第131話
――本当はどんな見た目なんだろう。
絶対に当たるはずのない想像をする。実は小柄だったりして。顔はそれほど良くも悪くもないはず。褒めそやされたり貶されたりしていた記憶はないのだから――。
見てみたい――という気持ちがわいた。
――会ってどうすんの。
会うわけじゃない。ただ、どんな顔か気になるだけだ。ビデオの映像でもいい。どんな人かわかるものがないだろうか。
不意に澄子のイメージがたま子に変わった。
――あいつとは部屋でしか会わない。
やや怒ったような顔つきとぞんざいな口調が思い出される。
――たま子さんの彼氏かあ。
それも想像がつかない。たま子より背が高いだろうか。
二十歳と言っていた。四つも年下だ。何か意外な気がする。
――男とも限らないだろうし。
安治が彼氏という表現を使ったとき、否定はしなかった。しかし本人はそういう言い方をしなかったように思う。性別を特定するような言い方はしなかったはずだ。
――案外、可愛らしい子だったりして。
可愛らしい女の子――を想像するつもりが、何故か瑠那が浮かんだ。ギャルメイクなのに少しも可愛くない中年女性だ。身長と服装だけは可愛かったが。
――今度会ったらどうしよう。
急に肝が冷えた。積極的な女性には若干の苦手意識がある。嫌な思い出があるのだ。
中学時代、通っていた塾の女性講師にどういうわけか気に入られて、交際を申し込まれた。
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