第7話 毒の女王
「こんなことを言うと、また君は腹を立てるだろうが……十三年前、私は君を死なせるつもりで『毒の呪い」を移植した』
カイムが暮らしている小屋には家具などという上等なものはない。眠るときは地面に木の板を置き、その上に獣の皮を敷いて眠っていた。
カイムはそんなベッドとも呼ぶことができないほど質素な寝床に、上半身裸の状態で横になっている。
すぐ傍らにはファウストが膝をついて座っており、カイムの身体を診察していた。
「『毒の女王』は最強の魔物。名前の通りに毒を操る能力を持った彼女によって、十三年前の戦いでは万単位の人間が犠牲になった。その傷跡は今もなお王国北方を蝕んでおり、この近辺に住んでいる人間が君に見当違いな憎しみをぶつける原因にもなっている。そんな呪いを移植されて、産まれてもいない胎児の君が生き残れるだなんて完全に予想外だった。私にとっても、君の両親にとってもね」
ファウストの掌がカイムの身体を撫でた。ゆっくりとした手つきで、紫色のアザがあちこちに刻まれているカイムの肌を触診していく。
『毒の呪い』によって、カイムの全身には紫のアザが浮かんでいる。村の子供達から忌避され、石を投げられる原因にもなっている『呪い子』の証だった。
(久しぶりだな……ティー以外の誰かに触れられるなんて)
ファウストに肌を撫でられながら、ふとカイムの脳裏にそんな思考が浮かぶ。
呪いに冒されたカイムの身体に触れるものは少ない。ましてや紫のアザをじかに触れようなど、ティーでさえしないのだ。
例外はカイムを溺愛していた母親か、あるいはカイムを殴りつけて折檻するときの父親くらいのものである。
ファウストが自分に呪いを植え付けた憎むべき相手の一人であることは理解しているが……それでも、人肌の感触と温もりを心地良く思ってしまうのは、無理もないことだった。
「それどころか……君は現在も生きている。毒に臓器を蝕まれて咳や吐血はあるかもしれないが、『毒の女王』の呪いを受けてまともに動けることの方が異常なことだ。かつて賢者と呼ばれていたサーシャだって、半年と保たずに命を落としかけていたのだから」
「つまり……何が言いたいんだよ。ハッキリ言ってくれないか?」
「君は『毒の女王』の呪いに対して抵抗力を有している、という話だよ。それが生まれ持ったものなのか、呪いを移植されたことで後天的に獲得したものなのかはわからないが……カイム君ならば体内に打ち込まれた呪いを克服して、逆に自分の力として吸収することができるかもしれない」
寝転がったカイムを見下ろして、ファウストはそんなことを口にした。
ファウストが掲げた右手には青白い魔法陣が浮かんでおり、空中に幾何学的な文様を描いている。
「精神に干渉して呪いと相対する魔術――十三年前は使うことができなかった、使うことができたとしても、おそらくサーシャには耐えることができなかった手段だ。この魔術を君に行使することにより、カイム君は己の中にある『呪い』と向き合うことができる。体内の呪いと相対して、それを破ることができれば……逆に『呪い』は君自身に吸収されることになるだろう」
「……僕は『呪い子』じゃなくなるってことかな? この不気味なアザが消えて、毒の血を吐いたりしない普通の子供になれるってこと?」
「毒の力が完全に消えるわけではないだろうが……少なくとも、カイム君の意思に反して毒が身体から出ることはなくなるはずだ。まあ、命の危機を感じた際など、本能的に出てしまうことはあるかもしれないけど」
「…………」
「どうかな? 君は自分の身体に打ち込まれた呪いに耐えているが、いつ均衡が破れるかはわからない。臓器もだいぶ痛んでいるようだし……自分の境遇を変えたいのであれば、試してみる価値はあると思うけど?」
「……やるよ。やってくれ」
カイムは答える。ほとんど考えることなどなかった。
自分の身体を蝕んでいる呪いを……不幸の元凶を消し去ることができるのであれば、悪魔にだって魂を売ってもいいとずっと思っていたのだ。
目の前に転がってきたチャンスを見逃す理由など、あるわけがない。
「僕は呪いを克服するんだ……呪いを破って、普通の身体を手に入れて、そして……!」
「そして……なんだい? やりたい事でもあるのかな?」
「……ううん、何でもない」
カイムは心に秘めていた願いを口に出すことなく、飲み込んだ。
漠然とした予感だったのだが……口から外に出してしまえば、その願望が軽くなってしまうような気がしたのだ。
「呪いが治ったら話すよ。僕はいつでもかまわない。早くやってくれ」
「ふうん? まあ、覚悟ができているようならば何よりだ。それじゃあ……始めようか」
「ッ……!?」
ファウストが右手に浮かんだ魔法陣を、カイムの胸に打ち込んできた。
瞬間、身体の中に熱で溶かした鉄を流し込まれたような灼熱が押し寄せてくる。
「グッ……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
身体を内側から焼いてくる熱を堪えきれず、カイムが絶叫の声を上げる。
チカチカと目の前に白い火花が弾け、少年の意識は光の中へと飲み込まれていった。
〇 〇 〇
「ここは……いったい、何処なのかな?」
気がつけば、カイムは見知らぬ場所を漂っていた。
周囲を白い空間で囲まれている。まるで水中にいるような感触だが……息苦しい感じはしない。呼吸はちゃんとすることができている。
「ん……?」
一面が真っ白な空間だったが……ふと遠くに別の『色』が生じた。
白い布に落ちた汚れのような点。やがてそれは徐々に大きくなっていき、壁となってカイムの前に立ちふさがった。
「これって……もしかして、呪いのアザなのか!?」
立ちふさがる壁の色はどす黒い紫色。カイムの身体に刻まれた無数のアザと同じ色をしていた。
「これが……僕の身体に宿った、『毒の女王』の呪いなのか……?」
「まさかそちらの方からやってくるとは……あの外法の魔術師め。余計なことをしおって。げに忌々しい」
「ッ……!?」
紫の壁の中から声が響いてくる。
ゴポリと音を鳴らして、水の中から顔を出すように壁から一人の女性が顔を出した。顔だけの女性は両手を使ってズリズリと壁から這い出してきて、やがて裸の上半身が露わになる。
その女性は二つの色によって構成されていた。
一つ目は『白色』。女性の肌は紙のように白く、まるで透き通るようだ。まるで生まれてから一度として日光を浴びたことがないように、シミや日焼けの痕すらない。剥き出しの乳房は若いカイムにとって目に毒だったが、視線を背けることを許さない美しさがあった。
二つ目は『紫色』。女性は肌以外のほぼ全ての部位を紫で染めていた。髪の毛、瞳、唇、舌……あらゆる場所が紫色で覆われており、見つめていれば発狂してしまいそうなほどおどろおどろしい色彩をしている。
「『毒の女王』……!」
直感的に悟った。
彼女こそが『毒の女王』。かつて魔王と呼ばれて恐れられ、ジェイド王国北部を絶望の底に追いやった最強の怪物。
カイムの身体を冒している呪いの大元にして、元凶たる存在だった。
「……僕は『毒の女王』の呪いに冒されていたんじゃない。『毒の女王』そのものに寄生されていたんだ」
「その通りよ、小僧。ようやく気付いたようじゃのう」
目の前の不気味な美女――『毒の女王』が唇をつり上げて笑う。
「妾は不死の存在。死してもなお甦る神格の魔性じゃ。殺されて肉体を滅ぼされたとしても、殺した相手の身体を毒で冒して最後には奪い取る……そうして、数百の齢を重ねてきたのじゃよ」
「…………!」
「あの魔術師の介入によって貴様の母の肉体は奪い損ねたが……代わりに、息子の身体をいただくとしよう。こうして魂に干渉されるのは予想外じゃが、この機会は存分に利用させてもらう。小僧、妾に肉体を差し出すがいい!」
『毒の女王』がカイムに向けて手をかざす。紫の壁がまるでスライムの触手のようになってカイムに襲いかかってきた。
「クッ……このっ! 近寄るな!」
カイムは必死になって抵抗する。
白い空間を移動して攻撃を避け、躱すことができなかった触手は殴りつけて破壊した。
「ほう? これは驚いた。何もできぬ小僧かと思いきや……なかなか動けるではないか」
「僕は家を追い出されてから、ずっと一人で生きてきたんだ! 簡単にやられてたまるか!」
母親が亡くなって家を追い出されてから、カイムは鍛錬して自分を鍛えていた。
呪いのせいで突発的な咳や吐血に襲われることはあるものの、比較的調子が良い時を狙って拳を振るってきたのである。
毒の血液のおかげで獣に襲われることはなかったが、毛皮や肉を得るために狩りをしなくてはいけない場面もあった。
頼れる人間が誰もいない生活の中で、子供なりに自分を救う努力を重ねてきたのである。
「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
カイムは襲いかかってくる紫の触手に、ひたすら拳を叩きつけた。
大嫌いだが最強である父親の動きを模倣し、見よう見まねで身体を動かす。
その動きは思いのほかに鋭く、洗練されていた。
カイムは王国最強にして『拳聖』と謳われる男の息子である。才能は十分にあったらしく、触手を次々と粉砕していく。
「ふむ……なかなかに面白き小僧よ。じゃが……」
「ッ……!?」
『毒の女王』がパチリと指を鳴らした。その瞬間、触手が動きを変える。
紫の壁から出てくる触手が無数の針となり、カイムの身体を一斉に貫いた。
「カハッ……!?」
「これにて
「クッ……ううっ……」
全身を針で貫かれ、カイムが苦悶の声を漏らす。
抵抗しようにも手足を動かすことができない。手足から、胴体から、全身のあらゆる部位から痛みが湧き出してきた。
「さて……それでは身体をもらい受けるとしようか。『毒の女王』の復活。絶望の始まりじゃ!」
「グッ……アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
身体に刺さった触手の針を通じて、『毒の女王』がカイムの身体に毒を流し込んできた。
痛み、苦しみ、痺れ、熱さ、冷たさ……呪いの毒によってあらゆる種類の苦痛を与えられて、カイムは肺の中の空気を残らず叫びに変えて吐き出した。
こんな苦痛を与えられるくらいなら、死んだ方がマシである。一秒でも早く、人生最大であろう絶望から逃れたい。
カイムは苦痛から逃れるために意識を手放し、『毒の女王』の望み通りに己の全てを差し出そうとした。
「…………!?」
しかし……そこでふと、気がついた。
毒の呪い――圧倒的な苦しみと絶望に混じって、別のものが触手を通じて流れ込んでくる。
(これはもしかして……『毒の女王』の記憶なのか?)
そう、それはまさしく目の前の怪物の記憶だった。
カイムの肉体を乗っ取るために精神や記憶を流し込んだことにより、カイムは『毒の女王』の過去を目の当たりにすることになったのだ。
〇 〇 〇
『毒の女王』は五百年ほど前、大陸南方にある小国によって生まれた。一人の『人間』として。
生まれながらに『毒の呪い』を操る異能を有していた彼女は、国に雇われ、隣国との戦争に参加させられることになった。
彼女は圧倒的な力によって敵軍を粉砕して、やがて英雄と呼ばれることになる。国王が、貴族が、民衆が……ありとあらゆる人間が彼女を称賛した。
嬉しかった。誇らしかった。
祖国の役に立つことが出来ることが、愛する人達の未来を守ることが出来ることが、何よりも嬉しい。
彼女は誇りを胸にしながら戦い続け、やがて祖国を勝利に導くことになったのである。
だが……彼女の栄光の人生はそこまでだった。
戦争が終わって用済みになった途端、周囲の態度が一変したのである。
『邪悪な怪物を殺せ!』
『あの女は魔女だ、魔女を火炙りにしろ!』
これまで救ってきた人々が、戦争が終わった途端に態度を翻して彼女のことを殺害しようとした。
無私の忠誠を捧げてきた国王でさえ、兵を送り込んで彼女のことを始末しようとしたのである。
『私が何をしたというのですか!? 私は何も悪いことなんてしていないではありませんか!』
『黙れ、魔女が!』
『お前のような娘を持った覚えはない!』
『死んでしまえ、一族から呪われた魔女が生まれたなんて恥だ!』
家族や友人までもが彼女を責めた。
彼女のことを『魔女』と呼び、石を投げ、剣や槍を向けて殺そうとしてくる。
『どうして私がこんな目に……私は悪くない、私は大切な人を守っただけなのに……私は、わたしは、
そんな絶望が。孤独が、彼女を『魔王』にした。
新たな魔王――『毒の女王』となった彼女はそのまま怒りを憎悪のままに、生まれ故郷を滅亡に追いやったのである。
勇者に、魔術師に、神官に……『毒の女王』となった彼女は時に殺害されることはあったものの、『魔王』になったことで不死の存在となっていた。
自分を殺した人間に呪いをかけ、その身体を乗っ取ることで永遠の命を得たのである。
後に封印されて世界から一時的に消えることになったものの……『毒の女王』は自分を裏切った人類に対して、永劫に渡る復讐の権利を与えられたのだった。
〇 〇 〇
「ッ……!」
意図せず『毒の女王』の記憶を読み取ってしまい、カイムは大きく表情を歪めた。
カイムの心を苛んでいるのは、他人の絶望を強制的に共有させられたことによる苦しみではない。
むしろ……その逆である。
「同じじゃないか……僕と、僕がこれまで味わった苦しみと、一緒じゃないか……!」
カイムが『毒の女王』に対して抱いていたのは……共感と同情だった。
迫害の程度に差はある。立場や境遇の違いだってある。
しかし、自分に非のないことを理由に他人から悪意をぶつけられ、家族から裏切られた境遇はカイムの現状と一緒だった。
ファウストの話を聞いて、カイムは『毒の女王』に対して激しい怒りと憎しみを抱いていたはずである。しかし、彼女と記憶を共有したことにより、その考えは一変していた。
得体の知れない化け物である『毒の女王』は孤独で哀しい女性でしかない。彼女は怪物なんかじゃない。自分と同じ孤独と絶望に苛まれた人間だったのである。
「……無理だ。僕はもう彼女と戦えない」
呪いを打ち破るという目的を達成することは、もはや不可能である。
カイムはもう『毒の女王』に敵意を向けることができない自分の心を自覚してしまったのだから。
「う……アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
しかし、異変が生じたのは『毒の女王』の方も一緒だった。
カイムを針で縫い留め、自分の記憶を流し込むことで身体を乗っ取ろうとしていたはずの『毒の女王』であったが……彼女もまた、頭を抱えて絶叫を上げたのである。
「ううっ……小僧、貴様……貴様は……!」
「……貴女も見たんですね。僕の記憶を見てしまったんですね?」
カイムはすぐに気がついた。瞳に涙を貯めてこちらを睨んでくる『毒の女王』が、自分の記憶を読み取ってしまったことに。
カイムの身体を乗っ取るために精神をつなげたことで、『毒の女王』の方にもカイムの記憶が流れ込んでいたのである。
これまで、『毒の女王』は幾度となく他者の身体を奪ってきた。
奪ってきた相手は、いずれも『魔王級』である彼女を打ち破ることができる英雄。才能に恵まれて祝福された人生を送っていた者達である。
だから、躊躇いなく乗っ取ることができた。奪い取ることができた。
持たざるものだった『毒の女王』にとって、自分が持っていないものを有した人間の肉体を奪い取ることは、一つの復讐でもあったのである。
だが……カイムは違う。
カイムもまた持たざる者。自分と同じく孤独と絶望に苛まれた者だったのである。
「僕はもう、貴女と戦えない……」
「…………」
カイムは呼びかけるが……『毒の女王』は無言。
けれど、相手も同じ気持ちであることはわかった。その証拠に、先ほどまでカイムの身体を刺し貫いていた触手の針が消えている。
「僕はあなたに消えて欲しくない。だけど、出来ることなら自分が消えたくもない」
「…………」
「だから……こういうのはどうでしょう?」
カイムは『毒の女王』に一つの提案をした。
『毒の女王』は相変わらず頭を抱えたまま無言だったが……沈黙の中かから、肯定の意思が伝わってくる。
「……考えても見れば、あなたはずっと僕と一緒にいてくれたんですよね。母が死んで、家を追い出されてしまった僕のそばには、ずっとあなたがいてくれた……」
カイムはつぶやいて、『毒の女王』の前に移動する。手を伸ばし、彼女の顔に触れた。
「……妾は」
『毒の女王』はつぶやくが……その言葉の先は空気に溶けるようにして消えてしまい、形になることはなかった。
だけど、それで十分だった。
『毒の女王』はカイムの手を拒むことなく、彼女もまた少年の胸に手を伸ばしてきて……次の瞬間、二人の身体が重なった。
「…………!」
白と紫。
空間を支配していた色が混じりあい、溶けあって一つになっていく。
まばゆい閃光が空間を満たしていき、その先に残ったものは……。
〇 〇 〇
「…………」
「へえ、これは驚いたな。こういう結果になるのか」
意識が引き戻される。瞼を開くと、そこにあったのは見慣れた天井だった。
カイムが暮らしている森の奥の小屋。みすぼらしく、雨の日には水が漏れてくる穴の開いた天井がそこにある。
「とても面白い結果だ。君はいったい、
「……ファウスト」
カイムは身体を起こして、自分の状態を確認する。
上半身裸の身体からは紫色のアザが消えていた。紙のように白かった肌は適度に日焼けした健康的なものに変わっている。
身体はかつてないほど調子が良い。息苦しさ、咳の衝動なども消えている。おそらく、今の時分であればかつてのように吐血することもないとわかった。
「僕は……妾は……?」
だが……身体に違和感がある。身体の調子は絶好調なのに、不思議と何かが噛み合っていない感触がするのだ。
カイムが首を傾げていると……ファウストが魔法で生み出した鏡を眼前に差し出してきた。
「あ……」
鏡の中には見慣れない人物が映し出されていた。
基本的な目鼻立ちはカイムのものと同じである。しかし、顔立ちが全体的に成長して大人のものになっている。
髪の色は白から紫色に変わっており、瞳の色も同じだった。『毒の女王』のような毒々しい紫ではなく、アメジストのように煌びやかな紫色である。
そして、何よりも顔面に浮かんでいた紫色のアザが消えていた。魔法の鏡には、やや中性的な顔立ちながら精悍な美青年が映し出されていた。
「大人になっているのか。もしかして……」
試しに立ち上がってみると……背が伸びている。
十三歳だった頃よりも視界が頭二つ分近くは高くなっており、骨格もしっかりして筋肉がついていた。
「さて……状況を確認できしたところで、もう一度尋ねようか。君はカイム・ハルスベルクなのかな? それとも、人類の敵である『毒の女王』なのかな?」
ファウストもまた立ち上がり、再度問いかけてきた。
少し前まで自分よりも背が高かったはずのファウストの顔が、視線よりもやや下の位置にある。
カイムはメガネをかけたファウストの顔を見下ろして……口を開いて名乗りを上げた。
「僕は……違うか。
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