第5話 公園の美少女

本当につまらない。


折角、愛子ちゃんと仲良くなったのに、すぐに引っ越しなんて。


何で夏休み前に引っ越しなんてしたんだろう?


せめて少し待って9月からにしてくれたら良かったのに。


お父さんもお母さんも仕事でいないし。


仲の良い友達も近くにいない。


昔の友達もなぜか電話に出ない…


なんか、寂しい…

仕方なく今日も僕は1人いつもの様に、散策をしている。


図書館に東京なのにここには風物博物館があった。


適当に見たけど、大した物は無かった。


本当につまらないよ。


結局、今日も僕は夕方まで歩き回っていた。


小さな公園でブランコを漕いでいる女の子が居る。


おさげの髪に大きな目…凄く可愛いい。


『少し胸がチクり』とした。


だけど、凄く短いスカートを履いている。


幼児なら兎も角、パンツが丸見えのスカートなんて今時履かないよな。


あんなスカート今じゃ昔から続いているアニメしか履いてないし、今はミニスカート履くならスパッツとか履いているはずなんだけど…


凄く可愛いけど、今の美少女じゃなく『昭和の少女』という感じに見えた。


「お兄ちゃん、もしかして私が見えるの?」


「えっ?」


「あはっ、やっぱり見えるんだ! うれしいなぁ~ お兄ちゃんも一人? 」


「うん、転校してきたばかりで1人なんだ」


「そう…望も一人なんだ…いつも遊んでくれる?」


多分、望ちゃんは小学校3年生位なのか、よく甘えてくる。


ブランコを押してあげたり、くるくる回る遊具で遊んだり、鬼ごっこしたりした。


気が付くと辺りは暗くなり時間は6時半になっていた。


「もう、遅いから帰らないと」


「ええっお兄ちゃん帰っちゃうの?」


「うん、遅いからね…もしよかったら明日も遊ぼう」


望ちゃんがの表情が変わった気がした。


「お兄ちゃん…明日じゃなく死ぬまでこの公園で遊ぼう…」


「えっなに?」


眠い…望ちゃんと話の途中なのに眠くなってきた。


『私の理人に…手を出すな』


『ひっ…ごめんなさい…嫌ぁ嫌ぁ…殺さないで』


いつかの声と望ちゃんの声…妄想…喧嘩している?


◆◆◆


「ううん、うっ僕は寝てしまったのか…凄く周りが暗い」


「お兄ちゃん」


望ちゃん、嘘膝枕してくれていたの…


「望ちゃん、まさか今まで膝枕してくれていたの?」


「うん…今日でお別れだから…」


望ちゃんは凄く暗い顔をしていた。


眼からは涙が出ている。


「そんな、明日もまた遊ぼうよ」


「ううん、望、遠くに行く事になったから、さようなら…」


そう言うと望ちゃんは…あれ、消えた見間違いだよね。


◆◆◆


「ああっ、あれはナニよ…悪魔、邪神…解らないけど、あんな怖い者が居たんじゃ…手なんか出せないよ…あのお兄ちゃん、凄く綺麗で可愛かったのに…望が結婚するつもりだったのに…畜生――っ。60年ぶりの恋だったのに」


そう言いながら望は公園から去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る