ずぶりと15発目、魔法実戦
「魔法を早く上達したいなら、実戦ね」
そう言われてアドミに近くの森に連れて行かれた。
「来るわよ」
ゴブリン3匹が現れた。
「炎よ火球となりて敵を撃て、ファイヤーボール」
シュリンが手早く魔法を撃って、ゴブリンは火だるまになった。
くそう、俺もやるぞ。
俺はゴブリンに背を向けた。
「炎よ火球となりて敵を撃て、ファイヤーボール。あれっ、駄目だ。魔法失敗か」
「魔力が体の外に出てないわ」
「炎よ火球となりて敵を撃てなの、ファイヤーボールなの」
マムの魔法がやっぱりゴブリンを丸焼きにする。
くそう、何故魔法が出ない。
「平常心よ。魔法で大事なのは冷静な心」
「何か力が出ないんだよな」
俺はしゃがんで踏ん張った。
「炎よ火球となりて敵を撃て、ファイヤーボール。出た。出たけど飛んで行かない」
俺のファイヤーボールは尻から出たところで棒状になって地面に垂れていた。
草が黒焦げになって燃える。
「ぐぎゃぎゃぎゃ」
ゴブリンが笑う。
ちきしょう、魔法なんて大嫌いだ。
俺は魔法を諦め、ゴブリンにデコピンをした。
首の骨が折れるゴブリン。
「ぷぷっ、魔法が使えないの?」
「うるさい。魔法(物理)だよ。俺はもう魔法は諦めた。才能がないんだ」
くそう、何故だ。
俺の何が駄目なんだ。
その時、ズシンズシンと重たい足音が聞こえてきた。
でかぶつめ。
出て来るなら、出て来い。
出て来たのはゴーレムだった。
「ふっ、俺のスキルに敵うかな。【浣腸!】」
ゴーレムから垂れたのは良く分からない油のような液体だった。
ゴーレムは苦しんでする様子がない。
くそう、俺からスキルを取ったら何が残るんだ。
八つ当たりだ。
俺は剣を抜くとゴーレムに叩きつけた。
折れる剣。
「こいつはアマダンタイトゴーレムよ。普通の手段じゃ倒せない」
びびった様子のアドミ。
「全く、だらしがないんだから」
そう言うと、シュリンは大きく息を吸い込んで炎のブレスを吐いた。
真っ赤に熱せられるゴーレム。
だが、ゴーレムは溶ける様子がない。
ゴーレムは拳を振り上げるとアドミに殴り掛かった。
「危ない!」
俺はアドミを庇ってパンチを背中で受けた。
痛くないな。
レベルMAXだもんな。
このゴーレムのレベルが幾つかはしらないけど、俺には負けるだろう。
さて、千日手になったぞ。
「ドラゴンになって捨ててくるのが早いんじゃない」
「人間を襲う事を覚えたモンスターを野放しに出来ないよ。仕方ない。マム、ごめん。【浣腸!】」
「はうっ、出るの。出ちゃうの。くうぅ。ふぅ」
マムが剣になり鞘から剣が抜けた。
俺はその剣を拾うとゴーレムに叩きつけた。
切断されるゴーレム。
凄い切れ味だ。
こんなによく切れるとは、さすが聖剣。
「人が剣になったぁ」
驚くアドミ。
マムが人型を取る。
マムを触って確かめるアドミ。
「ひんやり冷たいわね。この子、普通の武器じゃないでしょ。少なくとも私の知っているインテリジェンスウェポンとは違うわ。もしかして、聖剣」
「ばれてしまったな。この事をロウタイドに言うのか?」
「あなたが嫌なら、言わないわよ」
「何でだ」
「さっき庇われた時にキュンときちゃたの。悪い?」
「悪くないけど」
「それに、あなたのスキルを込めた魔道具を、毎日使っているけど、あなた本人には及ばないわ。敵対してスキルを掛けてくれなくなったら困るのよ」
「そうか」
「さっきシュリンちゃんが言ってたけど、ドラゴンになるって。シュリンちゃんは竜人じゃなくて、ドラゴンなんじゃないの」
「そうだな。みんなばれたな。黙っておいてくれるか」
「ええ」
「じゃアマダンタイトの塊も手に入ったし、今日はパーっといこう」
「賛成」
「はいなの」
「口止め料ってわけね。さあ行きましょう」
俺は収納袋にゴーレムの残骸を入れると街に向かって歩き出した。
アドミにばれてしまったけど、別にロウタイドにばれるのはそんなに嫌じゃない。
ただ、めんどくさいだけだ。
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