No.4 魔王様方のお名前考えました、お気に召されるでしょうか

結界の外に出るために歩くアギ―達。

皆は自分が持つ能力の話をしていた。


「アタシ能力は、焔を操る事だ!どうだ一番かっこいいだろ?」

アギ―に顔を寄せ、自信満々に言う焔の魔王。


「我の能力は水を操る、氷結や沸騰などだ。まあ自分で言うのもなんだが、どこぞの暑苦しい奴よりよっぽど美しい能力であろ?」

焔の魔王を押しのけ、冰の魔王も自信ありげに言った。


「んだとテメェッ!!蒸発させてやろうか!!」

「貴様を氷像にしてやっても良いんだぞ、静かな分今よりよっぽど美しくなる」

喧嘩を始める二人。


能力による相性なのか、性格によるものなのか二人はよく小競り合いをしている。


「私達は光と闇を生み出したり操ったりできるわ。因みにマイブームで今は雷を出してみたりぃ♥バチバチしてて綺麗でしょー♥」

喧嘩している二人の事を一切気にせず、黄金と紫煙の魔王が人差し指と中指の間にバチバチと電撃を出してみせた。


「私達……お会いした時から気になっていたのですが、私達とは?時折低温ボイスの方の声が聞こえるような」

アギ―の質問を聞いてハッとする黄金と紫煙の魔王。


「ああ、そうだったわね!そこも説明しておかないとね」

そう言うと黄金と紫煙の魔王が光を放つ。


光が2つに分裂。そして黄金の光と紫の煙が現れた。


「紹介するわね、私の愛しきダーリン、闇煙の魔王よ」

紫の煙が男性の姿へと変わる。


黒髪で紫のコートが特徴的な服装、目元には大きなくまがある。

「ほらダーリン、私達のカワイイ召喚士ちゃんよ♥」

「ん、よろしくな」

彼は軽く手を上げて挨拶をした。


「ど、どうも!こちらこそよろしくお願いします!」

アギーは挨拶をし、頭を下げた。


「ああ」

「ごめんなさいね、ダーリン人見知りだから。カワイイ子を前にして緊張してるの」

「そういうのじゃない」

黄金の魔王は闇煙の魔王の腕に抱きつく。



「というか……あの……」

アギーは黄金の魔王の方に目を向け、顔を赤らめる。


「な、なんで裸なんですか!!黄金の魔王様!!」

黄金の魔王は普通に全裸だった。

彼女がキラキラ光っている為、細部はハッキリとしないが明らかに全裸だった。


「えー?どうして服を着なきゃいけないの?このどんな金銀財宝よりも美しい体を隠す必要なんてどこにもないわ♥もっとよーく見てくれて良いのよ♥」


顔が真っ赤になったアギーに近づく黄金の魔王、それを紫煙の魔王が止めて自分が羽織っていたコートを彼女にかけた。


「だから服は着ておけ、会って間もない人間相手なら猶更な」

「はーい、ダーリンがそう言うなら仕方ないわね」

彼女は指を鳴らすとドレスが現れる。


それでもかなり露出度は高いが、まあ先ほどよりは大分ましだ。


「すまない、こいつは露出の癖があってな」

「えー!そんな変態みたいな言い方ー、でも良いわダーリンだし♡」

紫煙の魔王にひっついてデレデレする黄金の魔王。


「なんでお二人は一緒の身体になっているのですか?」

「愛し合いまくった結果よ♡」

紫煙の魔王の腕に再び抱きつきながらウィンクする彼女。


「それで合体できるんですか?!愛って凄いです」

「お前ピュアだな。良いから先行くぞ」

焔の魔王がアギーの頭を掴んで進む。




歩いているとふとアギ―の頭にある疑問が浮かび上がる。


「そういえば、皆様のお名前はあるのですか?」


「名前?あー、お前で言うアギーみたいなのか?」

「そうです!焔の魔王様もかっこよくて好きなのですが、よろしかったらお名前でお呼びしたいなーと」

そう言われた焔の魔王は頭をポリポリとかく。


「私達の殆どは名前なんて持ってねえな」

「ふむ、そうだな。そもそも名前は個人を識別するもの、我々は絶対の頂点であるゆえに識別の必要はない」

「とはいっても今はその頂点が複数人この世界にはいるのよねー。そうだ!アギーちゃんに決めてもらいましょ!ダーリンにも!」

「え、おれは別に……いや、せっかくなら頂こう」


「え!私がですか!?ちょっと数日、いや数週間ほど時間を下さい!」

「はっ!数週間もあったらこの旅終わるっつーの!今すぐ考えろ!」

流れで魔王達の名前を考える事になったアギ―。



少しの間考え込む。


「えーっとそれでは、皆様の名前考えました!


焔の魔王様は『フラマーラ』私の一族に伝わる古代の言葉で焔の羽という意味です。冰の魔王様は氷の世界という意味の『グレイシモンド』。

黄金の魔王様は『アウレンデント』黄金の輝きという意味です!

闇煙の魔王様は『テネバイサス』深淵です!あ、そのカッコイイと思って……


皆様のお名前……如何でしょうか?」


恐る恐る魔王たちの顔を見上げるアギ―。


「お前がそれで呼びやすいならそれでイイんじゃねぇの」

「氷の世界か、中々良いセンスじゃないか」

「いい名前ね!ありがとねアギーちゃん」

「ありがとう」

魔王たちは名前を気にいってくれたようだ。


「はい!改めてこれからよろしくお願いします!」



それから少し歩いていると結界の境に到着した。


「おー、これが結界……」

「おーってお前見たことないのか?」

フラマーラに聞かれ頷くアギー。


「はい、結界の外は危ないので近づかないようにと言われてきたので」

「箱入り娘というやつか」

グレイシモンドがそう言う。


「箱じゃなくて結界ですよ?」

「そういう意味じゃない」

テネバイサスが指摘する。


「よし、それじゃあ行くぞおめぇら!」

フラマーラはそう言って結界の外に出る。


「なにを仕切っているのだ」

「一応ここのリーダーはアギ―ちゃんじゃない?」

「確かに」

「うるせぇ!」

言いあいをしている魔王達をみてアギ―は微笑む。


「皆さま仲良いですね」


焔のフラマーラ、冰のグレイシモンド、黄金のアウレンデント、闇煙のテネバイサス

この4人の魔王達と共に召喚士の一族の末裔アギ―の冒険が始まる。

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