第224話
自分のことについてはあまり実感がない。作り話だとわかっているし、現実には弟も澄子も生きているはずだ。ゲーム内の自分も、自分の境遇より琥太朗に泣かれるほうが辛かった。どうも、琥太朗が幼い頃の弟に思えてしまうのだ。
弟は五歳下だから、今年一七か。高校二年生だ。もうそんなに大きいのかと思う。安治のイメージではいつまでも小さい頃のままだ。
安治が家を出たとき、弟は中学生だった。弟は理由をつけては安治のアパートに来たがった。東京での一人暮らしに憧れを持っているらしい。
母親に会うのが嫌で実家には帰省していない。だから澄子とは実家を出たきりだが、弟とはたまに会っていた。最後に会ったのは一年くらい前だろうか。ならばもう高校生だったはずだ。顔は覚えている。自分と同じく長身なので、年齢よりは上に見えたと思う。それでもイメージの中ではいつまでも幼い。
風呂を出て食事を取り、おりょうも風呂を済ませるのを待って、それからはだらだらと過ごした。
おりょうは性行為に対して積極的だった。積極的というより、何とも思っていないのかもしれない。楽しんでいるようにも見えるし、仕事としてこなしている風でもある。きっと受付嬢が微笑みを絶やさない程度のサービス精神なのだろう。
かなり経験豊富な様子で、ムードを保ちつつ的確に誘導してくれる。考えなくて済むので楽だ。これに慣れてしまったら、他の人と付き合うとき困るだろうなとも思う。
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