第2話 「それぞれの幸せ」(陽夜編)

「え……か、花珠…?なんでここに?」

「言ったじゃないか。僕は「未夢の夫」だって。」

花珠?もしかしてあの花珠?

なんでここに…?しかも未夢の…夫!?

秋村花珠。高校の同級生で未夢と3人でずっと一緒に遊んでいた。

でも暴行事件を起こしてからずっと会っていなかった。

少年院に行っていたはずだが、釈放されたのだろうか。

でもなんで未夢はそれを隠してたんだ?

しかも俺の言えることじゃないけど夫って…

「花珠…もう少年院から出たのか?」

「なんでそれ知ってるんですか?てかあなた誰ですか」

「本当に覚えてないのかよ!3人で一緒に遊んでただろ!俺だよ。陽夜だよ!」

「陽…夜?」

「うん。陽夜。」

「久しぶりじゃん!ごめん忘れてて。顔が男前になっててわからなかった…」

「俺も最初誰かわからなくて混乱してた。笑」

俺達が話していたら、未夢が顔を引きつらせて「花珠、もうこんな時間だから帰って。」と言って無理やりドアを閉めようとした。

でも花珠は怖い笑顔でドアを押さえた。

「なんで?僕何にもしてないよ?」

「陽夜、違うんだ。これは。俺はただ花珠をここに泊まらせただけで勘違いしてて…」

「未夢。後から話聞かせて。花珠今日は帰ってくれ。」

「ちっ。わかったよ。じゃあまたな。未夢、陽夜。」

そういい花珠は強くドアを閉めた。

「ふぅ。未夢大丈夫?どうしたの?」

俺は優しく問いかけた

「大丈夫。でも花珠変わったんだ。花珠と再開したのは3ヶ月前。痩せ細ってたんだ。だから俺はご飯食べさせてベッドも貸したんだ。次の日、花珠は俺に「ずっと前から好きだった」って言って…」

「そしてどうしたの?」

「無理やり服を脱がされて…乗られたんだ。そして無理やり…その後俺は出て行ってって言ったんだけど結局その日も泊まって行った。次の日朝起きたら花珠はいなかった」

未夢は正直に話してくれた

「そっか…それで何回も未夢の夫って言ってくるわけね」

「そう。何回もここに来て無理やりキスされたり…」

「正直に話してくれてありがとう」

未夢は怯えていた。

「ほら、もうこんな時間。」

「じゃあ最後にキス。」

と言って未夢はキスをしてきた

「ねえ。足りない。もっと甘いキスさせて。ディープ。」

未夢は1分間ほどディープキスをしてきた。

「っはぁ…ねえ今日もダメなの…?」

「ダーメッ。また今度ね。今はキスだけ。」

そう言って俺達はベッドで寝た。

翌日。

起きた時に、奈由から

「友達が泊まりに来てるの!だから今日はホテルとかに泊まってもらえるとありがたい!」

奈由は久しぶりにビックリマークのメールを俺に送った。よっぽど嬉しいのだろう。

「おはよう。」

「おはよう。陽夜」

「突然だけど、さ今日なら、キスだけじゃなくていいよ…?」

「本当に…いいの?」

「今日は奈由が家に友達泊まらせるってだから夜に。」

「わかった。じゃあ今はキス。」

俺達はキスしながらベッドから立って今にも蕩けそうなキスをした。

そして目を合わせ笑った。

「陽夜、ご飯食べよ!俺が作る!」

「ありがとう未夢。じゃあお願いします!」

俺は奈由と偽の愛を誓った。

偽の幸せ。笑ったって楽しくない。

でも今の未夢との愛が本物の愛なら。

本当の幸せなら。守りたい。

最低なのはわかっている。

でも奈由にとっての幸せは俺がいないこと。

未夢にとっての幸せは俺がいること。

俺がそうやって逃げている事もちゃんとわかっている。

もう冷めきっている愛なのに愛している演技、嘘をつく。どうせ飽きられるだろうけれど愛したいから愛されたいから演技を繰り返す。そして時を刻むごとに愛が終わって行く。

未夢との愛は、恋はいつ終わるのだろうか。

奈由との愛は、恋はいつ終わるのだろうか。

早く終わってほしい。

誰を愛せばいいのか。誰を幸せにすればいいのか。今までそれを考えてきた。

でも真実の愛がわからない。

最低な俺には一生わからない。

誰が運命の相手なのかも。だから最低な俺は浮気をする。


でも1つ。

奈由は浮気をしている。

俺はそう思った。SNSでアップした写真に

男物の靴が写っていたから。

同じだな。そう思ってはだめなのはわかっている。今1番に考えないといけないのは奈由の幸せなんだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る