#140字小説 二百物語 第八集

遠くから聞こえる花火の声。

夏の風物詩。

ドン、ドン、ドン…

腹まで響く重低音。

ドン、ドン…

夜空を明るく染め上げる。

ド~ン…

ひときわ大きな4尺玉。

天から地上まで視界全てを覆い尽くす。

会場は人で溢れ。

たくさんの屋台が待ち受ける。


今年はコロナの影響でやってなかったよ… #140字小説

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家の裏手の雑木林

その一角の大きな桑の木

目の高さで曲がり洞になっている

樹液が溜まる虫たちの楽園


カブトムシやクワガタが集うスポットへ

友を誘い虫捕りに向う

洞を懐中電灯で照らすと黒いお尻が目に入った

「ほら、いた」

得意げに捕った昆虫を友人に見せると…


「それゴキブリ…」 #140字小説

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遠くから聞こえる監視員の声。

夏の風物詩。


「走らないで~」「危ないよ~」


言う事を聞かない子供たち。

猛暑に水辺で涼をとる母親たち。

際どい水着で色を漁する陽キャたち。

泳ぐ。焼く。涼む。遊ぶ。飲む。食べる。

みんな楽しそうだ。


今年はコロナの影響でも大混雑だったってよ… #140字小説

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今年の子供は可哀想だという

コロナで夏休みが短くなったと

どこにも遊びに行けなかったと


その分春休みは長かったよね?

元々夏休みに旅行できない家庭だってあるよね?


人生楽しい事ばかりじゃないよ

何事も当たり前と思っちゃいけないよ

若いうちに経験できた事はきっとプラスになるよ #140字小説

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夏が好きだ。

何が好きって、気分が明るくなる。


海。山。川。

遊ぶ場所に事欠かない。

祭り。花火。盆踊り。

イベントも多い。

夏休み。お盆。日照時間。

自由な時間が増える。


夏の終わりが近付く。

やり残した事は無いか。

寂寥感と焦燥感。

胸がざわつく。


今年の夏も、もう終わる。 #140字小説

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