この恋は一方通行です

櫻葉ゆう

第1話

君の瞳の中には、誰が映っていますか?

君の瞳に映る未来には、私は写っていますか?


この恋は、どこにもたどり着かない一方通行です──。



2019年1月中旬。

高校3年の三学期は会ってないようなもので、いよいよ高校生活も終わりが近づく。


「美穂ー」


この子は、私の親友・三上杏奈。


「杏奈。おはよ」

「おはよう。あともう少しで終わっちゃうね……」

「本当。早いよねー」

「はぁ……」


2人のため息が揃って、冷たい空気の中に溶けていった。


「何ため息ついてるんですか?」


後ろから低めの声が響いた。

ふと振り向くと、そこにはマフラーを巻いて手袋をしている可愛らしい男子高校生が1人歩いてきた。


「結翔くん」


私たちのひとつ年下で2年生の羽柴結翔ゆいとくん。

陽キャっていう感じで、誰とでも仲がよく社交的。


私は、そんな彼に密かに恋心を抱いている。

このことは、親友である杏奈は知っていて時折相談に乗ってくれる。


「結翔くんは、バレンタインのチョコ毎年貰ってるんでしょ?」

「ちょっと、杏奈! 何聞いてんのよ」

「あはは。先輩、何聞いてるんですか?」

「そうだよ、杏奈」

「そんなの、分かりきったことじゃないですか」

「え?」

「貰ってますよ。有難く」


だよね。貰うよね。


過去のことを聞いて、勝手に嫉妬している私はなに?


「美穂、どうした? 大丈夫?」

「え? あ、うん! 大丈夫! ごめんごめん!」

「じゃあ、俺はこっちなんで」

「うん! じゃあまたね」


昇降口でわかれた私たち。


「結翔くん、今年も貰うんだろうなー」

「まあ、そうだよね。カッコイイしモテるもんね」

「ていうか、美穂。さっき、ちょっとヤキモチ妬いてたでしょ?」


ちょっと笑いながら、聞いてくる杏奈。


「え? わかった?」

「んなの、バレまくりです!」


親友は、何でもお見通しだな。

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