ずぶりと9発目、ゴースト退治
テーブルに並ぶ満載の料理。
夕方のギルドの酒場で、シュリンに約束の飯を食わせている。
この量はうっとくるものがある。
気持ちいい程のペースで料理がシュリンの胃袋に消えて行く。
それにつられてマムも食う。
俺は大食いではないのでこれには付き合えない。
「メニューの端から端まで全部」
料理がなくなったのでシュリンが追加で注文する。
「お腹が痛い」
マムが腹痛を訴えた。
生気を吸い取った食い物が鞘一杯に詰まったのだろう。
「食事の席なんでな。特別室でやろう」
マムをお姫様だっこして特別室に急ぐ。
「見ろ。クリスターの野郎。パーティメンバーを連れ込むぞ」
「懲らしめたいが、前にちょっかいを出した奴は消えてしまった。噂ではいかがわしいバーで働いているとか」
まだ、そんな奴が残っているのか。
そう思ったら、特殊性癖の男達が話をしていた男達の背後に立つ。
「ひょっ。くわばら、くわばら」
特別室に入って。
「【浣腸!】」
マムに向かって人差し指を決めた。
「はうっ、食べ過ぎたの。いつもより苦しいの。ああっ。くっ。くぅ。ふぅ」
マムが剣の姿になり剣が抜けて、鞘から大量の土くれが出て来た。
俺は掃除用具を取って土くれを片付けた。
マムは人型になり。
「すっきりなの。聖気がだいぶ溜まったの」
それはよござんした。
ギルドの酒場に戻ると皿が山と積まれていた。
「そんなに食って大丈夫なのか?」
「平気よ。ドラゴンだから」
さいですか。
「明日から、冒険者やるぞ」
「はぐはぐ、掲示板を眺めるのも飽きたから丁度いい。むぐむぐ、賛成」
「私は有り余る聖気を発散したいですの」
「じゃあ、どこに行くかな」
「はむはむ、遺跡がいいな。ふぐふぐ、遺跡ならゴーストもいる。もぐもぐ、マムも発散できるとおもう、ごっくん」
「私もそれでいいです」
「よし目的地は遺跡だ。依頼を探してくる」
掲示板で遺跡の依頼を探す。
ええと、ビックビーの蜜採取。
ドライアドの樹液の採取か。
この二つでいいな。
受付に依頼票を持って並ぶ。
「珍しい、クリスターさんが採取依頼だなんて」
「魔道具が出来たからな」
「ええ、皆さん助かってます。この依頼で大丈夫ですか。Aランク依頼ですよ」
「頼もしいパーティメンバーがいるし。俺のスキルも隙ぐらい作れる」
「そうですね」
ポンポンと受注の印が押されて、依頼票を渡された。
酒場に戻ると、シュリンが腹をさすって、ゲップをしたところだった。
「じゃあ。出発は明日だ」
「ゴーストは昼間は出ない。今から行くよ」
「今からか? 仕方ない行くとするか」
閉店間際の店で色々と買い込み、街から出た所で、シュリンがドラゴンの姿に戻る。
俺とマムは背によじ登った。
シュリンが翼を広げ羽ばたく。
ふわりと浮き上がり、飛び始めた。
夜の空の旅は何も見えなくて怖い。
俺はダンジョンの財宝の一つである、暗視の眼鏡を着けた。
昼間の様に風景が見える。
こうして、世界中を旅して回るのもいいかもな。
俺のスキルの素晴らしさを伝えて回りたい。
ほどなくして遺跡に着いた。
ちょうど月が天頂に差し掛かるところで、月明かりで暗視の眼鏡を着けなくともよく見える。
灰色の影が寄って来た。
ゴーストのお出ましか。
「マム、【浣腸!】」
「くぅ」
剣になったマムの鞘から、剣が抜ける。
俺は聖剣を手に取るとゴーストに斬りかかった。
青い軌跡を描いて、聖剣がゴーストを切り裂いた。
「ぎゃー」
断末魔の悲鳴を残してゴーストは消えた。
消えた場所には魔石がある。
それから一時間ほどゴースト退治をしてから、財宝の一つである結界付きテントを広げた。
テントの中に入るとシュリンとマムが前後から抱きついてくる。
シュリンは暑く、マムはひんやりと冷たかった。
サンドイッチされて思ったのは、二人を足して割ったら丁度いい温度になるのにだった。
マムがほのかに温かくなる頃には俺も眠りに入った。
特殊性癖の男達とサウナに入って、ぞっとする夢をみた。
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