第129話

 何のことはない、簡単なストレッチと、最後にスクワットを二〇回させられた。できた。ただし、腿の裏側の筋肉が激しくプルプルしている。運動不足だ。高校時代は平気でできたのに、いつの間にこんなに弛んだんだろう。情けない。

 おりょうはこの身体を気に入ってくれるだろうか……というのは考え出したらやはり鬱になりそうなので、考えないことにする。

 シャワーを浴びた後だというのに汗をかいてしまった。もう少ししたら風呂を沸かしておこう。

 おりょうは湯船に浸かる派だろうか?

 浸かる派だとしても、帰りが遅い日はシャワーだけという可能性もある。反対に必ず湯船に浸かりたい派の可能性もあるので、沸かしておいて問題はないはず。

 入る順番は気にするだろうか。他人が入った後の湯には浸かりたくないとか思うタイプだろうか。思うタイプだけれど言い出せずに我慢させてしまっては可哀想だ。

 念のため、用意だけして待っていたほうが無難だろう。おりょうのほうが髪を乾かしたり何したりと風呂を出た後にすることが多いのだから、先に入ってもらえばいい。

 冷蔵庫の透明なピッチャーに入っていた茶色い液体をグラスに注いでソファに行く。色味からして麦茶かほうじ茶かウーロン茶か紅茶だろう……麦茶だった。

 麦茶は自分でもよく作っていた。季節問わずやかんで煮出して、夏以外はそのままキッチンに置いておく。たまにティーバッグを取り出し忘れて変な味にしてしまったものだ。

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