ずぶりと7発目、弟との再会

 今日も元気にスッキリだ。

 常連に新しく入ったエマが挨拶にきた。


「おはよう」

「ああ、おはよう」

「あんたのスキル凄いわね。後味っていうのかな。薬だとあの後の気持ち悪いのよ。まだ残っているような感じがしたり、ゆるくなったりするものだけど。あなたのはそれがない。ひたすらスッキリそう快」


「今のところ副作用みたいなものは、確認されてないな」

「そうなのよね。飲み薬だとお腹が痛くなったり色々とあるけど。それもないわ」


「今日もやっていくんだろ」

「ええ、お願い」


「貸しを取り立てにきたわよん」


 特殊性癖の男がやってきた。


「うげげ」

「ちょっとお、ひどいんじゃない。可愛がってあげたくなっちゃう」

「勘弁して下さい」


「いいわよん。勘弁してあ、げ、るぅ。その代わり仕事のキャンセルはできないわよん」

「宿は駄目だぞ。前に苦情が出て女将さんに叱られたからな」

「夕方、バーに来てねぇん」


 そう言ってある性癖の男はカードを置いていった。

 行きたくない。

 行きたくない。

 行きたくない。


 そんな事を考えていたら、最古参の常連のオペラッティさんがやって来た。


「助けて下さい」

「どうしたの。青い顔をして」


「スキルを使う仕事を依頼されたんですが、行きたくない」

「なるほどね、ちょうどいい。私はある魔道具を開発してて、試験をしたいの。今回の問題の解決にもなると思う」


「助かった。本当に助かった。ぐすん」

「泣くほどなの」


「泣きたくなるって、あいつらがしている事を見てしまったら」

「そう。分からないけど、強く生きて」


 そして、何組か仕事をしてインターバルに入った時にあいつが女3人を引き連れてギルドに入って来た。

 あいつは弟のロウタイドじゃないか。

 ロウタイドはカウンターに近寄った。


「ちょっと聞きたいのだけど、聖剣の噂を聞いた事がないかな」

「知りませんね」

「だって。リア、どうする?」

「反応は確かにこの街です」


 神官服を着た女が答えた。


「じゃあ、酒盛りしないか。酒を飲めば大抵の奴はペラペラと喋ってくれるさ」


 筋肉ムキムキの女がそう言った。


「嘘っ、オペラッティ様がいる」


 魔法使いの恰好をした女がこちらに向かって歩いて来る。

 釣られてロウタイドと他の女もやってきた。


「お初にお目に掛かります。大魔法使いのオペラッティ様ですか?」


 魔法使いの恰好をした女が、憧憬の目をして、オペラッティさんに話し掛けた。


「ええ、そうよ」

「私はアドミ・ニストと言います。半端者ですが、魔法使いです」

「あなたがアドミ。論文は読んだわ。素晴らしかったわよ」

「そんな。褒めて頂いて光栄です」


「二度と目にする事はないと思っていたけど、そこにいるのは汚物じゃないか」


 ロウタイドが俺に気づいたようだ。


「ロウタイド、俺は昔の俺とは違う。馬鹿にすると容赦はしない」

「へぇ、まるで浄化されて綺麗になったと、言わんばかりだね。別のスキルでも生えた?」

「いや、俺の素晴らしいスキルは昔のままだ」

「まあいいや。このギルドで会っても他人のふりをしてよ」

「こっちから、話掛けたりはしないさ」


「まあ、パニッシュメ教徒の神官がこんな所に。私はリア・ゲート。あなたは?」


 神官服を着たリアと言った女が、マムに話し掛けている。


「マムなの」

「入信は何年で、どこの教会?」

「入信はしてないの」

「まあ。でも、パニッシュメ教を信じているのよね」

「神は信じてるの。私を作ったからなの」

「そうですよね。私達はみんな神の作品」


「そこの女、強そうだな。あたいはペネト・レーシ、手合わせを願いたい」


 筋肉ムキムキの女のペネトがシュリンに話し掛けている。


「私の強さを見破るとは大したものね。シュリン・クよ」

「ほう、ドラゴンバスターとお見受けする。クの名前を冠するドラゴンを撃退したのだな」

「違うわ」

「クの名字は、ハッタリか。少し幻滅したぜ」

「やるの? やらないの?」

「興が削がれた。やめとこう」

「命拾いしたわね」


 全員が誰かと喋っている。

 友達が出来るのは良い事だ。


 そう言えば最初にロウタイドがカウンターで聖剣の話をしたな。

 俺と話をしたくないようだったし黙っているか。

 レベルがMAXなのと金持ちなのを知られて、嫉妬されてもめんどくさい。

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