第33話 天使

ナンパ男:新庄(シンジョウ) 視点


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 砂浜の向こうから、こちらに向かって来る人影がある。だが、明らかに大きさがおかしい。片方は完全に筋肉の塊だ。


 ターミネーターが向かって来てる様に見える。俺、処される。間違いない。それに隣の男も結構やばい体してる。包まれたら肋骨折られる。間違いない。


「えぇと。どっちの筋肉がお兄様?」


「は? 筋肉っ? 兄の魅力は、筋肉だけだじゃないですよっ」


「えぇ、うん。そうなんだぁ。良いお兄さんなんだね」


「はいっ。とっても優しいんです。あの体に包まれて果てたい………あ♡」


(えぇえぇ? 結局、筋肉じゃなねぇぇ? それ? ってかこの子、なんか色っぽくなかった!?)


「それで、どっちなんでしょう?」


「カッコいい方です♡」


(分かるかっ!! 俺はどっちに平謝りすればいいんだ!? 相沢のアホはどうでもいいけどっ!!)


 そう思って、相沢の方を見ると。小さめの可愛こちゃんと仲良くしていた。あいつ取り入るのが上手いなっ!! 流石、いいところのボンボン。なぜ彼女が居ないんだ。あのアホは!?


 俺が、どうしたら良いか分からないまま。筋肉達がやって来た。


 近くでみると、ターミネーターは隣の美少女の兄にしては、年齢が行き過ぎてる。多分、俺と変わらないくらいの方がお兄様なんだろう。だから俺は全力で謝った!!


「済みません!! 出来心なんですっ!! 初犯なんですっっう。許してください」


 土下座してやったぜ! これなら、鬼畜でもない限り大丈夫だ!! まぁ、いざとなったら相沢のアホ置いて、逃げるけとなっ!!


「あ” あぁん”” しょ”はん””!! まさか”何か”したのか!?」


 お兄様怒ってらっしゃるっ。声めちゃ怖いっ。俺、ホントは陰キャなんです許してくださいっっ。


「兄さん、まだ何もされてないですよ。ナンパはされましたけれど」


「そうか、よかった。でも、やはりナンパか。ごめんな離れてしまって、怖かったか?」


 妹ちゃんマジ天使!! 最高!! やっぱりのこの子のお兄様になりたいっ!! 俺の目に狂いは無かった。って、なんでこの兄妹抱き合ってんの!?


 おっぱいが、むにゅってしてる。むにゅって。


 今、水着ですよ。クソ羨ましい。この兄しょ………いえ、なんでもありませんよ? ちょっと睨まれただけです。


「それで、そっちは?」


「あ、お兄さんチース。その体凄いっすね。そんけぇ〜しちゃうな」


「あぁ、ありがとう? それで、あんたは誰だ?」


「相沢っす。今、お婆ちゃんの話してるっす」


 やっぱ相沢ってスゲェ。空気読んでない上に、目上?に対する変なリスペクト。でもそれをインテリ女子大生にもやってっからお前受けネェんだよ。


「先輩? この人、お婆ちゃん好きなんです。悪い人じゃないですよっ」


「やっぱ、そう思う? 俺たち気があうねー」「ねー」


 こうやって、後輩女子に取り入ってたのかっ!? 俺にも分けろクソ相沢。


「それで、お兄様は何しに日本へ?」


「は? 日本人だけど? ってか、あんたらの方が年上に見えるんだが、どこから来たんだ?」


「自分ら、東京の○◯大学から来ましたっ!! 今、彼女募集中です。お兄様♪」


「キモっ………そこ俺、来年受けるつもりなんだよ。そうすると俺が後輩になるな」


 えぇっ。こんな怖い後輩要らないよっ。ってか、高身長で筋肉質のイケメンで、頭も良いってどんなチート野郎だ。しかも”お兄様”だとうっ。クソ羨ましいぞ。


「あぁ、いや俺ら、彼女無しのミジンコなんでお気になさらず。あ、自分、新庄っす」


「(キモ)新庄先輩……と、たしか相沢先輩か………それで、今日は何しにここへ?」


「女の子、ナンパしに来ましたっ!!」(あれ?)


「あん””」


「かみまみた。 ――――サーフィンしに来たんだよ。勘違いしちゃ嫌だなぁ。なっ相沢?」


「いや、ナンパしに来たんでしょ。嘘言っちゃダメだよ」


 あぁぁぁいざわぁぁぁ!! お前は一体どっちの味方なんだっ!! っていうか、なんで俺だけ謝ってんだよっ!! テメェも謝れ。


「あ、そうだった。えーと、君は何ちゃん?」


「ナオです」


「そっか、ナオちゃん。僕と付き合ってくんない?」


「えっ。無理ですっ」


「おっけー。それじゃ、お友達で良い? もっとお婆ちゃんの話したいなぁ」


「え? えぇ。いいですけど…………彼氏が…………」


 そう言って、怖いお兄様の方を見る。ナオ?ちゃん。嘘でしょ。お兄ちゃんがお兄様で、別の彼女が居て、それで妹は女神で、筋肉がマッチョで……後輩ちゃんが彼女で………筋肉が………。


 って、あれ? デカイの方の筋肉は?


 そう思って見渡すが、ターミネーターが居ない。


「飲み物持って来ていただいた様なので、少し休憩しましょうか。どうやら、悪い人たちではなさそうですし」


 そう言って、筋肉が上半身マッパなのに優雅? な所作で、テーブルクロスを広げて準備していた。


 なんなんだ。コイツら。


つづく

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あとがき


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