ずぶりと20発目、エリクサー
診療所の庭に集められたスライム。
木で囲いを作って簡単には逃げられないようにした。
まずは糞抜きだ。
スライムの体の中を綺麗にしないといけない。
「【浣腸!】。よしよし、腹が減ったか。綺麗な水をしこたま飲むんだ」
糞抜きで、だいぶ時間が掛かったが、必要な事だ。
スライムに薬草を与える。
スライムの中に薬草が浮かび溶けていく。
後は。
「【浣腸!】。スライムポーションのいっちょ上がり」
俺は病人がひしめく診療所の待合室を抜けて診察室に入った。
「リア。薬が出来た」
「良かった。なんとか間に合いそう。みんなもご苦労様。シュリンとマムは、よく魔力が尽きないわね。助かったわ」
薬が続々と投薬されていく。
不味いぞ。
このままだと、薬が足りなくなる。
俺は再び庭に戻って、薬を量産し始めた。
やばい、薬草が足りなくなる。
とりあえず出来た薬をもって、診察室に駆け込む。
途中見た待合室の状況では、病人の人数は減ってない。
街の人間が次々に感染しているのか。
「リア、やばい。薬草がもうない」
「そんな。薬師からの分も全て投与したから、もうないわ。どうしよう。うっ」
「どうした」
「お腹が苦しい」
「便秘か。今楽にしてやるぞ。【浣腸!】」
「はぅ、きた。なんなのこれ。腸が動いている。はうん。もう限界」
リアがトイレに駆け込んだ。
しばらくしてスッキリした顔でリアが戻ってきた。
「今、しばらくキュアで一時しのぎして。解決策は絶対に見つけるから」
「よし、俺もキュアを量産しよう」
別室でキュアを量産して診察室に運ぶ。
「解決策が見つかったわ。エリクサーよ。これなら全ての病気が治る」
リアが解決策を見つけたようだ。
「もう、限界なの。聖気が無いの」
そう言ってマムが剣の姿に戻った。
聖気がなくなったのか。
いわゆる魔力切れだな。
「マムちゃんて、剣だったの」
驚くリア。
「ばれたら仕方ない。そんなに秘密でもないがな」
「スキルと魔法を使う剣なんて聞いた事がない。もしかして聖剣」
「それもばれたのか。仕方ない」
「そんな事より。エリクサーはどうやって確保したら」
「任せとけ。材料ならある」
「ドラゴンの卵をどうやって手に入れたの? 本当でしょうね」
「あるんだな」
俺は収納袋から卵を取り出した。
「あわわわ。しまって、恥ずかしい」
シュリンが顔を赤くして言う。
「何でシュリンちゃんが恥ずかしがるのよ。卵を産んだ本人でもないのに。はっ、本人なの?」
「そうなんだよ。シュリンはドラゴンだ。それよりエリクサーだ。作って来る。シュリン、キュアを頼むぞ。お前だけが頼りだ」
「早く卵を仕舞って」
俺は卵を収納袋に入れた。
庭に戻るとスライム達が蠢いている。
スライムに薬草を何種類かとドラゴンの卵を割ってそれを食べさせる。
薬草はこの日の為に集めたものだ。
いつかエリクサーが必要になると思っていたんだ。
「【浣腸!】。スライムエリクサーのいっちょ上がり」
診察室に戻って、患者に数滴ずつのエリクサーを飲ます。
エリクサーの数は足りて、何本か余った。
足りて良かったよ。
「ふぅ、ご苦労様」
「お疲れ様だな。マムを元に戻してやらないとな【浣腸!】」
マムの剣を抜いた。
鞘におかゆを詰める。
剣を納めて浣腸スキルを掛ける。
鞘から剣と土くれが出て来た。
これを何回か繰り返すとマムは人型に戻った。
「あなたが聖剣の使い手。と言う事は、勇者だったのね」
「まぁな。秘密にしてくれるとありがたい。ロウタイドがうざいんでな」
「教会には報告しますけど。ロウタイドには秘密にしておきます」
「そうしてくれ」
「私、あなたのお嫁さんになります」
「いきなりだな」
「古来、勇者と聖女は結ばれるものなのです」
「抜け駆けはなしよ。私が立候補しようと思ったのに」
「あら、アドミもですか。仕方ありませんね。邪神討伐の暁には話し合いましょう」
「ええ」
嫁さん候補が二人もできた。
「駄目よ。シュリンも」
「じゃマムもなの」
もとい4人だ。
シュリンとマムは人外だが。
竜人の先祖はドラゴンと交わった人間との伝説もあるしな。
聖剣がどうなるかは知らないが。
約束を完全に思い出した。
2人が便秘で苦しんでいるから、救ってくれという話だった。
それと邪神討伐にいかないといけない。
この世界の危機なら仕方ない。
俺に何ができるかは分からないが、精一杯やってみるさ。
まずは残りの1人。
ペネト・レーシを救う事だな。
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