第358話

「女の子はマナミと名乗った。ショートヘアでハーフパンツを穿いたボーイッシュな子。私は人見知りなんだけど、何だか打ち解けやすい雰囲気で、初めて会ったのに話が弾んだのは不思議だった。学校のこととか好きなテレビ番組の話なんかをしているうちにあっという間に日が暮れて、それでその日は別れたの」

 ――怪しいな、その子。

「私は翌日、学校でマナミを探した。でも見つからなかった。学年が違うのかも。ちゃんとクラスを聞いておけばよかった。でも土曜日の今日、また同じ公園で会えたの。私はそのときスーパーに行く途中で荷物を持ってなくて、時間もまだ昼過ぎだったから、たくさん話せると思って嬉しかった」

 ――その間、妹は一人で留守番? あ、お母さんがいるか。

「私はどうしてだか、最初に会ったときからマナミが大好きになってた。マナミは私の買い物に付き合うと言ってくれた。私たちは親友のように楽しくおしゃべりをしながらスーパーで買い物をした。それから思い切って、うちに来ないかと誘ったの。お母さんは今日は昼前から出かけていて、明日の夕方まで帰らないはずだったから」

 ――お母さん、彼氏できたのか。いや、むしろ離婚の理由がそれ?

「マナミは喜んで遊びに来てくれた。そこでやっとわかったんだけど、マナミの両親も離婚して、今はお祖母ちゃんの家で暮らしているんだって。でもお祖母ちゃんは少し前から入院していて、お母さんもあんまり家にいない。それで寂しかったって聞いて、切なくなった。私とマナミは似てる。初めて会ったときから仲良くなれたのはそのせいかもしれない」

 ――きっとマナミは幽霊だな。無理心中させられた子とか……。

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