舎弟藤原編
第28話
ここから先に書かれるのは遠い先、過去を思い出したいときに見るためのものになる。
え? 痛い文章を書くなって? ははは。それを見るのもいい思い出になるんじゃないか?
裕福な家に生まれたのは幸福だと思っている。
欲しい物があれば手に入るし、親が親ばかだということもあってか頼み事に弱かった。
のびのびと育てられたからなのだろうか?
いつもどこを見ても俺の世界は白黒で、色がなかった。『退屈』という二文字がその世界を表すだろう。
だから俺はヤンキーになった。
刺激を求めた。俺が思っていた通りちゃんと先生に怒られ、ちゃんと親に怒られた。
当時はそれが退屈な人生に華を見出していた、と思っていた。
だがそんな日々が終わったのは高校生活初日。ある男、兄貴という人物との出会いだった。ヤンキーであった俺は最初、喧嘩を売った。だがなぜだろうか? 俺の心は一瞬で奪われた。
気づけば頭を下げ、負けを認め、舎弟になりヤンキーとしての俺はいなくなっていた。
それからは怒涛の日々だった。
新しい友人、新しい扉。そのすべてがヤンキーだった頃より刺激的で、兄貴といると見える景色が色とりどり。新しい俺を見つけることができた。
新しい俺を見つけるきっかけになっのは、断トツで紗千と結梨の存在。二人がいたおかげで、兄貴と出会うことができ仲良くなれた。まだ感謝できていないので、いずれしようと思っている。
あっ。書き忘れたけど、今この文字を書いてるのは高校一年生の夏。体育祭が終わり一週間が経った頃だ。
未来の俺へ。この先は願望を書き記そうと思う。いや、明確には願望ではなくてちゃんと思っていたことをできたか? という確認なのだがそこはいいしよう。
聞きたいことは星の数ほどある。
今の俺は何をしているのか? だとか、紗千と結梨はどうなったのか? とか。けど、これを見ているお前がわかっている通り、別のことを確認をしようと思う。
――兄貴はどうなった?
お前は体育祭で突然消えた兄貴を目の前にして思ったはずだ。兄貴の支えになりたい、と。だからいま一度問う。
――兄貴はどうなった?
もちろん俺はいい方向に進んでほしいと思ってる。けど今の兄貴を見ると、その真逆に進んでしまうのかと不安になってしまう。
兄貴がなにか俺達に隠していることがあるのはわかるんだ……。何か。俺達に言えない何かがあるのは……。
今、実は結構精神的に参ってる。兄貴があんな消えるほどに追い込まれてるのに、舎弟であり友人でもある俺に相談してくれないという事実に。
悲しい。悲しいけどこれからコツコツと信用を勝ち取って、心の内を相談してくれるような頼りになる男を目指すよ。
頑張るから、まぁ未来の俺も頑張れ。
じゃ、また書くことがあったら次のページで。
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