目が覚めたら別人になっていたけど、とりあえず普通に生活します

鏡りへい

最後の日

第1話 

 カレーを作ろう、と思った。

 立ち寄ったスーパーで鶏挽肉が安かったからだ。

 挽肉ならキーマカレーと言うのだろうか。でもキーマカレーって鶏肉だっけ?

 よくわからないし、何だっていい。とにかく、少しでも肉が食べたかったから、カレーを作るつもりで鶏挽肉を買った。

 何故肉が食べたいと思って鶏挽肉を選んだのかと言えば、予算の問題だ。

 何故カレーにしようと思ったのかと言えば、作れる料理がそれくらいしか思い浮かばなかったからだ。

 バイトをクビになってしまったので、次の仕事が決まるまで倹約しないといけない。

 小さいパックと大きいパックがあって、迷った末に大きい方を選んだ。

 別にその方が得だからということはない。値段はグラムで決まるのだから、単純にグラムかける単価だ。

 小さいほうなら一回で使い切ってしまう。大きい方なら三回分にはなるだろう。冷凍しておけば保存に困ることはないし、また買いに来る手間が省けて楽だ。そう思った。

 ――帰ったら、まずお米を洗って……。挽肉を冷凍して……。

 そう予定を立てつつ家に着いてみたら、カレー粉とじゃがいもがなかった。

 てっきりあるものと思い込んでいた。

 うちにはカレー粉すらないのか……と、ひどく落胆した。

 貧しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る