第9話 兄妹
妹:橋本 美咲(ハシモト ミサキ)視点
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最近、わたしの兄さんがとてもおかしい。
何がおかしいって、よくスマフォの画面をみてニヤついて居るんです。
具体的には(南條 奈央)ナナちゃんが、兄さんの嘘の彼女になってから。兄さんは、変わってしまった。
部活を辞めてから、勉強に以前よりも打ち込む様になったし、身だしなみも気を使う様になった。以前は、家の中だとだらしない格好をしている事もあって、わたしの前でも平気で、タンクトップと短パンでうろうろしてたんです。
でも最近は、部屋着も少し気を使った服装になってしまいました。
きっと、いつでもナナちゃんと話せる様にする為なんでしょう。
よくビデオ通話をしているのか、わたしと話して居る最中でも、電話がくるとすぐに部屋に行ってしまいます。
わたしだって、年頃の女の娘なのに。ここまで意識のされ方が違うとなんだかモヤモヤします。いえ………なんだかと言うのは嘘です。
わたしは兄さんの事が異性として好きなんです。小さい頃からずっと一緒でしたし、何か困ってるといつも、わたしの事を助けてくれました。
小学校の時に、一緒に住んで居るのに『わたしと兄さんは親が違う』と言う事で、いじめられそうになった時、いつも一緒に居てくれる事で、守ってくれました。
その時にわたしは兄さんに『恋』をしたのかもしれません。
そして、今や、わたしだって高校生になってから胸だって大きくなったんです。こう、体を使って迫る。。。様な事も少しやってみました。けれど、それでも、兄さんの兄さんは反応をしている様子はありませんでした………。
「兄さん、もしかして、わたし達が元々は従兄弟だと言う事忘れてないかなぁ?」
そう思う事が良くありました。
わたしじゃ、ダメなんでしょうか。それとも、我慢しているんでしょうか。良くわかりません。
今の勉強だって兄さんは出来るし。だから東京の良い大学を受けるつもりなんです。大学生になったら一人暮らしになってしまいますし。
大学で、新しい出会いがあるかもしれません………そんな事を考えて悶々としている時のわたしの安らぎは、部活へ行って居る最中に兄さんのベッドで残り香を感じつつ、寝る事でした。
それが癖になってしまい。続けて居たせいで、お義母さんに気づかれました………。
そうして、兄さんを抜かした家族会議で、お義母さんとお義父さんにわたしが兄さんの事を異性として好きな事を伝えて、その…………結婚したり、子供も欲しい事を伝えました。
「まぁ、お前達は血縁的には従兄弟だし。本人達、次第ではあるが………大輔は大学受験控えてるし、今はその控えてくれないか? ――例えば、美咲が、大学生になった時にも、その気持ちがあれば………とか?」
「そうねぇ。タイミング的にはその方がいいかもしれないわね。とりあえず今はダメね。いい? 美咲?」
「はい………そうですよね。 ――お話を聞いてくれてありがとうございます」
「もう、いつまでもそんなに硬い話し方しなくたっていいじゃないの。いやねぇ」
「いえ――そんな事は………ご迷惑かけてますし」
「何言ってんだ。小さい頃にも言っただろ。本当の家族として接して欲しいって。それにお前達がもし、将来結婚するなら余計遠慮する事はないじゃないか」
でも、さっきの話だと今は、兄さんに対して何も出来ないじゃないですか。わたしは兄さんと一緒になりたいんです………。
そんな事を考えて居る時、ある雨の日にナナちゃんと出会いました。
彼女はその、言い方は悪いですが、すぐ付き合ってすぐ別れる。軽い女だと言う噂でした。男子からの人気はありましたが、一部の女子からは嫌われて居ました。
いわゆる男子ウケする女の娘、と言う物でしょうか。
でも、その日のナナちゃんは、びしょ濡れで捨てられた猫の様でした。
兄さんは最初、躊躇していたのですが
「兄さん。助けないんですか? もし、声をかけづらいなら、わたしが、声かけますよ?」と言うと快諾してくれました。
わたしは兄さんが目の前の女の娘を見てみないふりをする事が嫌だったのかも知れません。
思い返すと、その時のナナちゃんは、わたしが小学校の時に虐められそうになった時の事とどこか重なって見えたのかもしれません。
そして、そのまま家に連れ帰ってシャワーを浴びてもらって落ち着いたあと話を聞いたんです。
話を聞くとどうやら、ナナちゃんはおばあちゃん子で、おばあちゃんが言っていた。『運命の人』を探してるらしい。
けれど、高校生の男子なんてすぐ、キスしたがるし、エッチな事ばかり考えてる視線を感じると言ってました。
まぁ、それはわたしも同じです。ナナちゃんが可愛い系女子だとすると。わたしは美人系女子で、胸も大きくなって、顔立ちも良い方だと思います。だからクラスの男子からは良くそう言う目で見られて居ました。
でも、兄さんは………兄さんは……どうして―――と思って、つい愚痴の様な感じで、兄さんの事を話してしまったんです。
そうしたら、ナナちゃんが兄さんに興味を持ってしまいました。
今思うと、あの日わたしがナナちゃんとお持ち帰りしたのは失敗だったかもしれません。
なんとか、ナナちゃんの思考を誘導しようと
「そんな兄さんを期間限定で男避けに使ったら?」と提案をした所、ナナちゃんは納得顔をしていました。
だから、まだ、きっとわたしにもチャンスはある筈です。
それに、せっかく女の娘に興味を持ってくれた兄さんの邪魔をして嫌われたくありません。
ですが、もう時間が無い事には変わりがありません、わたしは兄さんが大学生になった時に勝負をかけようと考えています。
『ナナちゃんに、兄さんは渡さないっ』
つづく
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あとがき
義妹参戦!
ラスボス(ロリコン教師)倒したと思ったら、裏ボス出て来ちゃった♪
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