異世界2日目ですよ!
寒さの中目が覚めた新一の気分は最悪だった。
(寒いしお腹はずっとなるし早くこの生活を何とかしないと…)
そんなことを考えながら空腹を紛らわし昨日紹介された仕事へ足を運ぶ。
着いた所は城砦の建設作業だった。
屈強な男たちに混じり新一は働くが高校生だったとはいえ1ヶ月以上引きこもっていた新一には過酷であり更に空腹のため作業はとてもつらい。
魔法が使えない最弱職の新一はひたすら肉体を酷使して働くしかないのだ。
親方に怒鳴られ泥まみれになりがらも何とか仕事をやっていく。
(早く日本に帰りたい!!!)
なんとか一日の仕事が終わり無事日当9000セナを手に入れた新一はその足でギルドの食事スペースに足を運ぶ。
(やっと異世界にきて初めての食事にありつける!ほんとに長かったよ…)
しくしくと涙を流しながら待つ新一に周りは目を合わせようとしないが今の新一にはそんなの関係がない。
とにかく食事にありつきたい!
その気持ちしかなかった。
注文した商品が届く。魔法でだしたと思われる水とありふれたパンと唐揚げだが新一にありがたい。
空腹の新一はパンに齧り付くが違和感に気づく。
(このパン硬くないか?)
周りを見渡すが同じようにパンを食べてる冒険者はみんな硬いものを噛み砕いた音をして食べている。
自分だけのパンが硬いということは無いようだ。
(マジか…この世界は食のレベルが地球より低いんだ)
(良く考えれば地球のご飯があの味だったのは科学がある程度発達してるからその恩恵としてあの味まで上がってるのか)
唐揚げも食べてみるが臭いが強くとても硬い。
空腹のため、生きるためにそれでも食べるしかないのだがとても満足できるものではない。
地球の料理をここで作りそれで金を稼ごうとも思ったが高校生の新一がスマホも使えないこの世界で料理の細かい工程やら材料なんかを知るわけもない。
あんなのが出来るのは料理人の子供だったり幼い頃から料理を作ってきた人間だけなのだ。
唯一の救いは魔法で出したと思われる水が美味しかったことだけだろう。
異世界初めての食事に敗北感を感じながら受付でまた明日の仕事を受けて帰る新一だった。
9000ルナを手に入れた新一だったが食事で1000ルナを使い更に、銭湯、パンツや下着、洋服といった生活必需品を買うと残金は100ちょっとしか残らなかった。
(あんなに一日働いて稼いだ金がその日の夜にはたったこれだけとか、マジで早く何とかしないとこのままじゃ凍死ルート一直線だ!)
明日からは食事と銭湯のお金だけで済み残りは貯金できるがそれでもまともな生活を送るには何日かかるのか、それを考えるともう日本に帰りたいと思う新一だった。
(現実がこんなに辛いと思わなかったよ。そもそも文字は読めないし書けない、金もゼロから、モンスターは冬眠だしそもそも装備すらないから倒しにもいけない。最弱職だから魔法すら使えない、こんなことなら異世界なんて行きたいとか思わなかったよ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます