第22話 これから

嘘カノ 南條 奈央(ナオ)視点

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 昨日の夜、湯あたりしてからずっと体調が悪い。なんだか、体調だけでなく、精神的にも調子が悪い様に感じています。


 今朝起きて、体の不調を感じつつ、朝ごはんに行ったら、お父さん、お母さんにすごく心配されてしまいました。


 今日は、学校休んだ方がいいと。それに朝ごはんもあまり食べる気持ちになりませんでした。


 先輩と、ミサキちゃんには連絡をして今日の午後、私が問題なければお見舞いに来ていただけると言う話でした。それまでに、体調を良くしたい。そう、思ってるんですが、自分の顔を鏡で見ると。今、先輩達に見せられる顔では無い気がします。


「今日、どうしよう………」


 こんな時に相談出来る人が欲しいです。


「お婆ちゃんが、いればなぁ。お婆ちゃんに会いたい……」


 そうつぶやいてしまいますが、つぶやいてもお婆ちゃんはやってきません。もう、お父さんもお母さんも仕事に出てしまっていますし。どうしましょうか。


 スティーブさんに聞いて見るのも良いかもしれません。あの人は、昔仕事で精神を病んでしまって、一度過食症になったらしいです。その後、色々あって、離婚する事になり母国に戻った後、ダイエットと筋トレをする事で自分を取り戻して、また日本に来たそうなんです。が、その時は既に、元奥さんは別の方と再婚してたそうです。


 その事を話す時のスティーブさんは、後悔していた様ですが仕方ないとも言ってました『運命の人』を繋ぎとめられなかった自分が悪いと。「今なら、その時の失敗はしませんがね」と、筋肉アピールしながら語っていました。


 私も、筋肉付ければいいんでしょうか。いや、そういう話ではないんですけどね。スティーブさんの事を考えてるとどうも、思考が逸れてしまいます。


 結局『運命の人』を探している私が、それがなんなのか分かってないのが原因なんです。ただお婆ちゃんが言っていた、それだけが動機だったんです。


 ただ、昨日のミサキちゃんを見て少し分かった気がします。この人を繋ぎとめたい。と思う心がきっと、私には足りて無いんです。でも、それって恋なんでしょうか? 無理してるだけなのかも? もう良くわかりません。


 とりあえず、今は『先輩に会いたい』そうすれば分かるかもしれません。


 そう考えると少し、元気が出て来ました。先輩にメッセをしておきましょう。それと、今日はミサキちゃんには来て欲しくない。とも連絡してしまいましょうか。いや、それとも来て貰った上で? ちょっと楽しくなって来ましたね♪


 楽しくなって来た私は、それから本当に気分が良くなって少し、遅めのお昼ご飯を頂きました。もう、元気いっぱいです。


 それと、スティーブさんから、部活の顧問が解雇されて『強制肉体改造』をする事になったそうです。部活に行かなくなったので、あんな人、もうどうでもいいですが、変にマッチョになったらちょっと怖いですね。怖いから助けて、と先輩にも言っておきましょう。


 さて、そうと決まったら今から色々と準備しましょう。


ナオ:今日、待ってますよ。先輩♡


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主人公 橋下 大輔(ダイスケ)視点


 その日の学校は特に、大きな事もなく終わった。まぁ、部活の方ではゴタゴタするんだろうけど。俺にはもう関係ないしな。

 

 スティーブさんからは、あのクソロリコン教師を強制連行した件は連絡が来ていて。食事制限を含めた内容で、どうやらプロ顔負けの特急で仕上げるらしい。


 いきなり、そんな事されたら故障するか、人格変わってもおかしくない気がする。本当に………マッチョになってたら怖いけど。俺も負けない様に筋トレしよ。


 そして、ナオからは今日お見舞いに行っても良いと連絡が来ていた。メッセみた感じ元気になっている様に思える。放課後になったので、そろそろ行くかと思って1年生の教室に向かった。


 教室の中に入るのは、躊躇われるので入り口にいる娘に声をかけた


「橋下ミサキはいますか?」


「あ、先輩、今日もお迎えですか?」


「そうだな。妹だし」


「最近は、南條さんも一緒だったじゃないですか。今日は体調不良でお休みみたいですけど」


「あぁ、そっちは知ってる。これからお見舞いに行くつもりなんだよ」


「あ、そうなんですね。それじゃ、お大事にと伝えてもらえますか。私、新浜(ニイハマ)って言います」


「わかった、新浜さんね。伝えておくよ」


「それで、わたしはいつ呼んで頂けるんでしょう?」


 そう言いつつ、やってきたミサキ。いつもは落ち着いた雰囲気なんだけれど、今は少しご機嫌斜めの様だ。珍しいな。とそう思った。


「どうした? ミサキ?」


「いえ、なんでもありません」


「なぁ、ちゃんと話してくれないか? 最近、お兄ちゃんに隠し事してないか?」


「なっ、何を根拠にっ」


 ……いつからだっけ? 何か隠し事しているな。と思ったのは。


「ナオと付き合う前くらいから?」


「はぁ、兄さんは。何故、そこまで分かってて、鈍感なんでしょうか」


「ミサキちゃんも大変だねぇ?」


「そうなんですよ。大変なんです」


 なぜか、新浜さんにも責められてる………いや、俺も薄々分かってはいたんだよ。いくら元々従兄妹だからって、家の中で恋人の練習をするだなんておかしい。


 と言う事は、ミサキは前から………もしかして、とは思ってたんだ。でも、今俺には彼女がいる。期間限定の嘘の彼女だとしても。居るには違いないんだ。


つづく

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あとがき


お兄ちゃんも今の関係がおかしい事に気付きました。

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