第36話 チャラ男

チャラ男 新浜 明彦(ニイハマ アキヒコ) 視点


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 俺は新浜明彦、高校1年生。同級生の女の子、南條 奈央(ナンジョウ ナオ)が気になって、なんとなく勢いで告ったらオッケーしてくれた。


 高校入ったら、すぐ彼女作るぞ。ただそれだけの思いで行動してたんだが、どうやら俺はラッキーボーイだったらしい。後になって知ったんだが、彼女はお金持ちだったんだ。


 最初、デート代を出そうとしたんだが、彼女が割り勘でと言って聞かない。最初はなんて良い子なんだ。そう思った。


 だけれど、彼女が行きたいと言う場所の金額が高かった。割り勘ですら厳しい。そう思って伝えたら。


「? それじゃ私が出しますよ。アキヒコ君♪」


 そう言ってくれた。が、それがよくなかった。最初は申し訳なく思ってたんだが、慣れてくると。もう、お金を出してもらえるのが当たり前になってた。


 あれ? 俺の彼女って貢ぐちゃん? ラッキー!? 超ついてるぅ!! と思いつつ、デートの度に、あれ欲しい。これ欲しいとオネダリするような何回かデートをしたある日、お家にお呼ばれしたんだ。


 好きなアニメグッツいっぱい買ってもらえて、ウハウハな俺は調子に乗ってた。


 俺って今日、童貞卒業出来るのかな♪ ナオちゃん、待っててね。優しくしてあげるからね♪ そう思って南条家に行ったら。



 お父さんが怖すぎた。あと、家もなんか迫力ある。チビりそう。


「尚文(ナオフミ)だ。今日は来てくれてありがとう"」


「あぁ、盾の○者の闇○ち版ね」(初めまして、今日はお日柄もよく)


「な" なんだって?」


 ア! セリフと心の声が逆だわ。どうやら気が動転してたらしい。それにしても似てるなぁ。


「あの、アキヒコ君? 大丈夫ですか?」


「だいじょばない。お父さん怖く無い?」


「今日はちょっと、イライラしてるかもですね」


 ちょっとぉぉ! あれでぇ!? 嘘でしょ!! 俺がびっくりしていると、目の前の勇者尚文は喋り始めた。


「まぁ、それは良いんだが。えーと、新浜君? 君、将来の予定は?」


「え。ありません」


「大学は?」


「とりあえず行っとけって言われてます」


「将来の夢は?」


「ビッグになりたいっす」


「はぁ……………」


 なんも考えてねーや。最近、バイトも続けなくて良いやってやめちゃったし。


『一年のうちに考えておけよ』と教師には言われてるけど。


 最近浮かれてて後で、いいや! ってなってた。


「ナオちゃんね。お父さんこの人、止めといた方がいいと思うんだ」


「そうですね。なんか、最近視線もヤラシイし」


 いや! 俺たち付き合ってるよね!? 普通じゃね? 潔癖症ならそう言ってくれよ。エンジェル!!


「彼氏彼女なら普通だと思うんですっ!! 俺は悪くない」


「そうだな。普通なら悪くないな。でも、最近ナオちゃんから貰ったレシートがさ。おかしいと考えているんだ」


 あれ? レシートって、親に報告するものなの? まぁ、なんか彼女は毎回レシート欲しいって言ってたけれど。そっか、許可制だったのか。


 俺、知らなかったよ。そう思ってナオちゃんをみたんだけれど。目を合わせてくれない。あれ? 俺、嫌われた?


 そんな事を思いつつ、様子を伺っていると。


 怒れる勇者様がレシートを読み上げる。その姿は、とても様になっていて、まるで裁判官の様な………ってそんな訳ないな。普通に読み上げてるだけだ。


「えっと『鬼狩り』これはまぁ良い。名作だし。俺も観たからな。でも『先輩が寝取られた後輩の話』ってこれは、なんだ? カップルで見る物なのか?」


「あー。それは、個人用っすね」


「ダメだろ。さすがに。買うなら自分で買いなさい」


「ですよねぇ」


 調子乗ってましたねぇ。反省反省。


「それじゃ、いくつかリストアップさせて貰って、そのお金返すまでは親としては交際は認められないな」


「俺、金ないです。バイト辞めちゃったし」


「返してくれるかな? 娘の交際費については、もともと俺の金なんだよ?」


「もうっ。貯金ならあるのに。お父さんったら」


「いや、ダメだよ。交際費は別。これ絶対。収支はちゃんと分けないと」


「はーい」


 どうやら、父娘中は良いらしい。ナオちゃん素直で貢ぐちゃんで可愛いなぁ。


「と言う訳でだ。君との交際は認められないので、一旦別れてくれるかな?」


「えぇー。まぁ、わかりました」


 まぁ、俺ってナンパの才能あるみたいだし。次の子見つけよう。そう思って、学校でナンパ繰り返してたんだが、相手にされなかった。曰く


『無理、アンタ、南条さんと付き合ってたじゃん』

『いや、ちょっとないわ。なんか軽いし』

『誰だっけ?』


 全然ダメだった。学校でのナンパは回数を増やす毎にどんどん成功率が落ちるらしい。また1年生が入ってくる時に声かければワンチャン? と思ったが、まだ半年以上も時間あるじゃないか。俺はすぐ彼女欲しいんだ。


 そう思ってたある日、ショッピングモールに行くとナオちゃんみっけ!


つづく

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あとがき


チャラ男

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