第2話




 それからの俺の日常は、ガラリと変わった。

 モノクロでつまらなかった日々がカラフルに色付き、俺は毎日美希と過ごせる事に喜び、感謝した。


 もう、これ以上のものは何もいらない。心からそう思えた。

 俺は家から出る事ができないと言った美希に、「それでもいい。ただ、側にいてくれるだけでいい」と告げた。

 毎日キッチリと定時に仕事を終わらせ、美希の待つ家へと帰る。


 一年前——。

 俺達は、結婚して初めて一緒に暮らす予定でいた。その果たせなかった未来を今、俺は美希と一緒に叶えているのだ。



「ただいま、美希」


「おかえりなさい、京ちゃん」



 笑顔で俺を迎えてくれる、最愛の美希。この笑顔さえあれば、充分に幸せなのだ。


 俺は顔をほころばせると、目の前の美希を優しく抱きしめた。


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