第361話
「家に着くとマナミは何もなかったように、お腹空いたでしょ、ご飯作るね、テレビでも観てて、と言った。私はマナミの自分勝手な行動に驚いたし、腹も立った。私はレナの面倒を見なきゃいけないのに。この時間に一人にしておくことなんてできないのに。私は、帰る、と言ってドアに向かった。マナミは慌てて止めに来た。今日は泊まっていきなよ、一緒にテレビ観ようよ、お菓子食べながら夜更かししようよ、と縋る口調で言われた。私は少し乱暴に、そんなことできないよ、私は妹の面倒を見なきゃいけないんだから、ときっぱり断った」
――きっぱり断った……から助かる、のか? そろそろ終盤だよな。
「そうしたらマナミは態度を変えた。私を睨むような真剣な顔つきでじっと見た後、低い声で言ったの」
――いよいよ本性が……。
「妹って誰? あんたずっとレナって子の話してるけど、あんたの家、誰もいなかったよ。一人でテーブルの下とか押し入れの中に向かって話しかけてて、気持ち悪かった。しかもあんた、冷蔵庫を開けて、レナ? って呼んでたけど、一体何が見えてたの?」
「あ、そっち?」
思わず声に出た。軽く鳥肌が立つ。こんなの不意打ちだ。
「終わり」
言うとタナトスは、どこか満足したように息を吐いた。
「怖い?」
「……うん。ぞっとした」
冷蔵庫の中に呼びかけるって……何がどんな風に入っているんだ。
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