第42話 結

 俺、橋本 大輔(ハシモト ダイスケ)は一世一代の告白をしようと思う。


 いつ決着を着けるのか迷っていたんだが、川上かわかみに負けて"命令"されたのは良い機会だったかもしれない。


 案外、アイツはタイミングの良いヤツなのかもしれないな。意図的ではないにせよ俺の背中を押してくれるだなんて…………。


「(ハハ)」


 今は、以前ナオに連れて来られた個室居酒屋に、俺・ナオ・ミサキの3人で来ている。流石に三人で座れないから、俺の向かい側に彼女達が座ってる形だ。


 席決めの時に一悶着あったが、俺の方でお願いしてなんとかこの形に収まった。それで今回の話をする前に川上のことを思い出してしまった。と言うことだ。


「どうしたんですか? 先輩、突然笑って」


「兄さん何かありました?」


 問いかけられているが、すぐには答えず。出て来た水を飲み喉を潤してから切り出すことにした。


「少し、思い出し笑いをしてしまっただけだ。それで、今回二人に話したいことがある…………落ち着いて最後まで聞いて欲しい」


「はい」

「わかりました」


「俺たち別れよう」


「「えっ!?」」


「まぁ、落ち着いて聞いてくれ。な?」


 二人とも問い詰めたい気持ちが先走っていてすぐにでも掴みかかって来そうだが、今は居酒屋で座ってるのは掘りごたつだからか、上手く動けずにいた。


 ナイス、ファインプレーだ。俺。でも、ナオもミサキも俺の足を蹴って来てるし。次は隣の相手を見つけたせいか、今度はお互いに喧嘩を始めそうだ。


「結局、今の状態がおかしいんだよ。なんで、二人ともと嘘で付き合ってんだか……」


「それを先輩が言うんですか?」

「私は別にいいですけれど」


「は?」「ん?」


 ナオとミサキは二人して見つめあってる……本当になんでこうなった。空気がとても重たく、まるで深海の底に居るかの様な息苦しさを感じるが、とにかく話を進めよう。


「二人の事が嫌いになった訳じゃない。これはいいな?」


「嫌われる事してませんし」

「兄さんが私の事を嫌いになる訳がありません」


「え?」「へ?」


 そうだな。二人とも嫌われようとはしてないよな。ちょっと? 拗らせて病んでるだけで……でもこのままだと病みが進みそうだな? そうだよな?


「でだ。当初の予定だと別れる予定だっただろ? それを早めようかと」


「逃げるんですか!」

「はい。わかりました」


「わか?」「にげ?」


「ちょっと、さっきからミサキちゃん反応がおかしくないですか?」


「だって、兄さんがどこかに行く訳ないですし。家族ですから」


 そうミサキが、その大きな胸を張って言い切った。その自信満々な顔に兄として少しほっこりしてしまった。最近大人びて居たが、小さい頃は勉強や運動が上手く出来るとこうやって俺に自慢してきてたっけ。


「しょ将来!! 結婚したらどこかに行っちゃうじゃないですか!?」


「そうしたら、私もそちらの家にお世話になりに行きます。良いですよね? 兄さん」


「ん。あぁ、相手が良ければな。でも良いのか? お前はお前でしあわry」

「兄さんが居なくなったら死んでしまいます。ミサキは寂しがり屋なんですよ?」


 喋ってる途中で、遮られてしまった。続きを聞きたくないんだろうな……まぁ、そっちは良いんだ。家族なんだし。問題は………………。


「はぁ、もう…………なんで私ってこうやって浮気されるんでしょう?」


「いや、もともと嘘の彼氏彼女だっただろ? そこがまずかったんじゃないか? 俺が言えた立場じゃないけれど」


「悪いのはミサキです。だから叱るなら私を叱ってください。あ、兄さんにならどんな攻めでもいいですよ♪」


 そうミサキは頬を蒸気させながら行っている。また何か妄想を繰り広げてるのかもしれない。前は知らなかったが、嘘の彼女になってからこういう事を見かける様になった。一度ちゃんとオハナシアイをしてみたいと思う。


 しばらくの間、ナオは考え込んで、そして話し始めた。


「じゃぁ、別れましょう。それで、今度は本当の彼氏になってもらえませんか? 嘘じゃなければいいんですよね?」


「あ、それじゃ私もお願いします。兄さん♪」


 そう二人から提案されてしまった……。


「とりあえず、大学に入ってからにさせてくれないか…………最近勉強に集中出来てないんだ。これで受験失敗したら元も子もないからさ」


 まぁ、その線も考えていたが実際に提案されるとどうしたらいいか分からなくなる。


「じゃぁ、それまでは仮のままでいいですよね? これまでですよね?」


「あー。狡いナナちゃん何か企んでるでしょう? 二人っきりにはさせませんよっ」


「まぁ、お父さんは二人が良ければ二人ともうちに来て良いよって言ってましたよ。私と結婚する場合はどのみち婿入りしてもらう事になりますし」


「「え?」」


「二人が最初にうちに来た時にお父さんが言ってたじゃないですか? ミサキちゃんに『うちの子にならないか?』って、あれもう知ってたらしいですよ」


 嘘だろっ。家の中だけの話だったはずだ……まさか、家に何か仕掛けられてるのか? それとも…………


 そう思って、ミサキの方を見ると何かの計画が上手く行ったと言う顔をしていた。どうやら何かを仕掛けていたらしい。


 この物語は最初から最後まで、ミサキが事の発端だったのかもしれない。


おわり

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あとがき


最後の締めで展開に悩んでしまいました!

ここまでお読みいただきありがとうございますっ!


当初の目標文字数に到達してないですがここで完結します。

シリアス展開に作者の心が耐えられませんでしたっ。


気が向いたらエッチなシチュエーション加筆して、

何かのコンテスト向けにするかもしれません(笑)


作者は、どうやらコメディがないと心が死ぬ病気の様です。

高校デビューした幼馴染はずっと楽しく書けてましたからね(汗)


この経験を今後生かそうと思います。


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宣伝


高校デビューした幼馴染がマウントとってくるので、カッとなって告白したら断られました。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860973666477


二章まで完結済み。現在ちょこちょこ改稿中。

未読の方は是非お願いします。


今後の方針としては、じっくり長編のプロット練ったり

Youtube向けの短編を書いたりです。


それでは今後とも宜しくお願い致しますっ。

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居酒屋で後輩にお持ち帰りさせられた件 〜やがてヤンデレになるカップル、ドロドロにハマって抜けられなくなりました〜 ケイティBr @kaisetakahiro

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