第17話 魔物討伐2 水魔術でウォータースライムを攻撃してしまい、分裂させて無数のスライムに増やしただけでした・・・

次の朝は快晴だった。


「ああああ、空気が美味しい」

私は朝からご機嫌だった。


ローズとクラリッサの顔色の悪いのも少しはましになったみたい。なんか私を見ていたら心配するのが馬鹿らしくなったそうだ。それを聞いて怒ったものか喜んだものか迷ったが、まあ、元気になるのは良いことだろう。


朝からおいしい食事を目一杯食べると、私達のチームは元気に出発した。


一応ルートは決められており、全部で普通に歩いて4時間位のルートだった。


私達のルートは一番端みたいで、先頭を剣を抜いてピーターが進み、その後ろに私とマリアンが、そして、ローズとクラリッサが続き殿がポールだ。


林の中を快調に進む。昨日の2年生があら方片付けてくれたのか、魔物はいない。


「ねえ、マリアン、全然いないよ」

私はがっかりして言った。


「あんた何を残念がっているのよ。いないことは良いことじゃない」

「そらあそうだけど、これじゃあ練習にもならないじゃない」

「そう言う問題じゃないでしょ」

「そうよ、私達は何もなくてほっとしているのに」

マリアンの言葉にローズが頷く。



1時間位歩いて、私達は林の中で休憩した。


これだけ何もいないと本当に林の中のピクニックだ。

ローズとクラリッサにお菓子をもらって私はごきげんだった。

「うーん、美味しい。このお菓子なんでこんなに美味しいの」

「でしょう。これうちが契約したお菓子屋に作ってもらったの。王都で大々的に売り出す予定だからまた買ってね」

さすがローズ、売り込みにも余念がない。

平民の私でも買えるのだろうか。私が不安を気にすると


「ああ、エレは他のやつに宣伝してくれればいいわ」

「そうよね。私ラ平民にはなかなか買えないわよね」

「もう、あんたも辛気臭いわね。家に来たらこれくらい、いくらでも食べさせてあげるから」

「えっ本当に」

私はマリアンの言葉に途端に元気になった。


「お菓子で釣られるって、エレってとても単純だな」

ピーターが馬鹿にして言う。


「何言ってるのよ。お菓子は大切よ。好きな女の子にこれ渡したらきっと喜んでくれるわ」

「本当かよ。エレ限定だろ」

ピーターが馬鹿にして言う。

「そんな事無いって、ねえ、マリアン」

私がマリアンに言うと


「うーん、私なら彼氏にもらうのはせめて幸福堂のケーキが良い」

「そうそう、あのケーキ美味しいわよね」

「本当に。好きな人から貰ったら嬉しいわ」

「やっぱエレ限定じゃんか」

ピーターにバカにされた。


「何よそれ」

私がムツとするも

「はい、エレ、俺の分やるよ」

ポールがくれた。


「えっポール本当に良いの」

「俺そんなにお甘いものは食わないから」

「本当にありがとう」

私は笑ってそのお菓子を食べた。

本当に美味しい。


それをピーターとマリアンらが白い目で見ていた。


「本当にエレって安上がりの女よね」

ローズがなんか言っている。そんなことはない。

でも、どうしても目の前のお菓子に目が行くのだ。




その休憩を終えて、少し歩き出した時だ。


「ねえ、あの水色の何かな」

私は右奥に水色の塊を見つけた。


それはぶよぶよ揺れながらゆっくりこっちにやってくる。


「ウォータースライムじゃない」

マリアンが言った。


「よし、出たな化け物」

「ちょっと待って!」

「ウォーター」

マリアンが止めようとした時にはもう私は水魔術を発動していた。


凄まじい水流が巨大ウォータースライムに激突する。


「やったーーー」

私が歓声を上げるがスライムは私の水魔術を受けて四散したが・・・・・


四散したのだが・・・・


それが分裂して無数のスライムになっただけだった。



「ええええ!、増えちゃった・・・・・・」

「もう、エレの馬鹿! ウォータースライムに水魔術使ってどうするのよ。分裂するだけじゃない」

「ええええ、そうだっけ? やる前に言ってよ」

「注意したのにやったのあんたでしょ」

マリアンに白い目で見られる。


「もう、使えない水魔術組はどいて」

ローズにどかされると


「ウィンドカッター!」

ローズとクラリッサは1匹ずつ風魔術で切り刻んで消滅させていった。


「アースウォール」

土魔術のポールが1つずつを土の壁で包んで潰していく。


「ウリャーーー」

ピーターは剣でスライムを1匹ずつ確実にすりつぶしていった。



「どうするの?」

「踏み潰すしか無いんじゃない」

私の質問にマリアンが答えた。


「ええええ、ヤダ、気持ち悪い」

「あんたねえ、元々あんたが分裂させたんでしょ」

「そらあそうだけど・・・・・」

言いよどむ私に


黙ってポールがスコップを渡してくれた。


いらないおせっかいありがとう。


「判ったわよ。やれば良いんでしょ」

私はやけでそれを持って片っ端からウォータースライムをすりつぶしていった。


なんかこの感触が嫌。


でもやらないと・・・・・




私は1時間ただただ、ウォータースライムをすりつぶしたのだった。


*********************************************************************

エレはおっちょこちょいでした・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る