第32話 どっち?
ナンパ男:新庄(シンジョウ) 視点
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俺は、新庄。大学に入ったばかりの夏。これからサークル活動を頑張って、彼女を作ってハッピーライフを送るんだ。と高校からの友人である相沢と話してたんだ。
二人とも、高校では元々インキャだったんだが、勉強頑張ってなんとか都内の良い大学に入れた。
それもこれも、大学にさえ入れればサークルですぐに彼女が出来るんだ。そう思ってた。が、甘かった。甘々だった。もう、砂糖山盛りにしたパフェの様なお花畑だった。
大学で隣の女の子に勇気を出して声をかけても、すぐに他の男が輪に入って来て、その場の雰囲気を攫っていくんだ………結局、天然の陽の者には敵わない。
それに、大女子大生がみんな、ちょ~綺麗に見える。化粧って凄いっ。通ってた高校は、校則が厳しい全寮制学校だったからしらなかったぜ。
しかも、ギリギリ受かった程度の俺らよりも、全然頭がいい女の子ばかりなんだぜ? インテリ女子ヤバくない?
なんか、目の前で普通に話しているだけで
『は? そんな事も分かんないの? アンタバカなの?』
って思われていそうで、ゾクゾクする。そんな事を考えてるせいか、俺は女子大生相手にすぐドモってしまうんだ。
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「なぁ、相沢(アイザワ)」
「なんだ新庄」
「俺らさ。大学さえ入れば、すぐ彼女出来るって思ってたよな」
「あぁ、そうだな。まぁ、俺らには、儚い夢だった」
「なんか、むしろ高校の時の方が、チャンスあったくね?」
「そう、だな………地元から出る時に、後輩から告られたしな」
「なんだとっ!! 相沢、テメェ。裏切ってたのかっ!!」
全く知らなかったっ。俺には誰も来なかったと言うのにっ!! こいつ、猫背で良くわからんが、ちゃんとすると高身長だし。磨けば光るやつだとは思ってたんだ。その子は、見る目があるのかもしれない。
「いや………『俺には、遠距離恋愛とか無理だわ』って断ったんだよ。エッチしたかったし。会えない彼女いたら出来なくね?」
「それは ――――分かる。だけど勿体なくね?」
「だよなぁ………その時は、なんかカッコつけて『遠くに行く俺じゃなくて、他の人を探してくれ』だなんて言ってしまった。若かったぜ」
「お前まじアホ。高身長アホ。あと若いってつい、半年くらい前だろ!!」
「分かってるよ。うるせえな。てか、身長関係ないだろっ」
相沢がアホで、ある意味安心した。人は、自分より劣ってるやつを見ると心が落ち着くらしい。いや、告られた事ない俺の方が、劣ってるんだった。俺はミジンコだ。
「新庄、俺らどうやったらモテると思う?」
「知らん! けど、ナンパするならとりま海じゃね?」
「だよな! 海だよな! ………サーフィンとか出来たらカッコよくね?」
「あぁ、なんか知らんが、カッコいいな! 陽キャになれる気がする!」
勝手なイメージだが、海でサーフボード持ってナンパしたらなんかうまく行く気がする。知らんけど。
「ちょうどさ。サーファー向けの別荘ってのがあってさ、それが民泊できんだよ」
「あぁ? 民泊? なんでわざわざ」
「そりゃ、 ――――連れ込んでパリピするため?」
「自由に使えそうだから。って事か………」
「そうそう。それになんか民泊だと安かったし」
「へぇ。それじゃちょっと行ってみっか」
こうして、俺たちは二人で海に行く事にした。色白だとなんか恥ずかしい気がしたので、二人で日焼けサロンにも行ったんだ。
そして、やって来た別荘についてからやっと気付いた。
「なぁ、相沢くんや」
「なんだい新庄くん」
「ここってさ、他の客いなくね? ナンパ出来なくね?」
「まぁ、別荘だしな。あっ、見てみろよ。海綺麗だよ? プライベートビーチだよ?」
「プライベートな空間ってさ。彼女持ちが来るトコじゃね? 俺ら順番間違えてね?」
「そうとも言うな」
「やっぱ、お前アホ! マジアホ!! 地元帰って、後輩ちゃんに謝って来いよ! 『ごめんなさい、エッチさせて』って、ついでに3Pしようぜって!!」
「出来るか馬鹿野郎!! 『ごめんね。もう他の彼氏居るの♡』だなんて言われたら、俺立ち直れないよっっ!!」
「分かるっ!!」
「『分かるっ!!』じゃねぇよ。それに、なんでテメエと3Pしないとならないんだっ。"愛ちゃん"は渡さねぇっ!!」
「てめぇのじゃねぇだろ! っていうか覚えたからな! "愛ちゃん"だな!!」
相沢の提案に乗った事自体が間違いだったかもしれない。まぁ、仕方ないので俺たちは、真面目にサーフィンの練習する事にした。次の機会に活かせるかもしれないしな。
サーフボード借りたお店の店員さんに聞いたり、動画サイトみたりして練習してたら、俺たちも何だか一端のサーファーに成れた気がする。
でも、やっぱり女の子が欲しい。せっかくの別荘なんだ。楽しみたい。
そう思って、海側から他の別荘を眺めてると、バーベキューを始めようとしている女の子二人組みを見つけた。
丁度よく俺たちも二人組みだから声掛ける事にしたんだ。
「練習がてらナンパに行こうぜ! 今の俺たちなら、イケる気がするっ!」
「そうだな! イこう! それでダメだったら、一度地元に帰るわ」
「滑り止めかよっ。後輩ちゃんに言ってやるぞ!! その"愛ちゃん"が誰だか知らんけどっ!!」
サーフボード片手にやって来た。俺たち。近くで見ると、二人は美人さんと可愛い子だったけれど。
年下の女の子なら、インテリ女子大生に声掛けるよりは気軽に行けそうだ。
「ねぇ。二人だけで来てるの? バーベキュー? 美味しそうじゃん♪」
「いえ、連れが居るので………」
そう、おっぱいがデカくて身長も有る女の子が答えた。でもめげない。
「俺たちも、食材あるよ? 一緒にやろうよ。折角だしさ♪」
「そうそう。ってか、俺らバーベキュー用の食材ねーじゃん。買い出しに行かないとな。コイツ、新庄って言うんだけど。わりと金あるよ? バイトしてるし」
「そういう、相沢だってあるだろ。親金持ちじゃん」
とりあえず、お金ありますよ。アピールしつつ。部屋から持ってきたビニール袋の飲み物を取り出した。
「あー。そういや、そうだったわ。とりあえず、お近づきにこの飲み物どう?」
そう言いつつ、差し出したんだが
「あの、こういうのは受け取っちゃ行けないって、お婆ちゃんが……」
「君、お婆ちゃん子なの? 俺もお婆ちゃん好き。何時も、お菓子くれたなぁ。懐かしいなぁ」
「うちもそうでした。でも、両親から『お菓子あげちゃだめ』って言われてて、だから『お婆ちゃんとだけの秘密だよ』って」
「うん。わかるぅ。俺も、そうだったよ。ちなみにさ……………」
相沢すげぇな。フォローアップ・クエッション? とか言う会話術出来てんじゃん。お婆ちゃんの会話で盛り上がり始めたぞ。
ナンパとは違う気がするが、もしかしてコイツ……………家金持ちで、高身長で、顔も悪くない。上に口も達者だとぉ。まさか、無自覚モテ男なのか?
良いお友達レベル超えたら、すぐ彼女出来ちゃうんじゃ…………やばい焦るぜ。
「あー。君は好きな家族っている?」(って、なに聞いてんだ俺?)
「ええ。兄が居ます」
「へぇ、お兄ちゃんね。今どこに?」
こんな子に『お兄様、大好き♡』とか言われてぇ。羨ましいぞ! 見知らぬ兄!!
「兄なら、あちらに居ますね」
そう言って、清楚系美少女が指さした先には、2つの筋肉の固まりが迫ってきていた。
「え? どっち?」
つづく
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あとがき
ミ○キちゃんに『お兄様、大好き♡』って言われたい人生でしたOrz
cv:早見沙織 で オネシャス!!
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