第16話 魔物討伐1 合宿に行って私ははしゃぎまくりました
ついに魔物討伐の時が来た。
今回は馬車で5時間位北に向かったところだった。3年生と2年生は前日から現地にいる。
今回ダンジョンには1日早く向かった3年生が入っているはずだった。彼らは3日間中に入る。まあ、上層のあまり大物がいない階層に毎日潜るのだ。
下級生はダンジョンには潜らず、その周りの森にいる魔物を狩るのだ。
我々1年生は今日2年生が狩った後に1日遅れで行くのだ。獲物は2年生の狩った残りなので更に少ないはずだった。下手したら1日に1匹も魔物に出会わない可能性もあった。まあ、だからそんなに心配はしていないのだが・・・・
馬車には10人の人が乗っていた。
どんな魔物が出てくるんだろう。ネズミに似た小さいものから見たこともない巨大モンスターとか、ドラゴンとか、それはそれで色々気になるところだ。
まあ、でも私達はキャンプ気分だけど。少なくとも私は・・・・
「あ、マリアン、川が綺麗よ」
「あ、羊がいた」
「ねえねえ、すごい綺麗なお花畑よ」
そうなのだ。あんまり旅なんかしたことのない私は完全に旅行気分だった。
もう見るものなす事皆楽しい。馬車で郊外に出るのさえほとんど初めてだ。前日は興奮してあまり寝られなかった。
「あんた、少しは緊張しなさいよ」
マリアンが言ってくるが、まあ、魔王相手にするわけじゃないんだから、緊張のしようもなかった。あの時にすべての幸運は使い切ってしまったのかもしれないけれど。魔王に比べればサラマンダーでもかわいいもんだろう。この時はそう思っていた。
「まあ、現地についたら緊張するわよ」
私はそう言ったが、
「なんかエレって魔物を倒すって言うより、その肉を食べたいって感じじゃないのかな」
ピーターが言った。
「えっ、ピーター、魔物って食べられるの?」
私は驚いて聞いた。
「牛みたいな魔物もいるからそれはうまいらしいぞ。そう、父ちゃんが言っていた」
「そうなんだ」私は初めて知った。そうか、そのステーキなんか美味しいかも。
それを狙う気満々だった。
「本当に?」
ローズとかは信じてなさそうだったが。
なんか、ローズもクラリッサも少し顔が青白い。
「どうしたの。ローズもクラリッサも少し顔色が悪いけど」
「脳天気なあんたと違って緊張しているのよ」
ローズがぶすっとして私の問いに答えた。
「でも、エレ見ていると緊張しているのが馬鹿らしくなってきたわ」
クラリッサが苦夜笑いした。
「本当に。あんたって緊張のかけらもないのね」
ローズが呆れて言った。
「だって、最大の敵はサラマンダーでしょ。サラマンダーが出てきたら、私が水魔術1発で無効にしてあげるから安心して!」
最大の難敵はサラマンダーなのだ。そのシミュレーションは散々やってきた。私の魔術で効かなければマリアンもいるのだ。私は楽観していた。
「まあ、そうかも知れないけれど」
ローズが呆れている。
「ワイルダーさん。魔物はサラマンダーだけではありませんよ。ゴブリンなんかもでてくるかもしれません。十二分に注意してくださいね」
ツルピカ先生が注意してきた。
「はい」
私は素直に頷いた。そう、何がでてくるか分からないのだ。
でも、今日の夜ご飯は何かな? 先輩の採ってきた魔物のシチューだろうか。
私の口の中は唾液が湧いてきた。と同時に
グーーー
とお腹がなっていた。
「エレ、もうお腹すいたの?朝、食べたところじゃない」
呆れてマリアンが言った。
「えええ?、だってもう2時間も経っているよ」
「後1時間もしたら食事休憩になるから、それまで我慢しなさいよ」
「後1時間もあるのね」
マリアンの言葉に私はがっかりした。
「私おやつ持ってきているわよ」
ローズが言ってくれた。
「うそ、ローズ、女神様みたい」
「あんた大げさよ」
私の言葉にローズは照れてお菓子をくれた。
美味しそうにおやつを食べる私を見て
「こいつ完全に遠足気分だよな」
ピーターが呆れて言うのに、周りのみんなは頷いていた。
「だって馬車で郊外行くの初めてだもん」
私の言葉に更に皆ため息をついたのは何でだ。
其の日は移動だけだった。
キャンプ場に着くと急いでテントを張る。一応男女別々だ。
我が班は2つのテントを張った。
そして、料理はクラリッサとローズが中心にシチューを作ってくれた。
「うそ、これめちゃくちゃ美味しい。ローズもクラリッサも料理うまいね」
私は美味しいシチューが食べられて満悦だった。
いつもより、食べすぎてすぐにテントで寝てしまった。
夜中にトイレで起きた私は林の中で隠れてトイレをする。
空を見るととてもきれいな満点の星空だった。
感動してみていると遠くのテントから人影が出て森の中に入っていくのが見えた。
ん、あれはたしか、学園で雑用している人だ。何しに森の中に入っていくんだろう?
でも、私は眠かったのでよく考えずにそのまま寝てしまった。
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