セフィとの出会い
エディットを終えた僕は、なぜかまた真っ白な空間にいた。
あれ?無事アイテールに来れたのだろうか?
エディットの時と違って画面の様なものはない。
そして、10畳ほどの真っ白な空間には不自然なほど物々しいドアだけがあった。
とりあえず恐る恐るドアを開けてみる。
すると・・・
目の前には広い草原、そして古い竜の像が象られた噴水のあった。
噴水からは水が湧き出ており、太陽の光を浴びキラキラ光る。
その後ろには遺跡のような大理石で作られた廃墟が広がっていた。
一目見て異世界だと感じる美しい景色、
澄んだ空気を前にして僕は・・・
そっとドアをしめた。
・・・
いや、だって危ないかも知れないし・・・。
敵がいたら勝てる訳が無い。我ながら冷静だった。
一度状況を整理する。
「転生者はみんなここからスタートするんだろうか?」
問いかけた所で当然、答えてくれる人などいない。
チュートリアルやヘルプが無いことが悔やまれる。
まぁ、今更そんな事を言っても仕方ない。
「やれる事をやろう!」
まずはステータスの確認だ!
「ステータスウィンドウオープン!」
僕は高らかに唱える。若干、
そんな僕の目の前にステータスウィンドウが現れた。
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ノエルLv1 人族 15歳
HP9600 MP-1500
マナ800 (960) 魔力-100 筋力-100 精神-100 防御-100 知力-100 器用-100
根源値320
加護: 生命の加護 マナステータス1.2倍 マナのlv補正値1.5倍
複製スキルlv30
スキルを取得してから触れたことのあるものを、HPを消費し複製できる。
素材庫が使用可能になる。(素材庫に必要素材が有る場合、消費HPが激減する。)
あらゆる素材が複製、復元可能。複製可能な物の詳細が分かる。
素材を原子レベルで補填可能。複製物の加工が可能。
生物の複製(複製体の作成。魂は複製出来ないがリンクさせる事が可能。)
干渉不可オブジェクトへの干渉が可能。
魂の復元、付与が可能。魂の回廊の作成が可能。
魂の回廊 ソウルバンクに保存される魂同士にリンクを作る。
複製体 複製体に触れてリンクすると意識が複製体に映る。破損すると本体に戻る。
***********************
複製スキル、チートすぎない?
厳密に言うと複製スキルのLv30がチートなのかも知れない。
他にも色々気になる・・・。
生命の加護とは一体何だろう?思い当たる節がない。
比較対象が無いから確証は無いけど・・・多分、色々変だ。
でも見る限りでは、やっぱり戦闘能力は無さそうだな。
あと出来る事は何だろう?
複製スキルを使ってみる事かな。
他にスキルないしなぁ・・・
「複製!」
意を決して唱える。
すると空中にウィンドウが現れた。
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ー神域
ー転移扉 (行き先:素材倉庫)
ーノエル (素材、マナ不足)
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複製出来る物のリストだろうか。
ノエル(複製体)は素材、マナ不足だから今できるのは2つか。
扉はさっきの扉だろう。素材倉庫に行っても何もないだろうし・・・
神域はこの部屋かな?部屋増やす意味はあるんだろうか?
まぁ、他に出来る事も無いしとりあえずやってみよう。
僕は神域を選択する。すると・・・
『根源値を50使用します。よろしいですか?』
無機質な声で何やら質問が聞こえて来た。
そして目の前にはまたウィンドウが現れる。
*******************
【YES】or【NO】
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根源値はステータスの説明を受けた時に出てきた気がする。
『なお複製された神域が破棄された場合使用した根源値は使用者に戻ります』
戻せるなら試してみよう!
僕はYESを選択する。
『生成された神域へ移動しますか?』
転移扉で戻ってくる事も出来るだろうし、とりあえず行ってみよう。
・・・
次の瞬間、僕はまたも真っ白な空間にいた。
大きさも先程の部屋と同じだが、違うのは今回は扉すらない。
『新しい神域の所有者をノエル様に指定します。よろしいですか?』
またも無機質な声が質問する。
とりあえず、はいでいいかな。
『エディットが可能になりました。エディット画面を表示します』
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ーサポートAIの作成
ー神域のエディット
ー記憶にある物の生成 (神域外の持ち出し不可)
ー神域の空間設定
ー時間
ー温度
ー明るさ
ー背景の設定
ー広さ、形 (現在最小値、広げる際は根源値を使用)
**********************
目の前にエディット画面が現れた。
色々あるなぁ・・・。
気になるのはサポートAIの作成だろうか。
チュートリアルもヘルプも言語理解さえない僕にとってはこれは見逃せない。
僕はサポートAI作成を選択する。
『エディット サポートAI作成を開始します。
付与可能な魂があります。付与しますか?』
よくわからないが、はいでいいか。
『実行致します』
次の瞬間、周囲に光の粒が現れ、白い羽の様な物が舞う。
そしてそれが集まり強い光を放った。目が眩み一瞬、視界を奪われる。
徐々に取り戻した視力で僕は何が起こったのか慌てて確認する。
そこには・・・自分より少し年上に見えるメイド服の綺麗な女性が立っていた。
女性は周りを見回し一通り自分の身体を確認する。
そして軽やかにくるりと周り、話し始めた。
「サポートAIのセフィと申します。
エディタールーム内での作業のお手伝いをさせていただく事ができます」
丁寧な口調で自己紹介をしてくれた。
「さらに!魂の復元を行っていただく事でなんとエディタールームの外でも
お手伝いが可能になるのです!」
急に熱意のこもったアピールになった。
「ただ、魂の復元は根元値を消費してしまいます・・・。
加えて私に戦闘能力は皆無です」
今度は急に自信なさげに小さな声になった。
「根源値は世界へ干渉し奇跡をも起こせるかなり重要なステータスで
無くなれば魂が消滅してしまうくらい大事なの・・・
そう簡単に使って良いものではないんだけど・・・」
最後は、弱々しく不安そうな説明になっていた。
復元してほしいけどリスクがあるので気遣ってくれているのだろうか?
口調も少し変わって来ているけど、こっちが素なのだろう。
急に色々な事が起こって、不安になっていたのかも知れない。
賑やかに話す目の前の女性のお陰で、それが随分楽になっていた事に気づいた。
「まるで姉さんみたいだな」
僕は少し笑って、思わず口に出してしまっていた。
「そうね!私があなたのお姉さんになってあげるわ!どうかしら?
私に魂の復元を使ってくれない?」
急に開き直った様にセフィはにっこり笑いながら、そっと手を差し出した。
気づけば僕はその手を取っていた。
これがセフィとの初めての出会いだった。
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