2章 初心者ダンジョンアルレン
ついに憧れの仲間が出来るそうですよ!
一瞬にして景色が変わる。
目の前には先程とは違う光景が広がっており無事テレポートできたのが分かった。
とりあえず事前に仕入れていた情報を頼りにこの街のギルドへ向かう。
この街は初心者向けのダンジョンがあるため駆け出し冒険者向けに物価も安くそんな街のため人も多い。
そのため前の街では見ることがなかった獣人などもチラホラ見かける。
(おお!獣耳っ娘がたくさん!街が変わるだけで一気にファンタジー感でてきた!)
念願の獣耳っ娘に出会えてテンションがあがった新一は浮かれたままギルドへ向かう。
ギルドへ着いた新一は受付に向かいダンジョンに着いて詳しく説明を受ける。
ダンジョンは初心者向けということもあって10階層
でできている小さいダンジョンだ。
出てくるモンスターもゴブリンやコボルトなどといった初心者向けのモンスターばかりだ。
ただダンジョンに挑戦するために1つ重大な問題があった。
(まさか1人じゃダンジョンに挑戦できないとは…)
いくら初心者向けのダンジョンとは言っても1人では死ぬだけなので原則2人以上でパーティーを組む必要がある。
だが新一はステータスが平均値以下で職業も無職であるため魔法もスキルも使えない。
そんな人間とパーティーを組む物好きな冒険者はいなかった。
(ここで美人なお姉さんや美少女がやってきてパーティーを組むパターンなのに、ここでぐらいテンプレきてくれよ…)
しばらくパーティーを探したが断られ続け現在20連敗中の新一はとりあえずパーティーは後回しにして武器と防具を買いに行くことにする。
受付に教えてもらった武器屋なら死んだ冒険者や引退した冒険者の装備品が安く売っているらしく新一の手持ちでも買えるとの事だった。
新一のステータスで持てるのはショートソードと軽いマントや胸当てぐらいだったがそれでも憧れの冒険者の格好ができて新一は満足していた。
あとは誰か1人パーティーを見つけることが出来ればいいのだがなかなか上手くいかない。
装備を買ったため貯金もなくなりかけているので早く見つけないとこのまままたきつい労働に行くしかない。
装備を買い再びギルドに行き掲示板を見るとパーティー募集の紙が貼ってあった。
選り好みをしてる場合ではないためさっそくその紙を持って募集主の所へ向かう。
ギルドの端っこの席に座っているようだがパッと見魔法使いのような格好をしていた。
ダメもとで話しかけてみる。
「パーティー募集の紙を見て来たんですがあなたで合ってますか?」
「はい、その紙を貼ったのは私ですよ。」
どうやらこの人で間違いなかったようだ。
赤髪に赤い目の特徴的な格好で顔立ちも整っており如何にも魔法使いと言った杖とマントをしている美女だった。
「魔法使いですよね?俺は無職なんですけどパーティー組めますかね?」
「はい、もちろんいいですよ。特にこだわりはないですから。1人だったのでダンジョンに潜れないので募集したので。」
どうやらこの魔法使いも自分と同じ理由でパーティーメンバーを探していたのだと分かったが同時に魔法使いがなぜパーティーを募集しているのか疑問だった。
魔法使いは自分なんかと比べ物にならないぐらい戦闘に役に立つ。
しかも魔法使いになれる人も少ないので引く手数多のはずなのだがそれがなぜ?と疑問に思うがせっかく出来たパーティーを崩す訳にもいかなかった。
「俺は新一と言います。さっきも言った通り職業無職で魔法もスキルもまだ使えないのですがよろしくお願いします。」
「私はアリスと言います。魔法を使いますので戦闘に役に立てると思いますので頑張りましょ!」
そう言って魔法使いのアリスは微笑んでた。
パーティーも組めたことなので早速ダンジョンに向かう事にした。
10階層でできているダンジョンは1階から順番に下っていきその階層のボスを倒しポイントを登録することで次の階層に迎えるというものらしい。
とりあえず1階層に向かって進んでいく。
中に入って行くと薄暗く臭いもきついものだった。
モンスターの死体や糞などがそのまま腐っているらしくダンジョン全体がこのような臭いなのだという。
しばらく進んでいくとゴブリンらしきものがでてきた。
1mほどの大きさで全身が緑のナイフを持ったモンスターだった。
「では早速私の魔法で対処しますのが下がっていてください。」
「ではいきます!フレイムボーム!」
そう言ってアリスは前にでると魔法を放った。
杖の先から火の玉が出たのだがどうにも様子がおかしい。
大きさは野球ボールぐらいの大きさなのだが離れていても熱気がすごくまた燃えている音が激しい。
魔法はそのままゴブリンを当たると激しい爆発と共に強烈な熱気と爆風が新一のもとに押し寄せてくる。
強烈な風に耐えられなかった新一はそのまま飛ばれてしまい壁に押し付けられてそのまま意識を失った。
目が覚めるとそこはまだダンジョンの中だった。
目の前には先程の魔法で焼けたであろうゴブリンと思わしき黒い炭のようなものがあった。
「すいません大丈夫でしたか?」
そういいアリスが顔を覗いてくる。
「はい、なんとか大丈夫です。それよりもあの魔法は?威力がすごくて討伐の証が炭になっているのですが…」
「実はですね…」
アリスは気まずそうに話をしてくれた。
アリスは魔法使いの才能がほかより飛び抜けてあるらしいのだが問題が一つだけあったようだ。
それが彼女に生まれながらにあった先天性スキル、炎神の加護らしい。
なんでも所有者の魔法の威力を上げてくれるみたいなのだがその代わり髪や目などが赤く染まり、また魔法も炎魔法しか使えなくなるらしい。
そしてその加護と一緒になったアリスの才能が問題だった。
ただでさえアリス才能で威力が凄いのに加護の影響で1番弱い炎の魔法のフレイムボールでも加減してもあの威力になってしまうらしい。
そのため狭いダンジョンでは味方に被害が及びまた、討伐の証明の為の証も炭になってしまうため取れずに報酬が貰えないらしい。
それを聞いた新一は彼女がなぜパーティーに入れずに募集していたのかを理解することが出来た。
いくら威力がすごくても討伐報酬が貰えないと誰も組みたがらないだろう。
「ほんと、すみません。いくら加減してもあんな感じでしかも他の属性の魔法も使えなくて…」
(この魔法使い絶対ダメだ…)
アリスは申し訳なさそうに謝ってくるが新一はこのパーティーに早くも不安を感じた。
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