ずぶりと14発目、出る魔法
オペラッティさんの所に魔法意識水を持ち込んでみた。
アドミが先客で来ていた。
「スキルというのはね。魔法の一種なのよ。単体または複合の魔法が簡単に出来るようになっている」
オペラッティさんがそうアドミに講義していた。
そうなのか。
そうすると俺の浣腸スキルも魔法で再現できるのか。
「オペラッティ様、ちょうどスキルを持った人間が来ました。彼のスキルを魔法で再現してみては」
「それが、試してみたけど、難しい。糞をコントロールするのは水や土を動かすのと変わりない。でも、これだけでは不十分。腸の運動も付け加えないと。でも、これだけだとまだ彼のスキルには及ばない」
「腸に身体強化を使ってみては」
「3つの魔法を同時に起動するのは難しい。体の中の事なのよ。制御を誤ると大惨事になるわ」
「オペラッティさん、実は俺、魔法に興味があるんだ。教えてくれないか」
「私は素人には教えられない。天才だからね。私の言う事をほとんどの人が理解できない。アドミに頼んでみたらどう」
「アドミさん、頼みます」
「いいわよ。その代わりスキルを私に掛けて。何としても魔法で再現するわ」
魔法の基礎を教わった。
まず魔力を動かすのだそうだ。
これが出来ないと話にならないらしい。
そんなんできるか。
「クリスター君、難しく考え過ぎなのよ。感覚で魔力を動かすの。手足を動かすようにね」
うんうん、唸っている俺を見て、オペラッティさんが口を挟んだ。
「オペラッティさんは天才だからだよ。手足を動かすようになんて出来ない」
「できないの。私は最初からできたけど」
ああ、何かイライラする。
スキルを思いっきりぶっ放したい。
あれっ、手足よりもっと意識して動かしてきた物があるじゃないか。
腸だ。
スキルを使う時は、いつも腸の動きが、頭の中にイメージされる。
出す出す出す。
「うん、うん、うん。動いた。出た」
「出来てるわよ。お尻から魔力が出てる」
とアドミ。
「見て見て、灯りをともせ、ライト」
シュリンが光の魔法を使う。
「私もなの。灯りをともせなの、ライト」
マムも魔法を使った。
うわっ、二人に先を越された。
「二人とも素晴らしいわ。とくにシュリンちゃんは熟練の魔法使い並みよ」
「何でだよ。脳筋のくせして」
「へへーん、空を飛ぶのとか、ブレスとかを使う時に魔力運用は基本よ」
「竜人はそうなのね。道理で一騎当千とか言われるわけね」
「俺もやるぞ。灯りをともせ、ライト」
尻が棒状の魔力が出て光る。
何で俺のはこんなに恰好が悪いんだ。
「ぷっ、まるで蛍ね」
「蛍は大好きなの」
いいんだ。
俺なんかどうせ蛍だ。
「私、悟ったわ。温水よ腸内を駆け巡れ、コロンクリーニング」
こいつ、オリジナル魔法を使いやがった。
オペラッティさんを上回る天才なのか。
ぐぬぬ、脳筋の癖して。
「お、おトイレ」
「突き当りのドアよ」
シュリンがトイレに行った。
浣腸スキルではないが、温水で腸を洗うとはな。
「悔しいわ。浣腸スキルの再現は私がするはずだったのに」
シュリンが戻ってきた。
「あー、さっぱりした。前々から洗いたかったの。浣腸スキルを掛けられると、なぜか卵が出るのよね」
「私も挑戦。温水よ腸内を駆け巡れ、コロンクリーニング。あれっ、じわっと温かいだけであんまり感じない。浣腸スキルとは違うのね」
アドミも魔法に挑戦中だ。
「お、おトイレ」
お尻を押さえてアドミが奥に消える。
「これはこれで、需要があるかもね。魔道具にしてみましょう」
オペラッティさんがそう言った。
しばらく魔石に魔法を掛けていたオペラッティさんが手を止めた。
「出来たわ。でもいまいちね。体内で魔法を発動できればもっといいのに」
体内ね。
そうだな。
回復魔法の魔道具は見ない。
体外から行使すると威力が半減するからか。
それでポーションを使うと。
とすると体内なら飲み薬か。
固体だとちょっとな。
液体なら。
「そうだ。これを忘れてた。魔法意識水」
「魔法意識をポーションにしたのね。これを使えば体内で魔法が使える」
「役にたって良かったよ」
アドミが帰ってきた。
「最初ドバっと出て、段々出て行くお湯が綺麗になっていくのね。これはこれで良い物だわ」
「私にも掛けてなの」
「マムちゃんにも掛けてあげるわ。温水よ腸内を駆け巡れ、コロンクリーニング」
「おトイレなの」
マムもトイレで洗浄中だ。
マムの場合は剣になって、油で拭いた方が良くないか。
水だと錆びるぞ。
マムが帰ってきた。
「油が欲しいの」
「はい、油ね」
オペラッティさんが差し出した油をマムは飲んだ。
お湯で洗って、油を塗るか。
自分で手入れしてくれるとは手間が省ける。
それにしても、何だか変な物を開発してしまった。
いいのかな。
まあいいだろう。
みんな喜んでるし。
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