第128話
本社の人間は仕事の話をしたがらないとたま子は言った。
おりょうにもあまり聞かないほうがいいのだろうか。聞いたところできっとわからないのだし。
疲れて帰ってくるのに、あれこれ説明させるのも悪い気がする。でも話すことがストレス発散になる人やコミュニケーションだと捉える人もいるはずだ。
何時に帰ってくるだろう――時計を見る。まだやっと一九時半だった。
遅くなると言ったのだから二二、三時頃だろうか。そうなら帰ってすぐに寝るだけかもしれない。
今日は――するのだろうか。
複雑な感情がわいた。おりょうは美人だ。あのきれいな肌と華奢な身体を抱きしめるのに抵抗はない。まったくないわけではないけれど、ほとんどないとは言っていい。ただ――。
どんな身体なのかわからない。好奇心より不安のほうがやや勝っている。やり方がわからなかったらどうしよう――。
考えるほどに憂鬱とプレッシャーが膨らむ。もとより乏しい自信がさらになくなっていく。考えるのをよそう。
切り終えた具材を鍋に入れ、シャーリーの指示通りに調味料と水を加えて電源を入れる。使ったものを片付けたら、後は電気圧力鍋と炊飯器が完成させてくれるのを待つだけだ。
「待つ間に軽く運動などされてはいかがですか?」
「え」
予想外の提案をされた。面倒には感じたが、一体どんな運動を勧められるのかと気にもなったので、とりあえず聞いてみる。
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