生着替えと下着選び

 寝落ちし、目覚めると俺は布団の上にいた。……あれ、おかしいな。寝落ちする前は比屋根からマッサージを受けていたはず。


 けれど、今は暗い部屋で仰向け。


 ひょっとすると、俺は比屋根の幻でも見ていたのか??



 ――そうだよな。



 男子の憧れである美少女の比屋根と同棲とか、現実じゃない。そう、今までは夢、幻を見ていたに違いない。



 部屋の明かりをつけると、そこには――



「!?」



 なんと、そこには谷間を大胆に露出している寝間着姿の比屋根がいた。



「うわああああああああ!!」



 俺は驚いてバッタのように飛び跳ねた。その物音で比屋根が眠たそうに起床。目を擦りながら挨拶をくれた。



「おはよー…」



 マジか。

 夢じゃなかった。

 ていうか……!



「比屋根、パジャマが乱れて乳首が見える寸前だぞ!!」


 まさか、ノーブラなのか。

 比屋根は、視線を自分の胸に落とす。

 すると、みるみる内に顔を真っ赤に。



「きゃぁっ! み、見ないでよぉ……」



 涙目になって手で必死に隠す。

 俺はすでに比屋根のモチモチの柔肌を直視済み。脳内へ完全に記憶メモリした。一生忘れません!


「お、俺はあっち向ているから……着替えてくれ」

「う、うん。学校もあるしね」

「そうだ。あと三十分後には家を出ないと」


 背を向けると、背後では衣擦れ音が耳に入る。たった今、比屋根がパジャマを脱いでいる。俺の部屋で女の子の生着替えとか……死ぬほどドキドキする。


「天川くん、今日のわたしの下着……赤と黒どっちがいい?」

「へ……?」


 比屋根の下着の色を俺が決めていいのかよ!? なんだその大サービス! さすがに興奮したわ!(←鼻血出そう)


「どちらか選んで。わたしを天川くんの色で染めて欲しいんだ」


 うわ、えっろ……!

 ていうか、平日の朝からアクセル全開……飛ばし過ぎだろう!


「……く、黒で」

「へぇ、黒がいいんんだ」


「な、なんだよ。俺が選んでいいんだろ?」


「うん。今つけちゃうから、絶対に振り向かないでね」


 つまり、裸になるということ。

 それはいくらなんでもヤバすぎるな。

 さすがに俺の身が持たない。


「なっ……分かった。見ないから安心してくれ」

「絶対だからね! 見たら許さないからね!?」

「分かった分かった」


 少し静寂が訪れた後、比屋根はどうやら下着に手を掛けたらしい。僅かに音が聞こえる。いや、心音の方が五月蠅うるさいくらいだ。……俺、死ぬな。


 ふと目の前に鏡がある事に気づく俺。


 あ……!


 あ、ああああああああああああ!!



 比屋根の裸が見えてるー!!

(※肝心な部分はホーリーライトなぞのひかりで見えないけど!!)



「……っ!!」

「ど、どうしたの……天川くん!?」

「き、緊張しているだけさ。な、なんでもないっ」

「そ、そか……。はい、今付け終わったところ」


「そうかぁ、ようやくか」


 振り向くと下着姿の比屋根が……だああああああ、まだ振り向いてはダメだったか……!!


「ちょ! まだ振り向いちゃダメだってー!!」

「す、すまん。つい……」



 女の子と同棲するって、こんなに大変だったのか。しかも、着替えるたびにこれを繰り返すのか!? 毎日!?

 なんってこった、ここまでは想定できなかった。


 でも、比屋根の秘密がいろいろ知れた。俺だけが。しかも、今は俺が選んだ下着をつけてくれている。めっちゃ興奮した。


「メイド服に着替え終わったよ」

「そ、そうか」


 そこには普段通りのミニスカメイドがいた。ふぅ、やっと安心だな。



 ――朝食を済ませ、学校へ登校。



 メイドの比屋根と肩を並べて向かう。なんて新鮮な。もれなく周囲の人間から大注目を受けていた。はたから見たら、異様な光景すぎる。異世界からの帰還者と間違われているかもな。

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