・・・///」



でもそんな事もちょっと期待しているむっつり少年隼瀬ちゃんである。




夜 葛西家 リビング



「冬未、ご飯でけたばいた(できたよ)」



「隼瀬、私ん好きなもんよっと分かりすぎだろ」



「ちょっと張り切って作りすぎちしもた」



「隼瀬が作ってくれたもんだし全部食ぶっばい」



隼瀬の料理に舌鼓を打ち、なんか本当に新婚生活みたいだなと、幸せな気分に包まれる冬未であった。









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