たんぽぽぱん
藤泉都理
少しだけ元気になる
冬は活発的に動き、春は消沈して無理して動くこいつはそれでも、誘われているのか、単に家の中に居たくないのか。
疲れたとぶつぶつ呟きながら桜の元へと向かう。
いい天気だな。
嫌な天気だよ。
桜の木の下で。
野の原の上で。
仰向けになるこいつは硬く力を込めて瞼を閉じていた。
まるで太陽を拒むように。
いいものを持って来た。
嫌なものだろうが。
失礼な、おまえの好きなものだよ。
そうですか。
竹籠に入れて来たのはこいつに少しだけ活力を与える、小麦粉、酵母、塩、水(多分)でできているシンプルな食べ物だ。
ジャムやマーガリンをつけたり、野菜や肉や卵を挟んだり、蜂蜜やシナモンをかけたりしたら一層美味しいが、今は必要ない。
それを顔に乗せてやれば、根負けして食べ始めた。
いつものように。
パッサパッサなんですけどいつのだよこれ。
おまえの家にあったのを持って来ただけだし。
げ。
新しいのがうちにあるけど来る?
仕方ねえな行ってやるよ。
来い来い。
たんぽぽぱん 藤泉都理 @fujitori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます