第25話 やっぱり
「せんぱーい♪ こっちの服はどうですか? これはどうでしょ?」
そう言いながら、ナオパパの服を色々出しては俺に着せ替えを楽しむ彼女。女の娘の買い物は、時間が掛かるとは言うけれど、着替えも時間が掛かるようだ。
楽しそうなナオを見ていると、このまま付き合って居たいとは思うけれど、そろそろ決めて欲しいとも思う。もうどれが良いとか分からないよ。
「なぁ、もうこれで良いんじゃない?」
「どうでしょ? んー。いやこっちの方が………」
「もう、好きにしてくれ………」
「いや、こっちかなぁ」
まだ、続きそうだ。まだ、時間かかりそうだから一旦、ミサキに連絡を入れておこう。そう思って、スマフォを取り出そうとすると。
「先輩♪ 何しようとしているんですか?」
「ミサキに連絡取ろうかと思ってさ」
「彼女が目の前に居るのに他の女に連絡取るんですかぁ?」
「いや、結構待たせてるから………流石に気になるだろ」
「ふーん。それじゃ、私が連絡しておきますよっ。貸してください♪」
「えっ」
そう言ったが早いか、ナオがスマフォを取ってそして連絡してしまった。呆気に取られてしまい反応出来なかったが終わったらすぐ返してくれた。なんだか、何かを言うタイミングを失ってしまった。
「はいっ。連絡しておきました♪ これで大丈夫ですね♪」
そう言いつつ、画面を見せてくる彼女『もう暫く、かかりそう』とだけ書いてあったので、まぁ確かに内容は問題なさそう。だけれど
「あんまり勝手にメッセされるのは、気分良く無いんだけど」
「あっっ。すみません。先輩………。ごめんなさい。その………嫌いにならないでください」
ちょっと、怒った感じで言ったからか、目の前の娘に謝られてしまった。しかも、少し瞳に涙を浮かべてる気さえする。なんだかこっちが申し訳ない気持ちになってくる。
「あぁ、いや今後気をつけてくれればいいから。ただ、突然だからビックリしたんだよ」
「突然じゃなければいいんですか?」
「ん? あぁ。そう、かな?」
「それじゃ、今後は気をつけますね♪」
そして、彼女はすぐ元気になった。なんなんだ一体…………やっぱ試されてるのか? ただ、ちゃんと嫌だと言えば、気をつけてくれると言うならいい。のか?
なんだか、色々ありすぎてよく分からなくなってきた。もう疲れたよ。パトラ○○○。もう寝て良いよね?
「どうしたんですか? 先輩?」
「なんか、眠くなって来た」
「そうですか、それじゃ寝ちゃっていいですよ♪ そうですねぇ。10分くらいしたら起こしますよ♪」
「いや、そろそろ夕食時だろ、今日はお見舞いだけだから帰るよ。なんかもう元気そうだけどさ」
「んん〜。そうですか。残念です。そのまま泊まって言ってもいいのに」
「何のためのお見舞いなんだよ………いや、元気そうで嬉しいけど」
「まぁ、今日はいいです。それじゃ今の服持ってちゃってください」
「いや、本当に良いの? 何だか高そうだけれど」
「お気に入りじゃない。ところに有ったから良いんじゃ無いですか?」
本当に大丈夫なのかなぁ。俺にはよく分からないけれど。普段着ている制服よりもツヤがあって、なんだか良い素材を使ってる気がする。
「心配なら、お父さんに確認しますよ。今日は貸しって事で♪」
「貸しの使い方が間違ってる気がするけれど。そうしてもらえるかな?」
「はぁい。それじゃ一緒に写真撮りましょう」
そう言いつつ、なぜか二人で写真を撮る事になってしまった。なんだか、どこかのパーティに行くカップルの様だ。その際、ナオが意外と有る胸を押し付けて着た……どうやら着痩せするタイプだったらしい。思った以上の感触を感じてしまった。
そうして、過ごした俺たちは、やっとミサキが待って居るリビングに行く事になった。そこで待ってた俺の妹は、何だか真剣な顔をしてスマフォをいじっていた。
「お待たせ。どうした。ずっと画面みていて?」
「あっ。兄さんお帰りなさ………その格好、とても素敵です♪」
「ん。ありがとう。似合ってる?」
「えぇ。とても似合ってます。ちょっと、イケない物が出そうです」
「は? 何が出るって?」
「えぇと。魂?」
「それは、大変だな………」
魂消るってやつか? そんなに意外だったんだろうか。でも、褒めてくれると時間かけたかいが有ったな。そう思った。
「ミサキちゃんごめんね。お兄さん。ずっと借りちゃって」
「えぇ。でも、大丈夫です。この服はどちらから?」
「お父さんのお下がり」
「えぇ? でも高そうですよ?」
「良いんだって、もうそんなに着ないから」
「そうなんですか。それなら良いですけど」
そう言いつつ、ミサキは俺の方をチラチラ見てくる。なんだか、その仕草が可愛らしくていつも、凛とした印象の妹とは違って新鮮に見えた。
「それでね。ミサキちゃん。今度の旅行ね? 私、先輩と二人っきりで行きたいんだけど♡」
「えっ? 行けないんですか? 兄さんどう言う事ですか? わたし要らない子なんですか?」
そう言いつつ、詰め寄ってくるミサキ。その姿は、小学校の頃に虐められそうになっていた時を思い出させる。そんな、風に見えてしまった。
「そんな事はないよ。ミサキはこれからも一緒にいて欲しい」
「そ、そうですかぁ。良かったぁ」
そう言いつつ、自然と抱き合ってしまった俺たち。目の前の娘に集中してたから、その側で見つめている視線を意識している場合ではなかった。
「(やっぱり………この二人は………)」
つづく
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あとがき
やっぱり
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