第18話 ギャップ
クソロリコン教師は、スティーブさんによる強制肉体改造が決まったのである意味一安心出来た。それと俺も夏の大会に出る方向で話が決まった。
もう完全に諦めていたけれど、こういう形でもまた大会に出て結果が出せるなら良いな。そう思ったし、俺にとっては良い話なんだ。だったら断る理由なんてない。
スティーブさんの爽やかな後ろ姿を見送った後、しばらくするとやっと紅茶が来たので、みんなでティータイムを楽しめる様になった。
「それで、今日は一緒に晩御飯食べないかい? 良かったらだけれど」
ナオパパから提案されたので、ミサキと目と目を合わせて、そしてお互いに頷いた。今夜は予定もないし、親に連絡すれば大丈夫なはずだ。
「それでは、御相伴に預かります」意味はわかってないが、そんなに間違ってなさそうな言葉を使ってしまった。
「ん? そんなに畏まらなくても良いよ。慣れてないだろう? それにミサキちゃんも」
「いえ、なんかナオパパと話していると緊張するので」
あ、いけね。心の声が出てしまったっ。やらかしてしまったと気づいて途端に心臓が高鳴ってしまった。隣のナオも目の前のミサキもみんな失笑してるしっ。
「ナオパパっw なるほどナオパパかぁ。うんうん。それいいね。フレンドリーで、それじゃこれからもそれで良いよ」
「えっ。そんな」
「ん?」
柔らかい感じだけれど、なぜか圧を感じる。やっぱりこの人怖い人だよ。絶対。何人かヤってるよ。ちょっとぶるっとしてしまった。
「はい。ナオパパ。わかりました……」
「それで、ミサキちゃんの方は?」
「おじさま。わたしは、これがいつもなので。お気になさらず」
「んー。やっぱいいね! 君。うちの娘よりもよっぽどお嬢様っぽいよ!!」
「ちょっとお父さん!! お母さんに言いつけるよっ!! 他の娘作ろうとしてるって!!」
「いや、ナオちゃん。言い方、言い方。それ誤解されるよっ。作ろうとはしてないよっ」
「間違ってないじゃない!!」
なんだか、よく分からない親子喧嘩を始めてしまった。そして、それが微笑ましい。うちのミサキはああ言う風に親子喧嘩なんてしようとしないしな。いつも一歩引いてる感じだ。それは俺に対してもだけれど。そんなミサキは、二人の親子喧嘩を見ながら、何かを思い出そうとしている様だった。
そう言えば、ミサキって本当の妹じゃないんだよな。普段は、本当の妹だと思い込もうとしていたけれど。彼女の寂しい横顔を見ながら思い出してしまった。
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っと、いけない。親に連絡しないと。と、思い出したようにスマフォを取り出して今日は外でミサキとご飯食べる事になったから、晩御飯は要らない件を伝えた。
なぜか母親から「キチンと学生らしい対応をしなさいよ」と連絡されたが、なんの事だか分からない。この間、晩御飯を居酒屋でしてしまったが、学生らしい夕食とは? なんだ? よく分からず考えてると。ミサキの方にも通知が行った様だった。妹にも関係がある事らしい。
しばらくそうやって、他愛のない会話をしつつ。ナオと程よくイチャイチャしていると、夕食の時間になったので、リビングへ移動する事になった。
最初来たばかりの時は、緊張して目に入らなかった。通路にある観葉植物や間接照明がお洒落な感じがして、本当に良い所の家なんだな。と思う。ちょっとした空間の使い方にセンスを感じる。ただ、なぜか壁に設置されてる日本刀が、やっぱりその手の人の家なのかと存在を主張している。
「兄さん、兄さん」
「ん? 何だ?」
「あれ、あれ!」そう言って、日本刀を指している。
「ん。あれ? 日本刀だな?」
「日本刀ですね。ちょっと触ってみたいです。参考のために」
「え? なんの参考?」
「あっ。それは、今後の……ため?」
「何が今後のためになるんだか分からないが……お願いすれば触れる? のかな? どうなの?」
「うちには薙刀とかもありますよ。触ってみます?」
「えっ。そっちもあるんですかっ。触ってみたいですっ♪」
こんなにハシャいでいるミサキは、久々に見る気がする。特に最近は、大人びた表情しかしてなかったが、改めて妹はこんな表情もするんだと思い出させてくれた。女の娘二人が、仲よさそうにしている姿っていいな。
「ミサキちゃんが触ってみたいなら、夕食後にでも少し触ってみるかい? うちにはそれなりの広間があるよ」
「ええっ! 是非お願いします。おじさま♪」
「うぅっ、やっぱり家の娘にっ」
「ちょっとお父さん?」
どうやら、ミサキはオジさんキラーだったらしい。こう清楚っぽい感じの娘がはしゃぎながら「おじさま♪」なんて言われたら勘違いするよな。お兄ちゃん、妹が将来パパ活しないか心配になってきた。
つづく
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あとがき
黒髪女子高生が、刀とか薙刀振るってるのってなぜか魅力的に感じますね。
なぜなんでしょう?
あと、パパ活は許しませんよっ!
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