第8話 引き止め

8話の改稿版。展開が二人の初めての共同作業になるようにしました。

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「私、部活辞めたいと思います。今までお世話になりました」


 そう言って、ナオが退部願いを出した。


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「ま、まってくれナオちゃん。ナオちゃんが辞められると困る!」


「そ、そうだよ。南條さん。せめて三年生の大会が終わるまでは居て欲しい!」


 ロリコンクソ教師と、部長が何やら引き止めようと騒いでるが、そもそも辞めたい理由はお前らなんだ。引き止められる訳がない。


 さぁ『練習通りに進めよう』何かあった時は俺の方でフォローするよ。ナオと目線でやり取りをした。そうしているうちにも、顧問の先生と部長は引き止めようと言葉を重ねている。


「ナオちゃん、考え直してよ! 不満があるなら解決するからさ? ね?」


「先生の言う通りだ。俺も協力する。誰かに原因があるなら俺がその性根を叩き直すっ!」


「すみません。辞めたいんです…………もう無理なんです。マネージャーを辞めさせてください」


 そう言いながら、ナオは頭を下げてお願いしている。真剣なお願いに顧問の先生も部長もどうしたら……と言う雰囲気が出始めた所で、俺の存在に気づいた。


「なぁ、こいつがいるから話せない事でもあるのか? 出て言って貰った方がいいか? さっきから気にしているが………」


「そうだな。橋本、お前出て行け。もうお前は部活とは関係無いんだしな」


「………いえ、ダイスケ先輩にも関係が有る事です。なので一緒に居てもらいたいです」


 再度、ナオと目と目で、合図を取り合って次の作戦に移る事にした。

初めての共同作業………だな。


「あの、二人ともいいですか? 俺からも説明します」


 こうやって、人前で言うなんて緊張するな………でも、俺がナオから期間限定の彼氏になって欲しいと頼まれたのは、これが目的でもあるんだから。彼氏としての最初の仕事をしっかり果たさないとな。


「実は、俺たち付き合い始めたんです。そして、家庭の事情を解決するのに彼女と協力が必要なんです。だから、ご迷惑おかけしますが、退部を許可して頂けませんか?」


「いや、突然そんな事言われてもだな………なんとか残れないのか?」


「そうだぞ。自分勝手じゃないか? 橋本の事情なんだろ? 南条さんはどうしたいんだ、コイツがこんな事言ってるけれど?」


「少しでも、ダイスケ先輩と一緒に居たいです。それと………もうここには入られません。それに彼氏居るので、ここに居るのは良く無いですよね?」


 そう言って、俺たちは顧問の先生を見つめた。部長も、なんだか分からないと言う顔をしていたが、3人でずっと見つめて居ると


「な、なんだそんなに3人して見て。何かついてるか?」


「えぇ。まぁ」(コクコク)


 そして、ナオはポケットからボイスレコーダーを取り出した。


「これ、以前先生と話した会話が録音されてるんです」


「えっ!?」


「大事な事を言われた事を忘れない様にって、持ち歩いてるんです。先生困るんじゃないですか?」


「何がだ………いや、なにもないが……それを渡して貰えないか?」


 まぁ、嘘なんだが。ボイスレコーダーって言っても、容量の問題があるから常に録音なんてされてない、ただの小道具だ。ネット経由で録音するにしても電池の問題もあるしな………先生の顔色が悪くなって来たが、知った事じゃない。あと部長もついでに悪くなって来た。やましい事があるんだろうな。


「まぁ、そういう事なら仕方ないな………部長の方は何か言う事はあるか?」


「いえ、ありません………」


「じゃ、帰りますんで。行こうナオ」


「はいっ。ダイスケ先輩♡」


 荷物片手に出て行こうとすると後ろから声をかけられた。


「後はなんとかしておく。応援も来なくていい」


 まぁ顔を合わせたく無いのは俺たちも一緒だ。

都合が良いから、言う通りにしよう。


「それじゃ、今度こそ帰りますから。お世話になり「ました」」


 こうして、俺たちは退部と言うイベントをこなす事が出来た。

ナオと連れ立っての帰り道は、いつもよりも気持ちが軽やかになって、ふと走り出したくなる様な開放感を感じて居た。それは、隣のナオも同じな様で、とても柔かな雰囲気になっていた。


「うまくいきましたね」


「もうちょっと粘られるかも知れなかったけれど、うまく行って良かった」


「これで、一安心ですね。他にも元彼が居るのでそちらもお願いします♪」


 どうやら、まだ彼氏としての仕事があるようだ。

なんか、ラスボス感あった顧問の教師ほど以上にヤバい奴はいないだろう

………いないよね………?


つづく

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あとがき


面白かった、続きが気になる。コンテスト頑張って!

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