第125話

「これって豚肉だよね?」

「はい、豚肉です」

「豚――コマ?」

「それは豚バラです」

「どう違うの?」

「バラはあばら骨についているお肉を薄切りにしたものです。コマはいろんな部位の切り落としを集めたものです」

「ああ……」

 そういえばそうだった、という気持ちと、そうだったのか、という気持ちが同時にわいた。スーパーにはよく行くので、たびたび目にするうちに、何となくわかったような気になっていた。

「ええと、カレー粉は……」

「下の戸棚にあります」

 開けてみると、カレールウ数種類のほかに缶に入ったカレーパウダーもあった。流しの上に置かれた調味料棚にはいろいろなスパイスも並んでいる。

 いつもはカレールウで作る。カレーパウダーは以前、一人暮らしを始めた直後に挑戦したことがある。いまいちだった。きっとスパイスが足りないのだろうとは思ったが、普段使わないものをカレーのためだけに買うのももったいない。ならばカレールウ一つで済ませたほうが手軽だという結論に至ったのだ。

 しかし今のこの環境なら、多少冒険しても満足のいく味付けができるかもしれない。

「カレーパウダーでも作れる? 材料揃ってる?」

「はい。ご案内いたします」

「じゃあそれで」

 まずは野菜を……と思ったところで、先にお米をセットしておこうと思いつく。忘れてはならない。

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