ずぶりと16発目、打ち上げ

 打ち上げの前に肉屋に行った。

 ギルドの酒場で新鮮なオーク肉を食いたいと思ったからだ。

 肉屋の親父がオークを吊るし捌く。


「ここまで綺麗な腸は初めてみたぜ」

「売ってほしいが、駄目なんだろうな」


「がるっ」


 シュリンが肉屋を威嚇する。

 内臓を食いたいとか言っていたしな。


「すまん、売れないな」

「そうか、指名依頼を出していいか?」

「好きにしろ」


 肉も仕入れたし、後は食うだけだ。

 ギルドの酒場に、材料持ち込みで、料理を作ってもらう。


「はいよ、もつのピリ辛炒め」


 美味そうだな。

 だがな、スキルを使うと状態が分かるんだ。

 スキルを使う時、オークの腸にブツが詰まっているのが感じられた。

 どうもそれを想像するとなぁ。


「これは噛み応えあってなかなか」

「美味しいの」

「そうね。美味しいわ」


 俺はオークの焼肉で我慢しておこう。


 美味い料理を食って酒が進み、アドミがこんな事を言い始めた。


「私の見立てでは、リアとペネトは便秘よ」

「なぜ分かる?」

「分かるわよ。トイレの利用具合でね。今なら分かるけど、私達が探索隊に選ばれたのって、あなたと引き合わせる為じゃないかしら」

「なるほどな。弟のロウタイドは俺と面識があるし、頷ける話だ」


 なるほどな。

 便秘の人を連れて来れば俺のスキルと出会う事、間違いなしだ。

 まるで分かっていたかのようだ。


「さすが神託のスキルよね」


 神託スキルだとぅ。

 おいおい、俺の事が全部知られているのか。

 恥ずかしい歴史なんかもか。

 参ったな。


「何やら見透かされているようで怖いな」


「パーティメンバーを救ったら、あなたが邪神討伐へ自発的に赴く事になっていても、不思議じゃないわ」

「俺は邪神討伐に行かされるのか?」


「そうよ」

「拒否したら世界が滅びそうだな」


「もぐもぐ、強い者と戦ってみたい」


 とピリ辛炒めをぱくつきながら、シュリン


「邪を祓うのは聖剣のつとめなの」


 決意した様子のマム。


「二人とも乗り気なら仕方ないな。リアとペネトを救ったら邪神討伐に行くか」


 そして、食事は終わった。

 苦し気な様子のマム。


「よし、いま楽にしてやるぞ。【浣腸!】。サービスでシュリンとアドミにも。【浣腸!】【浣腸!】」

「来るの。腸が動いてるの。うねってるの。くぅなの。ふぅなの」


 マムが剣の姿になり、鞘から剣と土くれをドバっと出した。


「はー、くぅん。ふぅ。やっぱり生のスキルは違うわね。くっ。はぁん。もう駄目」


 アドミがトイレに駆け込んだ。


「ちょっと、今日は二回目。くっ、うー、うん、うん」

「このところ沢山食ってるから。平気だろ」

「そんな。ふぅ、はぁ、はぁ。出て、お願い。はぅん」


 シュリンが卵を産み落とした。

 他の冒険者が目を丸くして見てる。


「見世物じゃねぇんだぞ。嫌だ。恥ずかしい」


 今まで考えた事が無かったが、シュリンってノーパン。

 だって卵を産む時パンツ脱いでないよ。

 ドラゴンがパンツ穿くって何となく変だが。

 人型だと変態さんだな。


 そう考えるとエロいのかも。

 そう言えば服を脱いだところも見てない。

 もしかして、脱げないのか。

 じゃ、パンツは穿いていて、脱げないだけか。


 どうなっているのか見てみたい


「なぁなぁ、シュリン。どんなパンツ穿いてんの。ちょっと見せてよ」

「へっ、馬鹿」


 シュリンに叩かれた。

 今日の俺は何か変だ。


 マムが人型に戻った。


「シュリンもご主人様も酔ってるの。今日は大人しく寝るの」


 そうかもな。

 急にふらふらしてきたよ。


 宿にどうやって帰ったのか覚えてない。

 気がついたら朝になってシュリンとマムと一緒のベッドで寝てた。


「昨日、なんかやらかした感じがあるんだけど。何だったっけ?」

「知らないわよ。私も覚えてないわ。そういう事にして」

「覚えてないのなら、仕方ないの」


 扉がノックされる。

 誰だ。

 出たら、アドミだった。


「昨日は置いていくなんて酷いんじゃない。飲み代を払ってよ」

「悪かったな」


 俺は財布から金を出して、渡した。


「ほら、なにぼやぼやしているの。リアの所に行くんでしょ」

「そうだったっけ。約束したんじゃ仕方ない。行くか」


「私も行く」

「シュリンもなの」


 何やら使命があった気がするんだ。

 世界の命運を分けるような。

 まあいいか。

 そのうち、なるようになるだろう。

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