第2話 「それぞれの幸せ」(奈由編)

午前6時。目覚まし時計が鳴った。

今日は弥生糸という友達と駅前のカフェで待ち合わせする日。どこに行くかは具体的には決まっていない。

「ふぅー、気持ちよく寝れたな…おはよう!ってあれ、陽夜がいない…」

テーブルを見ると「仕事に行ってくる」と書いてあった。

陽夜のしたい事をすればいいし。

私はもう、陽夜が幸せであればそれでいい。

「急いで準備しないと。」

そういいながら私は服のボタンを一つ一つ留めた。

「とりあえず準備できたと。電話しなきゃ」

私は糸に電話をかけた。

「もしもし、糸?私、準備出来たよ!」

「わかった。糸は今歯磨き終わったら行ける」

「OK!じゃあ私もう出るね!」

「糸も今歯磨き終わったから出る」

「じゃあ出よか!」

といって電話を切った。それと同時に家を出た。

「行ってきます。」

8時。私は駅前のカフェについた。

「糸!おはよう!ごめん…待ったよね?」

「ちょっとね。でも糸も早く来すぎちゃった。奈由は丁度8時に来たね。凄いよ。(笑)」

「ありがとう(笑)じゃあ行こうか!どこ行く?」

「とりあえずこのカフェ入ろう。丁度8時からやってるから。」

「そうなの!じゃあ入ろ!」

そう言って私達はカフェの中に入った。

「ご注文はお決まりでしょうか。」

「えーと、このほろ苦コーヒーと抹茶ラテください。」

「かしこまりました。他になにか頼みたいものがありましたらそのベルでお知らせください。失礼します。」

「このカフェさ店員さんもしっかりしてるねー、しかもめっちゃ店の中可愛いし!あ、糸はかっこいいのが好きだったよね」

「糸はかっこいいの好きだけど可愛いのも好きだよ!あ、あのさこの後ぶらぶらしたら奈由ん家寄っていい?」

「いいよ!」

1時間後

「あー、このカフェのコーヒー美味しすぎた!次ぶらぶらするんでしょ?どこ行く?近くに遊園地あったよね!行く?なんちゃって」

遊園地はダメか

「いいよ、遊園地行くか」

「え!ちょっと冗談だよ! 普通にショッピングモール行こうよ!」

「そっちの方がいいね。じゃあそっちにしよう。」

ショッピングモールとは言ったものの何もすることがないまま私達はショッピングモールを出た。

「もう家来る?」

「そうだね。行く。」

40分後

「ただいま。さ、あがってあがって!」

「お邪魔します。」

「何かいる?あ、麦茶ある。」

「もらおっかな」

糸がそういうと私は麦茶を取って糸の座っているテーブルへ運んだ

「いただきます。」

「どうぞ。」

「美味しい。ありがとう。」

「うん!」

麦茶を戻しに私が立ち上がった瞬間、糸も立ち上がった。すると

「糸、座っててい……」

糸が私をベッドへ押し倒した

「奈由っ…!」

「糸…どうしたの…?」

「キスしても…いい?」

「え、な、え?なんで…?」

「好き…」

「え…?」

そういうと糸は私の唇に潤った唇を重ねた。

「糸、もう行くね。ごめん。急に。」

「待ってよ!」

私はキスをされたのが嫌じゃなかった。好きって言われて嫌じゃなかった。愛がないなら、陽夜が浮気してるならいいだろう。

と思ってしまった。

そしてこう言った。

「好き。」

糸は背を向けて立ち止まった

「でも糸は女よ。しかもあなたは既婚者。あー、糸狂っちゃったのかも」

そういうと涙を流した糸がくるりとこっちを向いた

「狂ってないよ。」

「え?」

私は糸の手を引いてベッドに倒した。

そしてまた口付けをした。

私は浮気をしてしまった。

いけないことをしてしまった。

でももう後戻り出来ない。

好きになってしまったから。

PM4時。

私も糸も裸のまま布団を被って寝ていた。

どうやら体の関係になってしまったようだ。

浮気から不倫に変わってしまった。

「糸、糸、起きて。16時だよ。」

「ん…起きる…。おはよう」

「おはよう。じゃあまず服着ようか。」

「うん。服着たらペアのなんか買いに行きたい」

「いいね!行こ!」

私達は服を着たあとショッピングモールのアクセサリー屋さんに言ってブレスレットを買った。

「可愛いね。これ。早速つける!」

「糸の腕にピッタリだ。」

「おー!お揃いだね!」

とにかく楽しかった。

PM5時

私は糸の家まで一緒に歩いた。その後家に着いた。

家に着いたあと糸の匂いを隠すように消臭剤を家の壁や床やベッドにかけた

しっかりそうじもした。

こんな事をするくらいなら不倫なんてしなければ良かったなどの後悔は無かった。

陽夜には陽夜の幸せがあるのなら

私は自分の幸せを歩む。

愛したい人を愛すのが私の幸せだ。



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