第34話 いけないと思います
俺とスティーブさんはナンパを阻止した。
普通はここで一安心して、ナンパ男達はバイバイ! の筈なのになぜか一緒にお茶してる。それは、俺が進学するつもりだった大学だからと言うのも有るんだけれど………。
一体なぜ、こんな事に。
新庄先輩は、程よく日焼けした中肉中背の男性で、目標にしていた大学に入れてる事から、学力がある人なんだと思う。
ただ、見た目の印象から受けるのとは違い、オタクっぽい発言してたりしている。大学デビューって奴なんだろうか?
話を聞くと、海にはナンパに来てたらしい。相方の相沢先輩に誘われて来たんだがここは他に海水浴を楽しむ客が居ないから、普通にサーフィン楽しんでたんだとか。
そうしていると、うちのナオとミサキを見つけてナンパしてみようと声かけて来たんだと言う。
気持ちは分からなくはない。俺だって、大学入ってから彼女居ない状態ならそういう事をやってたかもしれない。
それに話を聞くと、女子大生に気後れしてしまい。上手く話せないから、年下っぽい女の娘相手ならイケるかなぁ。って事だった。
相沢先輩の方はと言うと、なんかナオと仲良くやってる。どうやら、彼もお金持ちの家の息子なんだそうだ。主にお婆ちゃんの話だが、俺より話が合ってるのに嫉妬してしまう。
でも、最近の関係がおかしかったから、この方が良いのかもしれない。元々ナオが『運命の人』を探すのが目的だったんだから。
彼女が他の男を仲良く出来る機会があったらそれを応援するのも、彼氏の役目………だったよな?
でも心がムズムズする。これって一体どんな感情なんだろう?
そんな事を考えつつ、飲み物をチビチビと飲んでるとミサキがやって来て隣に座りながら囁いて来た。
「兄さん、わたしは兄さんだけだから。安心してくださいね♪」
「ん? あぁ、ありがとう………」
そう言いつつ、ミサキがナオを見る目は少し、いやかなりキツイ目をしていた。そんな顔をしないで欲しい。と伝える為に手を握ったら。彼女は柔らかく微笑んでくれた。
「ミサキには、いつも笑顔で居て欲しいな」
「それじゃ、結婚してくれますか?」
「いや、まだ無理だろ。年齢的に、それに…………」
「それ以上は、まだ聴きたくないです♪」
そう言いつつ、ミサキが俺の唇に人差指を当てて来た。先日、キスをしてしまってから、妹のスキンシップが過激になってきてる気がする。当たり前か、火は先端が一番熱く、それだけで燃やす事が出来るんだから。
「あの、それでお兄様?」
「いや、あんた…………あー。済みません。新庄先輩にお兄様呼ばわりされる覚えはないんですけど"? ミサキならあげませんよ?」
「あー。いや、心のお兄様と言うか、尊敬しちゃうなぁ。と言うか?」
「はぁ”? キモっ」
「ガチで言われたっ!! というかお名前を知りません」
そういや、俺自己紹介してなかった。うっかりしてた。
「すみません。俺、橋本大輔(ダイスケ)です。こっちは、妹のミサキ」
「違いますよ。兄さん♪ 従兄妹です♪」
「えっ!? 従兄妹なのっ!? マジで!? 結婚出来るじゃんっ!!」
なんで、そこでアピールするんだっ。話がややこしくなる。っていうか目の前の男はなんで、従兄妹と結婚出来るかどうかを瞬時に判断できるんだっ!?
「まぁ、それは置いといて」
「いや、お兄様そこは置いとけませんよっ!! ミ◯キちゃんと結婚出来るんですよっ!! くぅぅ。なんて羨ましいっ!! 師匠と呼ばせてくださいっ」
「キモっ」
「罵倒いただきましたっ! ありがとうございます師匠!!」
「マジキモ!! あっちいけよ」
「はい! お邪魔ですよね!! これからミ◯キちゃんとラブラブするんですよね。わかりますっ。でも、凍らされて死なない様に気をつけてくださいねっ!!」
一体なんの話なんだ。さっきから…………アニメかなんかの話な気がするけれど。◯ユキって誰だよ。凍らされるって? と思って隣のミサキを見ると。
「なんですか? 兄さん?」
そこには、笑顔なんだけれど、どこか怖い妹が居た。
「いや、いつも綺麗だなって」
「えぇ。そうですかぁ? 兄さんは口が上手いですね♪」
でも、チョロかった。これからもチョロインで居て欲しい。
「あ! ダイスケお兄様!! メッセID交換してくださいっ!! 結婚式は行きますんで!!」
「まぁID交換はいいけど………でもアンタは、結婚式には呼ばないっ。なんかコラージュ画像とか作ってそうだし」
「なぜそれを知ってるんですか!? あ、俺カメラマンやりますよっ!! 今回も、カメラ持って来てるんすよ。みんなで記念に撮りましょう」
ホントにやってんのかよっ! カメラマンって、そんな気が早すぎるぜ。って言うかなんの記念だ。ナンパ阻止して、ナンパして来たやつと一緒に写真撮るとか、どういう状況なんだよっ。
「心配なら、SDカードごとデータ全部渡しますけど。どうします?」
「まぁ、本人達がチェックして問題ない物なら………いいかな? ミサキはどうする?」
「確認した物ならいいですよ♪ でも、『えっちなのはいけないと思います!』」
「っっ。まほ○さんは、本当に居たんだ。父さんは嘘つきじゃなかった」
何かが、新庄先輩のハートを貫いたらしい。ちょっと涙ぐんでいるぞ。
つづく
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あとがき
『えっちなのはいけないと思います!』
このセリフには、当時ドキドキさせられました( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
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