第2話

(不思議な人だなぁ…)

私が彼に抱いた始めの印象はそれだった。

人は何かしらを心に光がある。大なり小なり輝くものが見えるものがあるが、彼にはそれが感じられなかった。

そのくせに自己紹介にはっきりと自分を自分だとたらしめる芯を感じた。いや、感じてしまった。

そこに私は何とも言えない儚さを見てしまい、彼の素性を知らないながらに、一目惚れしてしまっていた。


だけど私はアタックはしない、というかできない。

もともと内気な性格で十分に異性と会話することができないのだ。

この性格を変えるきっかけが欲しい…そんな理想を抱いては虚しく散る。


「次の人、自己紹介を」


そうこうしてると私の番がやってきた。


「菜花灯です!初めて話す人が多くて緊張してますが、よろしくお願いしまひゅ!」


噛んでしまった…そこから起きる少しの静寂…そこに起きるドッと笑い声が起きる。

何故かみんながほっこりとした感じで私を見つめてくるから馬鹿にされているわけではないと少し安心した…けど、失敗したことに対する羞恥心が爆発して顔が上気して真っ赤になってしまった。


(何か面白いことないかなぁ…)


恥ずかしさを霧散させようとしていたらいつのまにか、チャイムが鳴り、授業を終える合図がした。


「ねぇねぇ!私、森月みのりっていうの!私、この学校に一緒だった子がいないっぽくてあなたと、話してみたかったの!」


後ろの席の子が話しかけてくれた。


失敗が恥ずかしすぎて、他の子の自己紹介を聞いていなかった…これは失敗だ…

でも、逆にこれはチャンス!仲良くならなきゃ!


「私も、知ってる人がいなくて、緊張してたところだったんだ。仲良くしようね…?」


「か〜わ〜い〜い〜!こういう小動物っぽいの大好きなんだよねー!」


「そ、そうなの?」


森月さんの好みより、私が小動物系と思われてる方がびっくりだった。


「そうなんだよね!なんか、ちょぅとオドオドしてるのが保護欲を掻き立てられる…みたいな感じが大好きなんだよね!」


ふんす!と鼻息を荒げながら目を輝かせていて見た目の印象であるいわゆる体育会系ぽさはあるが、元気いっぱいなついつい背伸びしちゃうお姉ちゃん属性なのだろう。光り輝くのは眩しいくらいに見えて、須藤くんの光のなさを見ていると、より一層輝いて見えるなぁ…


「どうしたの?目を細めちゃって?」


「な、なんでもないよ…ちょっと眩しいなぁ…って」


「私の存在はそんなに眩しいもんじゃないよ!もうっ」


私の方をつんつんつついてくる。


こういうのもやっぱいいよね。


新しい友情が芽生えた瞬間、須藤くんにもこの暖かさを分けてあげたいな…と思っていた。



----------------------------


一応頑張っております。楽しいから頑張るもクソもないのですが笑






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る