第7話 やるべきこと

「それじゃ、私と期間限定の彼氏彼女になってもらうと言う事でいいですか?」


「あぁ、そうしよう」


「ありがとうございます♪ ダイスケ先輩♡」


 こうして、俺たちは破局が決まっている嘘の彼氏彼女になった。

そして、俺の心はもう、彼女に持っていかれたようだ。


 もうすでに心では、彼女と一度付き合ったら『別れたくないんだ』………だけれど、ナオは部長や顧問の先生に粘着されていて『怖い』と言って居た。

怖がれれてる時点でも、もう脈はないんだ。自分の同じ様にならない様に気をつけないとならないが、将来の事なんて分からない。


 だから、まず俺は今ある期間を全力でナオと付き合う事に決めた。それが正解かは分からないけれど。


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 その日の夜


 居酒屋を出た俺たちは、一緒に手を繋いでナオを家に送り届けた。

彼女の家は、噂に聞いて居た通り、高そうな家で玄関の門から、少し見えた駐車場にある、見るからに高そうな車も印象的だった。


 さらに、外にはジープが横付けされて、そこに居るガードマンらしき人もなんか威圧感あるんだけどっ。なんだあのターミネーターばりの逆三角マッチョ!?

夜中突然みたら、チビりそうだ………。


「先輩、うちに寄って行きませんか? もう少し一緒に居たいです」


「いや、今日はもう遅いし、また今度で良い? 家にも連絡してないしさ」


「そうですか、残念です………」


 それじゃ、と言って帰宅しようとすると。マッチョさんが、どうやら送ってくれるらしい。この家のガードマンは、来た人を送ってく役割もあるようで、最初緊張したが、マッチョさんは話してみると良い人だった。何故か、やたら筋トレを勧めて来るが………。


『筋トレすればモテる』『筋肉は裏切らない』『筋肉で大抵のことは解決出来る』


 などと、運転中喋って居て、俺は空返事をするしかなかった。

そして、最後にお近づきの印に。と袋入りのプロテインとプロテインバーを貰った。


 マッチョさんはスティーブさんと言って、日本語が流暢な外国人で、副業でジムのパーソナルトレーナーをしているんで、是非ってことだった。

『勧誘かよっ!』でもまぁ、部活辞めるし興味はあるな。とも思った。


「ダイスケさんも都合が合えば、一緒に汗を流しましょう。筋トレは良いですよ! 嫌なことを忘れられます!!」


「スティーブさんは、嫌なことでも有ったんですか?」


「えぇ、まぁ……私が不甲斐ないばかりに色々ありましたね………でも今は大丈夫です。相棒(筋肉)がいますからっ!!」


 と言ってサムズアップしていた。圧が凄い………でも、そんなに筋トレが精神に良いなら、やってみようかな。


「ナオお嬢さんの事、よろしくお願いします」


 とスティーブさんから言われて、何をよろしくされたのかは分からないが、彼と硬い握手をしてから別れた。


 そして、家に戻ったあと

妹のミサキに、ナオと付き合うことになった事を伝えた。

なぜか一瞬、複雑な顔をしたけれど、俺たちの事を応援してくれる。らしい。


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 翌日の朝


 もともとは夏の大会が終わるまで部活動をやるつもりだったが、ナオの元彼の事にも気を配りながら、部活動なんてやっても集中出来ない。

結果も出ないだろうし、怪我だってするかもしれない。それに

顧問のクソ教師の言う事だって、部長の言う事だって聞く気にならない。


 もう俺は部活動出来るような状態じゃないんだ。

そんな奴が居たって、周りにいい影響を与える訳がないんだ。

他の『みんな』も迷惑だろう。


 なので、すぐに退部届けを出して退部する事にした。


「今までお世話になりました。夏の大会が終わるまでとは思ってたんですが、家庭の事情が出来まして今から受験勉強に集中したいと思います」


 そんな嘘も、顧問のロリコンクソ野郎にスラスラ言えるくらい、自宅で練習した。

妹のミサキと話した上で『うん。もう兄さんは部活辞めた方がいいよ』と言ってくれて退部時の想定練習に付き合ってもらった。

だから今の俺は完璧だ『まるで面接の練習みたいだね♪』と言ってて楽しそうだった顔が頭をよぎって少し笑ってしまった。


「そうか、次の大会期待してたんだがな、、、家庭の事情なら仕方無いが、、、なぜ笑ってるんだ? 大変なんだろ?」


「えぇ、まぁそうなんですが。集中出来れば解決出来る事情なので、ご心配には及びません」


「わかった。部長からは言っておく事はあるか?」


「特にはありません。僕も彼(ダイスケ)の活躍には期待して居た。と言うだけです」


 このスカした様な言い方をする。部長は、なんとなくイケメン匂いがしていて、前はこういう奴がモテるんだろうなぁ。と思ってたが、今は鼻持ちならない。

『お前が執着しているナオの今彼は俺なんだぞ』と言ってその顔を歪ませてやりたい。


「それじゃ、荷物片付けて失礼します」


「あぁ、お疲れさん。部活動しなくなるとは言え、大会始まったら他の部員の応援には来て欲しい」


「えぇ、都合が合えば行きます」


 こうして、俺の退部が決まった。それじゃ次はナオの番だな。

俺はわざと荷物を片付けるのをゆっくりやって、彼女が来るのを待った。


「失礼しまーす」


「ん? ナオちゃんか、どうしたんだい?」


 このロリコン教師は、ナオちゃんなんて言ってやがる。やっぱり張り倒してやりたい。どことなく猫なで声なのもムカつく。もう何もかもがムカつく。

俺ってこんなに心が狭い奴だったのか。。。


 あと、部長の顔も緩んでやがる『怖がられてる時点でテメェはノーチャンスだよ』と言ってやりたい。でも、我慢だ。俺は何か有った時にナオを守るためにここにいるんだ。


「私、部活辞めたいと思います。今までお世話になりました」


 そう言って、ナオが退部願いを出したが、案の上拗れた。

やっぱそうなるよなぁ………。


つづく

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あとがき


部活のマドンナが辞めるって言い出したら、そら引き止めますよねぇ。


そして、主人公が独占欲発揮して既にちょっと病んでる件。

一瞬とは言え、元彼にクソロリコン教師入れた状態にしたら

思った以上に病みが進行してしまいました。


面白かった、続きが気になる。コンテスト頑張って!

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