第16話 見られてる
主人公 橋下 大輔(ダイスケ) 視点
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俺が、ミサキから、スタンガンの画像を見せて貰ったあと、なぜか女子同士で微笑ましんんだけれど、どこか迫力のある雰囲気で二人が見つめ合って居た。ボソボソ話していて、なんだか分からないが、男性が割って入る雰囲気では無い様に感じる。ナオパパもそう思ったのか、居心地が悪そうで、俺にお茶を進めて来た。
「ダイスケ君、お茶菓子はいるかい? チョコ好き?」
「えぇ、人並みには」
「そうかい。それじゃどうぞ」
と言って、高級そうな箱に入ってるチョコが出て来た。学生からすると良い金額しそうだけど、ナオパパにはなんて事はないんだろうな。と言う自然な感じでだして来た。
「美味しいですね。このチョコ、尚文さんは生チョコ好きなんですか?」
「あぁ、これが好きでね。家の冷蔵庫にいつも入れてるんだが、妻やお手伝いさんに怒られるんだ。買いすぎだって、だから最近は書斎の冷蔵庫にだけ入れてるんだ。秘密だよ?」
そういってナオパパは、ちょっと下手くそなウインクをした。あんまり似合ってないけれど、どことなく人好きのする表情だった。真顔だと怖い印象なのに不思議だ。それにさっきの表情はどことなくナオと似ている気がした。やっぱり親子なんだな。そう思った。
「!! あ! またお父さん、チョコ食べてる!? ダメでしょ。最近太ったって言ってたじゃないっ。これは没収しますっ……あ! 先輩はいいですよ♪」
「そ、そんなナオちゃん!! 仕事の合間のこれだけ、これだけが楽しみなんだからぁ」
「今は仕事中じゃないでしょ? それとも、私の彼氏に会うのは仕事なの!?」
「そ、そんな事あるわけないじゃないか。な、何言ってるんだい?」
「じゃ、このチョコは仕事中じゃないから要らないですね♪ あと、私達の文もお茶を用意してください♡」
「は、はい………ナオちゃん」
なんか、ナオが部活でマネージャーをしてた姿と重なる所があるな……こう先輩とか、あのクソロリコン教師をおだてたりおねだりしたりして。仕事させるのがうまかった気がする。そういや、俺たちが辞めたあと、部活どうなってんだろう。さらにナオパパが、顧問の先生を首にするとか言ってるし………部活自体に思う所は特にないんだよなぁ。むしろ頑張って欲しいとさえ思う。
「ミサキちゃんは、緑茶か紅茶にする? それともコーヒー?」
「お手間ですが、それでは紅茶でお願いします」
ミサキが、落ち着いた所作でそう言いながら俺の向かい側に座った。なんかミサキの方が、お嬢様に見える。同じ家で小さい頃から育ったのにどうしてこうなった。
ミサキの今日の服装は、ワンピースにハイソックスだったんだけれど、座った時にスカートの裾から少し見える肌が妙に艶かしい。そんな事を考えてるとミサキが俺に微笑み掛けてくれたので、気まずくなって、そっぽを向いてしまった。
ナオパパが、紅茶が切れてたと言ってお手伝いさんに声を掛けに行った所で、ナオは俺の隣に座って、改めて見るナオは、パパにぷりぷりしている姿も可愛かった。でもお嬢様かと言うと違う気がする。そんな彼女は、俺の手に手を乗せて来た。その手を握り返した時に気づいたんだけれど、思ったよりも俺は手汗をかいてたようだ。
「うちのお父さんがすみません。毎回、ああいう風に圧迫面接するんですよ。今回はメイクまでしちゃって………なんか妙に似合ってましたけど(笑)」
「そうだな。なんか似合ってたな。思わず本職の人かと思ったよ」
「まぁ、元々はそうみたいですよ? うちの家は、戦後にこの辺りの自警団をしてたそうなんで。もうそっちはやってませんけれど」
「へ……へぇ」
「そういう家は嫌ですか?」
「なんとも言えないなぁ。全く想像がつかない」
「そうですよね。ハァ。なんか、連れてくる度にこうなんですよね。引かれちゃって」
「ビックリはするよな」
「そうなんですよ。あと『デート代、お金無いから毎回出して』とか言う人もいましたし。私、お小遣いに余裕があるのが普通だと思ってました」
んんっ。それは、俺もお金はないぞっ。この間、居酒屋に行った時みたいな金の使い方されたら、基本的に高校生は無理なんじゃないだろうか………ミサキも居るからいきなりお家デート誘っても問題ないよね?
と思ったのは正解だったかもしれない。金の使わない外デートって……公園とか? くらいしか思いつかない。
「それは、俺もお金あんまりないんで、お手柔らかに」
「先輩は、受験勉強控えてますし。図書館やカフェでもいいですよ♪」
おう。でも、それって俺に合わせてくれてるだけで、行きたい所ってないんだろうか?
「ナオは行きたい所ないの? 今度行く別荘以外で」
「んー。そうですねぇ。先輩と一緒ならどこでもいいですよ♪」
それが、一番困るんだよなぁ。選択権がある様でない。そんな感じだ。
それに、告白して来た時に言ってた『早速ホテルとか行っちゃいます?』と言うのは、やっぱり試されてただけなんだろうな。そう思えてしまうし。
どうしたものかと、色々頭を捻ってる間もナオは俺の手を軽く握りながらスリスリしていた。もう、それが普通に感じていたので、どこに行くべきか考え混んでいた俺は、目の前のミサキが俺たちの手を凝視していた事に気づかなかった。
つづく
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あとがき
ミサキちゃん (◉ω◉`) ジーーーッ
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