第15話 疑い
「そうそう! 部活辞める時も助けてくれたんだよっ! ダイスケ先輩居なかったら大変だったかもっ」
「なんだその話、聞いてないぞ?」
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妹:橋本 美咲(ハシモト ミサキ)視点
それを聞いたナナちゃんのお父さんの眉間にシワが入って、なんて言うか威圧感? を出し始めた……最初、部屋に入った時に思ったけれど、やっぱり怖い人なのかも?
わたしは、部活辞める時の話しについては結果しか聞いて居なかったので、どんな感じだったのか、少しワクワクしながら聞いて居たんだけれど………内容があまりにもあんまりでした。あの先生そんな人だったんだ………私も前に挨拶した時に胸見られて居た気がしたけれど。もう近づきたくないな。
「……なぁ、ナオちゃん。ちょっと良いかい?」
「何? お父さん」
「そういう事は早く言いなさい。その教師首にするから。お父さん、学校には結構寄付してるんだ。ナオちゃんが虐められたら困るからね。最近も嫌な事件あったし………」
わたしはそう聞いて、思い当たる事件を思い出した。たしか、北海道の……………ぞっとする様な嫌な事件でした。兄さん以外にそんな事されるなんて、ありえませんっ。でも、兄さんにならいいです。むしろされたいです♡
「ダイスケ君もお願い出来るかい? 外ならボディガードつける事も出来るけれど。学校内だとね。関係者以外入れないし」
「わかりました。と言っても俺……いや、僕は年明けには卒業してしまいますが」
「それなら、わたしが側に居ますよ。友達ですし」
「おお! 頼めるかい? 必要なら手当だすよ? スタンガンとか入る? ナオちゃんは可愛くない。とか言って持ってくれないんだ」
「だって可愛くないじゃん」
お父さんの前だからだろうか、いつもよりも幼い感じの反応をするナナちゃん。たまに見せるこう言う所が、男子から可愛いな。って思わせるんだろうな。わたしには出来そうにない。今のお義父さんとお義母さんに引き取られてから、いつも畏まってしまうのが癖になっている。
話しを戻してスタンガンについては、ナナちゃんが可愛くないと言ってるけれど。実際どうなんだろう? そう思ってスマフォで検索してみると。可愛い物もあるじゃないですか。そう思ってナナちゃんにスマフォの画面を見せました。
「こういう物もあるみたいですよ?」
「あれ? 可愛いね? これならいいかも?」
「ちょっと俺にも見せてくれる?」
そう言って、兄さんが隣にやってきた。ちょっと近いです。それに最近、香水をする様にお願いしたので、匂いだけでドキドキします。その香水もわたし好みのものを選んだんです。ちょっとしたお買い物デートをしたことを思い出して、気持ちがフワフワしました。
「ん? どうした? スクロールが止まってるぞ?」
そう言いつつ、わたしの手ではないですね。大切な物に触りました。それを優しい手つきで擦りながら、丹念に観察して行きます。上から下までそれはもう丹念に、見たあと、しばらくすると兄さんは満足したのか「
わたしが、少しの間を妄想に花を咲かせていると。ナナちゃんと目が合いました。もしかしたら気づかれたかも知れませんね。でも、兄さんにはすでにいくつか楔を打たせて貰いました。貴女が変わらないと……『兄さんは手に入りませんよ?』
お互いに見つめ合いつつ、改めてナナちゃんの事を観察しました。
全体的に愛らしく、みんなの妹と言う感じがする。少しの幼さをのこしつつけれど、女性的な体つきをしていて、明るい性格の娘です。そして家がお金持ち。
私には無いものがいっぱいあります。
私は、養子ですし。学費や生活費をお義父さんに出して頂いてるのにも引け目があります。さらに、兄さんとの結婚も許可してくれたのです。なんて心の広い家族なんだろう。と思います。兄さんとは絶対に離れたくありません。
「ミサキちゃんは、ダイスケ先輩の妹なんだよね?」
「どうしました? ナナちゃん?」
「その、兄弟としては少し距離感が近過ぎないかな?」
「他は知りませんけど。仲の良い兄妹なら普通ですよ?」
兄妹の居ないナナちゃんには分からないかもしれませんけれどね? と言いたくなったが、ぐっと我慢した。ここには兄さんも居るし、そんな事を言ってるのを聞かれたくない。
兄さんに聞かせたいのは『ナナちゃんと別れて! 私ならもうすでにメロメロのドロドロだから!! 今すぐにでも、兄さんの物を受け入れられますっ!!』と言いたいっ。
でも、お義父さん達との約束がある。だから今は出来ない。私がそんな状態なのにこの娘は、まだ兄さんを試す様な事をしてる。
私はすでに『運命の人』見つけてるのに。
つづく
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あとがき
本当はすぐにでも想いをブチまけたい。義妹ちゃん。
しかし、約束は守らないと。
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