第2話

休み時間、私は温かい飲み物が欲しくなって

自販機に行った。

お金を入れて自販機の前で、コーヒーかココアかを悩んでいると後ろから突然手が伸びてきて……。


ピッ。


「え?」


ガコンと飲み物が落ちてきた。

後ろをむくと、結翔くんがイタズラな笑顔を見せて私を見下ろしていた。


「ちょっと! 何してんのよ」

「先輩がボーッとしてるのが悪いんですよ」

「だからって、人の金で買うな!」

「へっ」


飲み物を取り出してそそくさと行ってしまった彼。ムカつく。

でも、そんなイタズラな性格も……好き。



昼休み、私は杏奈と食堂に行った。

そこには、友達と賑やかに楽しんでいる結翔くんの姿があった。


「あ、あそこ。いるよ」


杏奈が教えてくれたけど、私は入った瞬間から彼がいることに気づいていたから心の中で『知ってるよ』と呟いておいて、


「あ、本当だ! んふふ」


あたかも、杏奈に言われたから気づいたという雰囲気にしておいた。

友達と楽しんでいる結翔くんの姿を見るだけで、午後も頑張れる。

そんな私、ちょろいよな。でも、好きな人の存在ってだいぶ大きいんだよ。



「そういえば、羽柴くんには告らないの?」

「え?」


帰りのホームルームが終わって、みんなが教室を出始めてる時杏奈が突然聞いてきた。


「好きなら好きって言わないと。来月はもう家庭研修期間に入っちゃうから会わないし、あっという間に卒業式来ちゃうじゃん」

「たしかに、そうだね。でも、なんだろ。勇気がないというか……」

「勇気?」

「うん……」


本当、その勇気だけ。私に必要なのは。

その勇気さえあれば、私できるのに……。


「じゃあ、また明日ね!」

「バイバイ!」


昇降口で、私たちはわかれた。

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