第1話 客の来ない探偵事務所 2
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この場からバスで30分ほどの大使館での出来事
その晩、大使館では大々的なパーティーが開かれていた
各国の偉人や著名人が多く招待されたパーティーだ
パーティーでは、酒を飲み交流を深め華やかな催し物を招待客はとても楽しんだ
だがそんなパーティーも、もうそろそろお開きとなる頃、事件は起きた
大使の娘夫婦は大使と共に毎度主催者として客もてなしているのだが、いつも母の後ろでこっそり隠れている子供達がいなくなったのだ
子供だから心配はないという大使をよそに娘夫婦は顔を青くした
娘夫婦の子供達は非常に内向的な性格で決して何をするにも母の側を離れなかったのだ
まして子供達だけでどこかに行くだなんてありえない話だった
そんな子供が母の近くにもそして会場のどこにも姿がない
招待客に気付かれないよう娘夫婦は内々に捜索したのだが、どれだけ探しても子供達の姿は見つかることがなかった
外出が好きではなかった子供達だから外に出たことは考えにくかったが、とうとう敷地内に探す場所もなくなりまさか外に出たのだろうかと大使の娘は顔を青くした
慌てて外を探しに出ようとした矢先、帰宅間際の招待客たちが悲鳴を上げた
その声に娘夫婦は飛び出し声の元へと走った
そして目を反らしたくなるような光景を見てしまったのだ
車の前に立ち尽くす招待客の白いドレスの裾は赤く染まり
そして彼女がたっている場所には真っ赤な水たまりが出来ていた
その様子をみて他の客が声をあげたのだ
慌てて駆け寄った娘夫婦も同じく息をのむような悲鳴をあげた
血のようにそまる水たまりを見て自分たちの子供が車に引かれたのではないだろうかと思ったのだ
娘夫婦は慌てて車をどかした
だがその水たまりの周囲には子供達はおろか原因となるものは何もなかった
安心して子供達の捜索を娘夫婦は続けたが結局子供たちは一晩中見つかることはなかった
翌朝
パーティーが終わった大使館のベルがなった
応答を求めて何度も何度も繰返しに鳴らされる
執事が前日の疲れの残る重い足取りで向かうと、そこには探していた子供達の姿があった
まるで生肉でも食べたかのように真っ赤に手と口元を濡らして
子供達の異様な姿に扉を開けた執事は悲鳴をあげ、その声を聞いた娘夫婦が今度はなんだと同じように重い足取りで扉へ向かったがそこに子供達の姿を確認すると慌てて駆け寄った
ようやく一晩さがした子供達の姿を見つけることができたのだ
我が子の無事な姿に安心するもつかの間抱きしめた彼らの口に血がついていたことに気付き執事と同じように悲鳴をあげた
そして自分の子供達に異様な姿にバケモノを見るような視線を向けたのだ
扉の近くに子供達を連れてきたのだろう少女が立っていた
真っ赤に染まった髪色をした少女だった
「迷っていたので家の場所を聞いて連れてきた」
血のように赤く染まった少女の髪があまりにも不気味で子供達を引き寄せると娘夫婦は少女を突き飛ばし扉をしめた
子供達をメイドに預け一安心した大使や娘夫婦は大広間で子供達が綺麗になって帰ってくるのを今か今かと待ちわびた。
だがなかなか子供達は戻ってこない
とうとう痺れをきらした大使が代わりのメイドに様子を見るようにいった
だがそのメイドも戻ってはこなかった
なかなか戻ってこないメイド達に苛立ちとうとう大使は娘夫婦をつれて子供達がいるであろう浴槽に向った
いい加減にしろと大使が怒りながら浴槽の扉をあけたが一同中の光景をみて息をのんだ
彼らがそこで見たのは血の海とメイドの死体と子供達だった
子供達は入浴のため脱がされた裸のままメイドを食べていたのだ
美味しそうに夢中になって食べ続けていた
「バケモノ」
ようやく事態を理解した大使がそう叫びポケットに入っていた小型のマスケット銃で何度も子供達を撃った
娘夫婦は恐怖のあまりただただ大使が子供達を銃で撃つところを呆然と見るばかりだった
大使が何度もマスケット銃で子供達を撃つが子供達はまるでドッジボールでもするように弾をよけて笑いながら走り回った
だがそれも大使のもつ弾が尽きるまでの話だった
大使の弾がなくなり撃てなくなると子供達は顔を見合わせると今度は大使に向かって走ってきた
その晩大使の悲鳴と子供の高笑いの声だけが浴槽に響いた
なんとか子供達から逃げ切った大使はすぐさま部屋を封鎖した
そして日に一度メイドを今も送り続けているという
二人で行かせ一人には必ず鍵を閉めるよう厳しく言い聞かせて
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