第38話 川名津
教師 川名津(カワナズ) 視点
----------------------------------------------------
私は、川名津(カワナズ)35歳で先日まで高校の教師をやっていた。
大学卒業後からすぐ教師になったが、教師なんて職城は生徒と親族そして学校側も事なかれ主義が横行していて生徒からバカにされても、おとなしく黙ってるしかない。
教育者なんてのは企業で言う所の中間管理職の嫌な部分の総合商社だ。ブラックな部分がなんでもござれ。
ちょっと、生徒に色目使うとすぐクレームが来るし。性欲を持て余しててても風俗に気軽にいけやしない。この間なんて、同僚の女性教師が
『女子生徒のスカートの丈を男性教師もキチンと確認してください』
だなんて言いやがった。
「あのオバン。スカート丈のチェックをやりたいならテメェがやってろ。男がそんな事をやってたらセクハラで訴えらるんだぞ。しかも訴えられるのはやった男性教師だけだ。なんて理不尽な事を言いやがるんだっ」
思い返しただけで、イライラしてきた。あの年増め。
それに残業代なんか出ない。男子のソフトテニス部の顧問なんてやってるが、タダ働きなんだ。やる気なんて出ない。
だから、毎年入って来る生徒を眺めつつ、指導は適当にやるのが私の日課だった。
―――――あの日までは……………。
3年の時に部長になる川上(カワカミ)が部活に入ってきた頃から、試合での成績が良くなってきた。そうすると、次々と他のやつも上手くなって、部活として盛り上がって来たんだ。
一人出来る奴がいると周りもなぜか周りも出来る様になってくるものらしい。そうすると、私の時間と金はより削られる。試合の応援に行かないとならないし。
『先生! 飲み物奢ってよ!』
って気軽に言いやがるんだ。学校は企業じゃないんだ。交際費で落ちたりしないんだぞ! 教師なんてのは安月給なんだ。
そうは思うが、生徒の前で言うわけにもいかない。だから、私はストレスを溜め続けていた。他の教師に相談しても
『それはそういうもんだから。諦めなさい』
と言われる。理不尽、理不尽すぎる。
でも、成果が出て来ると学校からも、もっと大きな結果を求められる様になってしまう。そうすると余計時間が取られるし、生徒と関わる負担が増えていく事をストレスを感じていた。
―――――それから2年経ち、私の元に天使が現れた。
その子は南条 奈緒(ナンジョウ ナオ)1年生で、良い所のお嬢様だ。その子が部活のマネージャーになってから色々な事が変わった。
その日も、生徒から飲み物やらお菓子やらをおねだりされていて、どうしたもんかと考え込んでいると。
「カワナズ先生。お金大丈夫ですか? こういうのって活動費で落ちたりしないんですよね?」
「あぁ、そうなんだ。 ――――南条、分かってくれるのか?」
「やっぱりそうですよね…………お父さんに言って置きますよ。部活に交際費用意できないかって。お父さん学校に寄付金を結構入れてるそうですし」
「た、助かるっ!! ずっと悩んでたんだ……………」
「いえ、マネージャーとして当然のことですから♪」
それからも、私が言いづらい事を南条は部活メンバーに言ってくれたり。助けてくれたりしたんだ。
そんな彼女の優しさに触れてしまい。楽しそうに過ごす笑顔をみた時にもう恋をしてしまったのかもしれない。教師が生徒に恋慕するなんてだめだ。ダメなんだ。そう思っていても気持ちが膨れ上がって行った。
――――しかし、南条はあんまり男の趣味は良くなさそうではある。
たまにチャラい感じの彼氏が迎えに来るがあいつはダメだ。全然よくない。あいつより、私の方がいいだろ。そう思う程度にはダメだ。
南条―――――彼女の優しさを自分の物だけにしたい。そんな気持ちが膨れ上がってしまっていた。しかし、教師と生徒で付き合うだなんてありえないけどな。と言う現実的な自分もいた。
――――――でも、私はいつ彼女出来て、そして結婚ができるんだろう?
「親父はお見合いしろとか言うけどな。教師なんて安月給なんだ。しかも残業が多い、仕事が安定している以外の魅力なんてないんだし」
そう言っても両親は聞いてくれない。私の両親も教師だったからだ。だから、息子にも教師になれと言われて育った。
私は、小さい子供が好きじゃないから。高校か大学の教師になれる様に頑張ったんだ。だから良い大学卒業して、高校の教師になったが、実際やってみるとなんだか騙された気分だ。
同じ職場の女性教師は、性格良くないし。無茶振りばかり言って来る。それで結婚したいだなんてとてもじゃないが思えない。
――――――それからしばらくして
南条が、彼氏と別れたらしい。どうやらお父さんのお眼鏡に叶わなかったようだ。ほっとすると同時になんだかモヤモヤしてしまった。
以前、私を助けてくれた時の様にこの秘めた気持ちを打ち明けたなら………………もしかしてまた助けてくれるんじゃないか? そう思ってしまったんだ。
だけれど、南条はすぐ別の男、その時は部長になっていた川上と付き合い始めた。
どうやら、私の天使は尻軽だったようだ。
つづく
----------------------------------------------------
あとがき
教師が女子生徒に助けられて恋心を得てロリコン化してしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます