第24話 進化
チュ、チュ、チュ♡
俺と、ナオは、彼女の部屋で初めてのキスをした。いや、してしまったと言うべきだろうか、流されるまましてしまった。その味は、今まで嗅いだ事の無い甘い香りがした。
「んんっ。先輩もっとぉ♡」
そう言いつつ、ナオの方が盛り上がって来た様だ。同時に俺も盛り上がってきてしまって、思わず強く抱きしめてしまった。
「うぅっ。あの、先輩? ちょっと痛いです」
「あ、ごめん」
そうして、お互いに離れた俺たち。今のナオは、瞳が潤んでいて頬も少し赤くなっており、いつもは元気さを感じる表情とは違い。今は男を誘う様な美しさを醸し出して居た。今まで、可愛いと思った事はあったけれど、美しいと感じた事はなかった。
なんだか、彼女の新しい一面を連続で発見してしまった気がする。
「先輩♪ もう一度だけキスしたいです。いいですか?♡」
「あぁ、いいよ」
「なんですかぁ? その言い方? あんまり乗り気じゃないならいいですよ?」
そう言いつつ、どこか少しからかう様に笑う彼女。たった、1日過ぎただけなのに女の娘ってこんなに変わってしまう事があるんだ。そう思うと同時に気分が上がって来た。
「君とキスしたい。とても―――」
「素直な先輩も好きです♡」
そう言いつつ、俺たちはまたキスをした。今度は長めに味わう様に。だ。ただ、今の俺はどこか正常ではない気もする。なんだろう? 雰囲気にあてられてしまったんだろうか、心が浮ついている気がする。
「それじゃ、そろそろリビングに行きましょうか? ミサキちゃんも待ってますし」
「―――そうだな……」
「それとも、もっとします? なんなら最後まで♡」
「いや、今は出来ないよ。今は……」
「そうですね。今は、ですね♪」
そう言いつつ、ナオは突然着替えを初めてしまった。いや、リビングに行くのだから部屋着のままではないのかもしれないけれど。ここには男が居るんだぞっ。
「おい。なんで、突然っ!?」
「彼氏なら普通じゃないですか? 着替えを見るなんて?」
「いや、普通かもしれないけど。俺たちにはまだ早いっ」
「そうですかね? まぁ、先輩が初めてなんでそこは安心してください♪」
「あぁ、安心したっ!! だから、早く着替えてしまってくれ。途中じゃ扉を開ける訳にも行かないっ」
「それも、そうですね。ちょっと待っててくださいね♪」
そう言いつつ、着替えを続ける彼女。俺は背を向けているけれど、衣ずれの音や「あれ? 勝負下着ってどこだっけ?」などと言いながら、常に気を引こうとしている言動にずっと胸が、いや息子が反応してしまっている。
だって、高校生の男女が同じ部屋に居て、そのうちの片方が着替えてるんだぜ? これで意識しないやつは居ないっ。
そんな状態でそれなりの間待っていると。
「先輩♪ お待たせしました♪」
そう言われたので、ナオの方を見ていると。そこには胸元が開いた黒いドレス風の衣装を着た彼女が居た。谷間がやや見えてしまっており。どうしても目線が惹きつけられる。
「なんでどこかのパーティに行くような服装なんだよ。突然。それに化粧もちょっとしちゃって………」
そう待っている時間が、長めだったのは何故か化粧をし始めたんだ。いつもよりも少し大人っぽい印象になり。それが彼女の魅力をさらに上げていた。
「ん? 綺麗じゃないですか?」
そう言いつつ、スカートの裾を持ちつつ軽くターンする彼女。その姿は、これからダンス会場にでも行くかの様で、とても様になっていた。
「とても似合ってるよ。綺麗だ」
「せっ、先輩から初めて綺麗って言われた気がしますっ!!」
「そうだっけ?」
「そうですよ。いつも可愛いって言ってくれますが、綺麗は初めてです♡」
そう言いつつ、彼女は照れてしまったようだ。どうやら、褒める作戦は未だに有効な様だ。さっきから、色々と混乱していたが、褒めれば元どおりになるなら。
「今日は、とても綺麗だし。その今の表情も可愛いよ。出来れば、いつも可愛い君で居てほしいな」
「そうですかぁ♡ それなら、そうしますね♡」
「あぁ、頼む」
「それじゃ、次は先輩もセットしましょうね♪」
「は? どういう事だ?」
「二人でお洒落したいんです。ダメですか?」
「――――ダメじゃない……」
「それじゃ、お父さんの服借りて来ますね♪(トルルルルル)あっ、お父さん? ダイスケ先輩にあげていい服ってある?」
えぇぇぇ!! ちょっと待って!! なんで服をもらう事になってんの!?
っていうか、サイズ………は割と合いそうだったな。思い返すと。
「『お気に入りの服は衣装棚分けてるから、そっちに入ってない方がいいよ』だそうです。それじゃ行きましょう」
そう言いつつ、俺の手を引いて行くナオ。どうやら次は俺が着せ替え人形にさせられるらしい。
つづく
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あとがき
さらに積極的になったナオちゃんにタジタジ
仕事、落ち着いたので更新再開しますっ!
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