第2話

 大学に入るときに借りたワンルームの部屋は、片付けがなおざりでごみごみしている。 大したものは買わないのに、いらないものばっかり溜まっていく。

 ――テキストもいらなくなったな。

 テキストだけじゃない、二年間、それなりに真面目に取っていたノートやら資料やら返ってきたレポートやらもだ。適当に部屋の隅に押しやっていたのが、けっこうな場所を取っている。これを全部まとめて資源回収に出すと考えただけでも気が重くなる。

 ――そんな気力ない。

 今日の夕飯を作るので精一杯だ。明日は明日で、仕事を探すのに精一杯だろう。

 留年が決定したのをきっかけに退学の手続きを済ませた矢先、彼女に振られて、バイト先の飲食店をクビになった。

 三つの出来事に関連性はない。――と思う。……わからないけど。

 彼女は別の大学に通う同い年の人だった。安治あんじと違って当たり前に進級した。振られた理由は「安治が他の女の子に色目を使ったから」という、本人には心当たりのないものだった。

 心当たりはないけれど、他の女の子が視界に入ることは当然ある。美人なら美人だなと思う。別に彼女と比べてどうということではない。でも彼女からしたら、何か気に障る点があったんだろう。

 そんなつもりはなかった、と言ったところで、それを証明することもできない。言い合いになれば余計に嫌われるだけだ。結局無駄だと判断して、あっさり別れた。

 本当は、自分が大学をやめてただのアルバイトになったから、将来性を見越して別れを切り出したんだろうと思っていた。

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